48 我ながら頓珍漢
セオジュンとアンジェリナは死んだわけではない。
それを先走って、シーランが犯人かも、と思うこと自体がどうかしている。
普段のイコマなら、やんわり諌めるところだが、そうはしなかった。
チョットマは命を狙われているのだ。
しかも、日々の戦闘で、死は隣り合わせ。
チョットマが、常に死を意識しているとしても、責められることではない。
「私さ、シーランが二人を殺したのかもって。そんなこと、少しでも思ったことが、我ながら頓珍漢だなって」
チョットマが話題を弄んでいるのではないことは分かっている。
彼女なりに悩んでいる。考えようとしているのだ。
いてもたってもいられず、何かを掴みたいともがいているのだ。
「もう少し、ニニと話したいんだけどなあ」
アンジェリナとニニ。
小さな胸騒ぎがした。
特にアンジェリナ。SPが今、姿を消すとは……。
セオジュンとは一体……。
そんな不安を持ったことを、イコマは愛しい娘、チョットマに知られたくなかった。
「あの子、何か知ってると思う、きっと」
チョットマの口からポンポンと言葉が飛び出してくる。
「ハワードにも聞いてみた」
「へえ」
以前、チョットマはハワードを嫌なやつ、と決めつけていた。
それはそうだろう。
実際は見守られていたのだが、監視されているのも同然だったのだから。
チョットマも、折り合いをつけられるようになったのだ。
大人になったね、と言いそうになったが、これは嫌味というもの。
「でね。ハワードは。あ、これ内緒だけど」
彼がチョットマに話したことは、イコマにとって、小さな驚きだった。




