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304/345

304 後戻りはできません

 大通りを西に進むと、時間はゆっくり流れる。

 行けばいくほど、その差は大きい。

「この辺りは、それほど西でもないので、過去というほど昔には行けません」

「ほう! そういうことなのか!」


「そこに見えているゲートはせいぜい半年前まで。さらに西のゲートを使えば、百年前でも遡ることができますが」

 門と見えるが、実はその奥行きは深く、希望する位置に次元移行のゲートをこの少女が開いてくれるという。



 ンドペキは少し迷った。

 現時点、あるいは数時間前?


「ただし、決まりごとがあります。遡ったとしても、起きてしまった出来事を大きく変えることはできません」

「変えたら?」

「出来ない、ということです」



「スゥ」

「任せるよ」

「現時点で」


「あいよ」


「さあ、行ってください。あの門です。通れば後戻りはできません」

「わかった。ありがとう」

「最後に忠告しておきます。マトが通過するのはこれまでにないことです。何が起きるか、保証はできません」

「ああ」

「それから、もうここへは戻って来れません。いつかまた、ここへのゲートが開発されるまでは」

「分かっている」



 ンドペキはスゥと手をつないだ。

 門を通り抜けた。


 現時点でよかっただろうか。

 数時間前の方がよくはなかったか。

 しかし、わずかなそんな過去に立ち戻ったとして、なにができるだろう。

 きっとアヤは無事だ。ユウがいる。

 そう信じよう。




 一瞬にして、次元を飛んだ。




 暗い……。

 ここは……。


 エーエージーエスのチューブ!

 暑い!

 摂氏百度を超えている。


 なに!

 う!


 いたるところ死体で埋めつくされていた。



 これはいったい……。

 尋常な数ではない。

 見渡す限りの死体……。

 白骨化しているものもあれば、まだくすぶっているものもある。


 アンドロか……。

 まさか、オーエンが。



 オーエン!

 オーエン!

 きさま、何をした!


 しかし、声は空しくこだまするだけだった。

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