344 セオジュンの覚悟
ハワードとセオジュンについて、マリーリから聞かされたことがある。
彼らの名誉に関わることだからと。
アンドロとして、レイチェルのSPとして。
チョットマを見守らねばならない。
しかしレイチェルを助けるためには、チョットマの元を離れなければならない。
この気持ちの狭間で、ハワードがどれほど葛藤し、そして決断したか。
ハワードが時間を遡り、セオジュンとしてレイチェルを救出することを決断したとき、彼には決めていたことがある。
セオジュンはハワードに、自分がハワードだと名乗り出ないことを。
死んだ人間を生き返らせる。
いや、生きていたことにする。
それはとりもなおさず、歴史を変えてしまうこと。
街の長官であろうが、一般市民であろうが。
前代未聞のことなのだ。
何が起きるかわからない。
自分が死ぬだけなら、構わない。
歴史が捻じ曲げられる。
時空が歪み、もしかするとこの次元そのものが崩壊してしまうかもしれない。
そんなことになっては、元も子もない。
その恐れをできるだけ排除するため、ハワードはあの日よりかなり以前に、セオジュンとしてエリアREFに現れた。
そして、セオジュンはひとりで、ことを成し遂げるつもりだった。
ライラと親しくなり、普段は行けない水系に足を運んだ。
そして、ある部屋を手に入れた。
物資を運び込み、ベッドを整えた。
ニューキーツの街にいるハワードには一言も告げずに。
小部屋で準備を整え、パリサイドにレイチェル救出を依頼し、水から上がってくるのを待った。




