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295 この次元に安定をもたらしている仕組み

 行ってみるか。

 それとも、帰ってくるのを待ちながらパキトポークを手伝うか。


「行ってみよ」

 スゥが決めた。


「昨夜の溶岩さんに、文句言わなくちゃ」

「は?」

「冗談よ。でも、なぜあっちを指差したのか、気になるじゃない」

「それこそ悪い冗談じゃないのか」

「知りもしない人に? それも、アンドロが? ありえないでしょ」


 嘘をつくことが苦手なアンドロ。

 溶岩のアンドロがあの状況で、そんな悪戯をするはずがない。

 悪意があるはずもない。

 なんとなくそんな気がした。


「で、俺たちが彷徨ったのは、西か?」

「西も東も。しっかりしてよね」

「まだ、なんとなく朦朧と」

「じゃ、もう少し寝る?」

「いや、それはできない」

「そうよね」




 ンドペキとスゥは街はずれまで来た。

 浮遊走行が可能だった。

 瞬く間に、移動ができる。

「役に立つな」


 昨夜の場所に、溶岩はいなかった。

 その代わり、街はずれのはるか先、昨夜は暗闇だった道を歩いていく男の姿がある。

 今は、例の一面灰色の世界。


「追いつくぞ」

「了解」




 振り返ったヌヌロッチは、あからさまに顔をしかめた。


「迷惑そうだな」

「そういうわけじゃないですが……」

「今後のことを話し合っておこうと。申し訳ないが、昨日は疲れ果てていて」



 歩きながら話すことになった。


「どこへ行くんだ?」

 街外れから先には行くな、そう言われた記憶がある。

 ヌヌロッチは微妙に笑う。


「私も始めてなのです。ンドペキも見ておいた方がいいかもしれません」

「何を?」

「この次元に安定をもたらしている仕組みを」




 昨夜、調べてみたという。

「建造に携わった技術者がいるはずなんですが、全員、ワークディメンジョンに行ってしまったようで、聞く人がいないのです」

「何百年も前に作った人が?」

「そうですよ」

 ヌヌロッチは少し驚いた顔をしたが、すぐに調べたことを説明し始めた。


 装置の全容は目に見えない。

 隠されてあるという。

「不用な者が弄れないようにするためでしょう」


 大通りの西端部からまだ先にあるらしい。

 そこから先も次元に浮かぶカプセルの内部。

 装置はカプセルの容積の約半分を占めるらしい。


「巨大なものらしいです。見えるのはそのほんの入り口だけで」

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