291 夢を見ていた
目覚めた時、辺りは薄暗かった。
ヌヌロッチが言ったとおり、クリスタルの輝きは失せ、それぞれのピースの芯の部分がかすかに発光しているだけだった。
スゥもすぐ横で、装甲を身につけたまま寝息をたてている。
意識が朦朧としている。
夢を見ていた。
その断片が、脳裏にある。
スゥの洞窟の部屋で、イコマが推理を展開したあのシーン。
ただ、それがイコマではなく、自分だったという意識。
それに、話の内容が異なっていた。
それは、現時点での思考。
いくつもの謎が、謎のまま残り、何一つ、解決していないという……。
そんな焦りが、夢の中の自分を苦しめていた。
いや、本当にそうだろうか。
手詰まりなのだろうか。
糸口さえないのか。
部屋の隅に蹲ったチョットマの視線が痛い。
もう少し待ってくれ。
もう少し……。
セオジュンとアンジェリナ、ハワードはどこに。
ニニはこの次元にセオジュンとアンジェリナが、と言ったのではなかったのか。
そういえば、マリーリは今どこに。
そうだ。
あの荒地軍の正体は。
そもそも、エーエージーエスでオーエンに殺されたあの軍は。
統一された装備で、荒地軍やエリアREFに出没した軍とはかなり様相が異なっていた……。
それに、エリアREFに襲ってくるアンドロ軍の稚拙さ。
レイチェル騎士団やパッション隊を壊滅に追い込むほどの力を有しながら、連日とはいえ、あの散発的な攻撃は何だったのだろう。
レイチェル……。
我らがレイチェル……。
生きているのか……。
では、どこに。
なぜ、姿を見せない。
なぜ、情報がない……。
夢の中の自分は、そんなことを、あの洞窟の部屋でチョットマを相手に聞かせていた。
ンドペキはやっとの思いで立ち上がった。
確かめなくては。
何を確かめたいのか判然としないまま、部屋を出た。
そうだ。
チョットマはどこに行った。
市民の様子は。
隊員達はどうしている……。
意識が定まらない。
目に見えるものがかろうじて判別できる程にしか、頭は働いていなかった。
自分が今何をしようとしているのか、どこに行こうとしているのかわからないまま、クリスタルの街を彷徨った。




