表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/258

4 竜神様とは関係ないし

「ね、私、セオジュンを探す。だから」


 ライラが、ぴしゃりとはねつけた。

「おやめ! お前にゃすることがたくさんあるだろ!」

「だって」



 チョットマは、エリアREFサキュバスの庭、女帝と呼ばれるライラの部屋で、小さな黄色いリンゴを前にしていた。

 東部方面攻撃隊がエリアREFに駐屯するようになって、老呪術師ライラの髪のセットはより一層凝ったものになっている。

 夫のホトキンがエーエージーエスのオーエンの元に去り、気持ちが解放されたんじゃないかと噂されている。



 ライラは機嫌よく、小さなフォークをリンゴにプツリと刺し、さ、と差し出してくる。


「心配……」

「あいつは大丈夫」

「どうして?」

「考え無しに行動する子じゃない。それよりチョットマ、おまえの方こそ」


 ライラが、YMUでのことを蒸し返す。

 エリアREFの比較的地表に近い場所で起きた事件のこと。



 ンドペキ隊はエリアREFの地理的全容をすでに把握していた。

 レイチェルのシェルタ、あるいはその入口がこのどこかに存在するはずだが、その地点を除いて、という意味である。


 まず、ゲートは思いのほか多く、最初にチョットマがプリブに連れられて入った出入口以外に、大小合わせて十二箇所あった。

 最初に入ったあの出入口が最も広く、いわばメインエントランス。


 出入口全てに、ンドペキ隊は呼称をつけていた。

 それぞれ元素記号で、メインの出入り口はゲート・コバルト、略してGCOといった具合だ。


 それぞれの出入口からの敵の侵攻ルートを想定し、主要な通路やホールやエリアや交差路にも名称を設定してある。

 こちらは、エリアREFの人々が呼び習わしてきたサキュバスの庭のように、世界中の古代神や英雄の名などを宛てている。




「そのときの様子を詳しく教えておくれ」

 ライラは心配顔で言う。


「隊長も、お前にああいう危険な任務を与えなきゃいいのに」

「それはないよ。ンドペキはだれでも特別扱いはしないよ」

「でも、お前は」

「それは言いっこなし、じゃない」



 エリアREFにはすでに、妙なことを信じている者がいるという。

 チョットマがエリアの守護神と崇められる大蛇に守られている、というのだ。


 かつて、チョットマがクシに襲われたとき、白い蛇が現れたからだったが、本人はちっともそれを信じる気持ちはない。

「私、竜神様とは関係ないし」


 もちろん本当は、ライラはこの逸話を持ち出したわけではない。

 チョットマがレイチェルのクローンであることを指しているのだが、それを口にすることはまずない。

 ただ、「チョットマは特別」という空気が、隊員達の中に、そしてエリアREFの住民達の一部にも、ないとはいえなかった。




「で、どうだったんだい」


 YMUはヤード・ムサシの略で、一直線の通路SMU、つまりストリート・ムサシを軸に上下左右に細い通路が複雑に入り組んでいるエリア。

 ニューキーツの街の西端のゲートから侵入し、SMUを侵攻してくる敵を待ち伏せ、攻撃するに最適な要衝である。



 つい半時間前、チョットマはそこでまたクシに襲われたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ