384 となれば! 行き先はひとつ!
その穴から入った太陽フレアは、地球全体を舐めていく。
穴の開いた缶詰を泥水につけるようなものだ、とオーエンが言った。
「太陽フレア! どんなものか、知っているか! 太陽から遠く離れたこの地球でも、人間を焼き尽くすには十分だ! 人間どころではない! すべての生物が絶滅する!」
科学者オーエン。
その性癖。
必要のない説明までしようとする。
遠くの穴から入った太陽フレアでも、このニューキーツには秒速三百メートルを超える暴風が吹き荒れる。
暴風は大気によって冷やされるとはいえ、摂氏百五十度にはなるだろう。
しかも、放射性物質を大量に含んだ嵐がな!
この街はおろか、政府建物など、ひとたまりもないわ!
地中深く潜ったところで意味はない!
数年間は生き延びることができるかもしれぬ。
しかし、太陽の活動周期から計算すると、一旦太陽フレアが地球を襲い始めたら、嵐が収まるまで百年はかかる!
「それほどの期間、地下で暮らせるか!」
オーエンのメッセージはもはや、科学者ならでは。
解説めいていた。
「元々、その期間に火星への移住計画を本格化するはずだった!」
恨み節でさえある。
「しかし、人類は怠惰になってしまったのだ! 技術はある! しかし今や、その船が建造できないではないか! 火星上に人の住む環境を構築できないではないか!」
「いいか! よく聞け!」
オーエンがさらに語気を強めた。
「となれば! 行き先はひとつ!」




