318 ハワードは賢いアンドロ
ハワードの件に移ろう。
「俺は、あいつを信じていた」
始めて、アンドロという人種とまともに話し、それまで抱いていた印象が完全に間違っていたことに気づいた。
豊かな心を持ち、信義に厚く、そして仕事に忠実。
ハワードも、賢いアンドロの例に漏れず、自分を見つめようともがいていた。
人によって違うんだろうが、あいつの場合は「人を愛すること」の意味を掴もうとしていたんだ。
そして実際に、特定の誰かを愛そうとしていた。
決して、練習のためじゃない。
本気で。
それがアヤであり、レイチェルであり……。
レイチェルの場合、あいつの心の中はかなり複雑だったろう。
言葉や表情として滲み出ることはなかったが。
レイチェルが死んだとき、あいつの行動。覚えてる?
水系に飛び込んでいった。
死ぬのが分かっているのに。
まさしく、愛する人を追って。
少なくとも、上司へとる行動じゃない。
俺は思う。
ハワードはレイチェルを心から愛していた。
もう、こんな言い方をすること自体、間違ってるが、あえて言うなら、アンドロなりの愛し方で。
「で、ここまでが前提となる事項」
ところで、俺達には死んだ人間を甦らせることはできない。
肉体があれば話は別。
再生することはできるだろう。
しかしあの時点で、人類の再生機構はもう動いていなかった。
しかも、あれはマトやメルキト用で、ホメムは想定外だ。
「レイチェルが水系に消えてから、ハワードは考えたんだ。パリサイドなら、と」
しかし、それもレイチェルの肉体があってこそ。
何としてでも、彼女の亡骸がいる……。
それも、パリサイドに頼めば、水系から回収してきてくれるのではないか。
そして再生してもらい……。
ハワードはその考えを実行に移したんだ
当時、ニューキーツの上空を覆っていたパリサイドに声を掛けて。
ンドペキはユウに目をやった。
しかし、微笑んでいるだけ。
うん、いい。
今日は、すべてを自分の口から話すと決めてある。




