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390 君が案内係?
「ヌヌロッチ!」
「ご無事でしたか?」
レイチェルSPであるアンドロ。
食料省から治安省に移っている。しかも、省長官として。
レイチェルがこの街に来たとき、出迎えたのがヌヌロッチだった、という話は記憶に新しい。
「回廊からずっと探していたんです」
「会えてよかったよ」
心からそう思った。
アンドロ達の空間で、最も頼れる人物に違いない。
「私もそう思います。ちょっと手遅れ気味ですが」
「ん?」
「タールツーのことです」
「は?」
ヌヌロッチはいつものように落ち着いている。
ただ、周りの群集の目と耳が気になったのだろう。
ついて来いと背を向ける。
三人が移動を始めると、群衆も動き始めた。
「皆さんは、しばらくそのままお待ちください! 追って、ご案内申し上げますので!」
ヌヌロッチはそう呼ばわって群集を押しとどめ、三人は人の耳の届かないところまで来た。
「君が案内係なのか?」
「いいえ。そんな係りはいませんよ」
そう言って不敵にも見える笑みを作った。
「ハハ。誰もいなければ、私が案内しましょうかね。でも、どこへ?」
「さあ」
「こんなことになるとは、誰も知りませんでしたのでね。何の準備もしてませんよ」
「そうなのか……」




