339 そんなことまで暴露しなくても
再び語り始めたレイチェル。
「今、お話したのは、キャリーのお話。私、レイチェルの話じゃない」
なるほど。
これはレイチェルでなければ話せない内容だ。
ンドペキは、レイチェルが本当にすべてを語るつもりなのだと悟った。
話すことで、心の荷が軽くなったのか、レイチェルの顔には生気が戻ってきた。
みずみずしい唇をライチジュースで濡らし、ピザを齧った。
マリーリも、どこかほっとしたような表情を見せ、ジルが差し出したワインを口に含んだ。
「んーと、ややこしいけど、なんて言うのかな」
声まで別人のようにレイチェルが話し出す。
「キャリーが次元を遡って私になったんだけど、違う人間というのかな」
もちろん、キャリーの記憶をそのまま持っている。
だから、私、詳しいことは分からないけど、この先どうなるか、ある程度は分かっていた。
たとえば、エーエージーエスに閉じ込められた時、助けてもらえることは分かっていた。東部方面攻撃隊に。
キャリーの元へ、その情報が上がって来ていたから。
「ずるいでしょ。アヤは私のことを強いねって言ってくれたけど、そうじゃない。助かることが分かっているから頑張れた」
こんなこともあった。
政府の軍が来た時、ロクモンじゃないかと思ってた。
ロクモンが東部方面攻撃隊に合流した情報が入って来ていたから。
それなのに、知らん振りしてて、本当にごめんなさい。
「もう、いいんじゃないか。そんなことまで暴露しなくても」
ンドペキはこれ以上、聞かなくてもいいと思った。
これでは、レイチェルの懺悔はいつ終わるともしれない。
「ううん。ンドペキ、話したい。私のこと、みんな、勘違いしてると思うから。今、ちゃんと話しておきたい。本当の私を分かってもらいたい。そして、少しだけでいい。できることなら、許して欲しいから」
「そうか……」
では、心置きなく話せばいい。
「でも、いちいち、ごめんなさいというのは止めてくれ。だれも、おまえを責める気なんてないんだから」
レイチェルは小さく頷き、再び語り始めた。
「騎士団のこともそう。彼らがどこに潜んでいるか、もちろん知ってたわ。でも、彼らと合同作戦をとることは気が進まなかった」
なぜなら、彼らは私の傍を離れない。私を守ることを最優先する部隊だから。
勢い、私もあそこからの侵攻作戦に参加することになってしまう。
戦闘が怖いんじゃないわ。
ンドペキ達の足手纏いになることが目に見えていたから。
「ンドペキは、きっと」
「ん?」
「私を……」
「ああ、守ろうとするだろうな」
「ごめんなさい……」
「それを言うなって言っただろ」




