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340/345

340 ずっとホメムやって、長官やって、

「それに、私、あの頭の固い連中に愛想を尽かしていたというのかな、彼等は立場を貫いてるんだけど、なんていうか、許せない、という気持ちがあった」


 みんなが苦しんでいるのに、私だけを守ればいいっていう、そういう考えが。


「あ、そうそう。チョットマ、私に代わって、すごく格好いい檄を飛ばしてくれたそうね。ありがとう」


 珍しくチョットマが頬を染めた。

「ごめん。勝手なことして」


「ううん。本当にありがとう。結局、騎士団はあまり役に立たなかったけど、彼らが動いてくれたおかげで、アンドロ軍をかなり足止めできた」


 アンドロ軍の主力が騎士団に向かったおかげで、キャリーの軍は背後を突けたのだし、ンドペキ隊はやすやすと侵攻できたのだ。




「私ね……、ずっと考えてた。前長官のキャリーとしてじゃなく、レイチェルとして」


 レイチェルの話が新しいモードに入っていくのが分かった。


 ンドペキにも、その概略を想像することができる。

 きっと、コリネルスやスジーウォンにもできるだろう。

 今、レイチェルの本心からの打ち明け話を聞いた後だから。



「みんなと一緒にいて、大げさに言えば、生きていくことって、こういう、なんていうか、さりげなく、そしてもっと一生懸命にならなくちゃって」


 私の見ていたことって、ちっぽけなことっていうか……。

 私だけが特別なんじゃなくて、みんな、誰もそれぞれに思いがあって……。


「当たり前だと思うでしょ。でも私、ずっとホメムやって、長官やって、大事なことが見えていなかった、みたいな気がして」



 レイチェルが改めて部屋に集まった人々の顏に、順番に目をやり、最後にチョットマに止めた。


「わたし、チョットマをぶったことあるよね。洞窟で。それからあのときも……」


 視線は次にンドペキに向かう。


「それまで、チョットマもンドペキも、誰もかれも、何も分かっちゃいないんだって思ってた。今にして思えば、被害者意識の塊みたいに」


 でもやっと私、自分がひどい女だって気がついた。


「チョットマ、痛かったでしょ。チョットマは何も悪くないのに。自分の思い通りにいかないからって、手を上げるなんて」


 レイチェルが立ち上がって、チョットマとアヤの間に座り直した。


 アヤがレイチェルの手を握る。

 レイチェルはチョットマに手を伸ばす。

 チョットマが、照れながらもその手を握った。

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