328 おまえはおまえなりの方法で
「ええっ!」
「だれ!」
部屋は俄かに沸き立った。
「どこに隠れているの! 出てきなさい!」
と、チョットマが叫んだ。
「じゃ、タールツー。後は頼むよ」
「なっ!」
「タッ、タールツー?」
「レイチェル……」
「どういうこと!」
レイチェルが立ち上がった。
「えええっ! まさか、まさか! レイチェルって、タールツーのクローンってこと? あ、違う! その逆?」
チョットマの叫びの後は、部屋はまた生唾を飲み込むような静けさが覆った。
「チョットマ、先走り過ぎだ。というか、俺の冗談が過ぎた」
「ううん。いいのよ」
レイチェルの穏やかな声に、ンドペキは安心した。
しかし、予定を変えようと思った。
レイチェルの思いつめた表情。
自ら話すのはまだ身体に負担が大きいのではないか。
それに、今日、どうしても話さなければいけないことでもない。
実は、レイチェルには既に確かめてある。
こんな話をしたいが、どうか、と。
戦闘のプロセスや結果を語るとき、その背景を中途半端な状態で済ますのは、今後の隊の士気に関わるからだが、話して構わないかと。
レイチェルは、ぜひそうして、と応えてくれている。
が、今のレイチェルの体調では、酷というもの。
「座って。俺から話すよ。違ってたら、言ってくれ」
さわりだけを話そう。
詳細は後日、レイチェルの体調が戻った時。
いつでもいい。
急ぐことはない。
レイチェルはおとなしく従い、またマリーリの横で膝を抱えた。
ただ、ンドペキの話の前に、少しだけ私からも話をしたいと言った。
「いいのか? 体に障らないか?」
「気遣ってくれてありがとう。でも、少しだけ」
少しだけで済みはしまい。
自ら語るとなれば、最後まで語りきるだろう。
レイチェルの性格を思うと、これ以上のごまかしは良しとしないはずだ。
「じゃ、座ったたままで。手短に」
「ありがとう」




