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61 私にも会いたい人がいる
「会いたい人がいる」
ずっと忘れたことはない。
しかし、会うことは叶わなかった。
ようやく、その機会が。
ポツリポツリと話す。
私にも会いたい人がいる。
スジーウォンは想った。
これまでずっと一緒にいたのに、こんな気持ちになったことはなかった。
こんな気持ちになるとは思ってもみなかった。
離れ離れになるまでは。
なんだろう。
この身持ち。
忘れていたものを唐突に思い出した。
そんな気持ち。
「会って謝りたい」
サブリナは言う。
私も。
あんなにつっけんどんだったり、馬鹿にしたり。
本当はそんなふうに思ってもいなかった。
今は分かる。
なぜか、そんなふうに振舞うしかなかった。あの頃は。
きっと、そう、自分の気持ちを隠すために。
「ロア・サントノーレに行きたいんでしょ。皆さんは」
「ああ」
「理由は聞かない。聞いても話さないでしょ」
むろん、話す気はない。
アビタットにしてもそうなのだろう。
「うん」と、応えただけ。
スミソは黙ったまま、食事を口に入れている。
サブリナが会って謝りたい人。
謝らなくてはいけないこと、とは。
聞くのが礼儀かもしれない、とは思ったが、既にその機会を逸している。




