313 大きい謎、小さな謎
「セオジュン、アンジェリナ、ハワードの失踪」
と、ンドペキは再び口にした。
「そして、もう一つの謎は何と言っても、レイチェルの帰還」
謎と言っては、本人に悪いな。
せっかく生き延びてきたんだから。
「それ以外にも、小さな謎が散見された」
政府建物に侵攻した時、レイチェル騎士団を壊滅させるほどの力を持ちながら、なぜアンドロ軍は当方にはまともに攻撃してこなかったのか。
やすやすと、というわけでもないが、タールツーの執務室に近いあの広場まで、なぜ侵攻できたのか。
遡れば、エリアREFへの攻撃はなぜあんなに散発的だったのか。
そういや、ロクモンの裏切りも唐突だった。
でも、そのいきさつはもう、チョットマから聞いてるよな。
なんともまあ、というお粗末な結末だった。
これについては話す必要はないと思う。
「大きい謎、小さな謎が積み重なって、何がなんだかわからない。そんな日々が流れていった」
ンドペキは、ふう、と息を吐き出した。
実際、どこから話せばわかりやすいのか、まだわからない。
「何から話せばいい? あいにく、イコマじゃないから、話は下手だ。お、シルバック」
司会役を降りたシルバックも、チョットマと同じように膝を抱えていた。
「やっぱり、王道で。きっかけとなった謎から。つまり、セオジュンとアンジェリナとハワードの件を」
「わかった」
そう言ったものの、それではレイチェル絡みの話は後回しになる。
彼女を前にして、上手く話せるだろうか。
いや、どうせ同じこと。
さらに言うなら、強いて話すべきことではないかもしれない。
「チョットマ、最初から俺が話していいか?」
「もちろん!」
チョットマがにこやかに手を振った。
彼女は真相を知っているのか、知らないのか。
知らないながらも、薄々は感じているに違いない。
どうか、傷つかないように。
いや、もうそんな弱い女じゃないよな。
「サリの時と同じように、チョットマが俺の部屋に駆け、いや、イコマの部屋だったかな、そんなことがこの事件の発端だった」
エリアREFのハイスクールの卒業式に姿を見せない、ことで発覚した二人の失踪。
情報は何もない。
ばかげた話だが、心中説や、同級生の嫉妬説まで飛び出す始末。
あてずっぽう程度の推理。
チョットマは、二人の親友ニニと知り合ったが、彼女からもこれといった情報は得られなかった。
あくまで、その時点では。
呼応するかのように、ハワードも消えた。
むしろ我々としてはこちらの方が驚きだった。
もう話してもいいと思うので、ハワードが最後にチョットマに残した言葉を、まず紹介しておこう。




