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64 僕も飛び降りる

 そもそも、飛空艇を借りようなどという考えが、甘かったのか。

 人知れず、闇に紛れて街を発ち、荒野を進めばよかったのか。

 いや、それこそ、カイラルーシ軍に筒抜けだ。突破できるほどのやわな防衛ラインではないはず。



 スジーウォンはスミソに顔を向けた。

 この街に着いてからというもの、まともに話していない。

 相談する間もなく尾行され、アビタットと行動を共にすることになった。

 首尾よく、飛空艇を手に入れはしたが……。

 スミソは何も言わなかったが、君に任せる、そんな頷き方をした。



「戦うか……」


 サブリナが顔を伏せた。

 その呟きの意味を、読み取ることはできなかった。


「地上に降ろして欲しい。高度二百メートルほどなら飛び降りれると思う」

 それしかない。

 カイラルーシに引き返せば、もう二度とロア・サントノーレに近づくことさえできなくなるだろう。

「で、あんたはそのままニューキーツに向かえばいい」


 しかしそのとき、アビタットはどうする。

 半ば予想していたが、

「僕も飛び降りる」と、言いだした。



 サブリナは目を伏せ、考えているようだった。

 悩むことはない。

「あんたには、関係ないことだ。ロア・サントノーレに用はないんだろ」

 と、言っても、顔を上げようとしない。


「それじゃ、あんまり……。あなた方を裏切ることに……」


 いや、そうじゃない。

 裏切りでもなんでもない。

 気にするな。

 サブリナ、アビタット。

 あんたたち二人、足手まといになってくれるな。

 関係ないんだから。

 頼む。

 スジーウォンは心の中で言った。

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