315 やなことを思い出さすんだね!
「なんだい」
仮定に基づいた推理を展開するより、単刀直入に切り込んだ方がいい。
「ある仮説を持っている」
「ん?」
「ライラ、旦那の前でいうのもなんだけど、あんたの夫、ひとり前はブロンバーグ、そしてその前はゲントウ。だろ」
「やなことを思い出さすんだね!」
「ハハ。思い出話を聞きたいんじゃないよ。聞きたいのは、マリーリのこと。あんたは、彼女ににいい感情を持っていなかった、よな?」
「本人がいないから言うけどね。そのとおりさ」
「あんたの後か先かは知らないけど、マリーリはゲントウといい仲だった。どう?」
「だから、やなことと言ったんだよ!」
「はい。もう一つ、マリーリは本気だった。なんていうのかな、つまり一途だった。アンドロ流かもしれないけど。どう?」
「まあね」
「マリーリは、ゲントウの子を産んだ」
「ふん! さあね」
「それが、アンジェリナ」
「おい! あんたね!」
「あるいは、産んだと思っていた」
「聞いてどうするんだい!」
「ですね」
探偵から聞いた話。
あれは、完全に混乱していた。間違っていた。
ゲントウ、マリーリ、タールツー、キャリー、アンジェリナ……。
そしてレイチェル……。
誰が誰で、誰の子か。
ライラから聞いた話、ヌヌロッチから聞いた話。
これによって、今は見えている。
ただ、完全ではない。推測の域を出ない。
ひとつずつ、確認していこう。




