392 おいおい ここをほったらかして
ベータディメンジョンに移行してきた市民は、その時点で三万人弱を数えた。
時間が経つにつれ、新たに出現する市民の数は減った。
最終的に隊員は、二十六名。
市民を概ね千人ずつのグループに分け、それぞれに連絡係という名目で隊員をつけた。
各グループは、それぞれに大きな円を描いて座らせている。
「ぬ? ヌヌノッチの野郎は?」
市民をグループ分けし終え、それでどうする、という段になって、パキトポークがアンドロの姿がないことに気づいた。
「では後ほどって、どこかに行ったぞ」
「おいおい。ここをほったらかして、どこへ行きやがったんだ」
「さあな。次のお沙汰を待つしかないんだろうさ」
「なんともはや、段取りの悪いことだな!」
しかし、待てど暮らせど、ヌヌロッチはおろか、アンドロは誰も現れない。
オーエンが言ったパリサイドも、姿を現さない。
「おい。そろそろ、ちょいとまずいんじゃないか」
パキトポークが群集を見やる。
「うむう」
痺れを切らした市民が、不安と不満を高まらせている。
「では、こっちから行動に出るしかないか」
「移動するか?」
「ああ。しかし、この大人数での移動は始末が悪い」
「だな」
「この規模の行列を維持するのは無理だ」
気分の悪い者や、老人もいる。
勝手な行動を取りたがる連中もいる。
すでにあちこちで小競り合いが起きていた。
「見てくる」
ンドペキの提案に、パキトポークが難色を示した。
「いや、隊長はここにいてくれ。俺が」
「俺に行かせてくれ。スゥと一緒にだ」




