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468 昔愛した人を、今愛している人を胸に描いた者もいるだろう
「チョットマが作ったの?」
シルバックの目が潤んでいる。
「まさか。一つ目のお姉さんが隊のためにって」
ありがとう! チョットマ!
歌を聞いて、こんなに泣いたのは初めてだ!
チョットマ! ずっと僕の傍にいてくれ!
いつか、いつか、また狩りに行こうな。
そんな言葉を口々に、隊員達が三々五々、帰っていく。
晴れやかな笑顔で見送っていくチョットマ。
「あなたこそ、すっと一緒に居てね」などと、声を掛けながら。
掛け合う明るく弾んだ声とは裏腹に、誰の心にも、楽しかった思い出だけではない何かが撃ち込まれたことだろう。
亡くなった仲間たちへの思いが去来した者がいるだろう。
自分たちが成したことを、本当に正直な気持ちで振り返った者もいるだろう。
忘れていた感情を呼び覚まされた者もいるだろう。
失った記憶を少しだけ手繰り寄せた者もいるだろう。
昔愛した人を、今愛している人を胸に描いた者もいるだろう。
この社会、この地球、そして人類の未来に思いを馳せた者もいることだろう。




