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288 自分の仕事、というフレーズ

「鉱物の働きは単調ですが、私達にはこれで十分です」


 建物の中に入って、ヌヌロッチの言葉の意味が分かった。

 外壁のきらびやかさに対して、中は全くのがらんどうだった。

 窓もなければ、扉さえない。

 きらきら光る鉱物で囲まれた空間があるだけ。

 百平方メートルほどの長方形の部屋。

 どこも似たような空間が、間延びした開口部を挟んで繋がっていくだけ。



「私達には、プライバシーという概念はありません」

「うーむ」

「ついでに言うと、個人のスペースという概念もありません。スペースであれ、お金であれ、いかなるものも自分のものにするという概念がないのです」

 人が作ったロボットですから。


「給金はいただきますが、お金はワークディメンジョンだけでしか使えませんしね」

 アンドロ次元では、「お金」は必要ないし、従って税金もない。

 税金というものがなければ、公務員という職種もない。

「誰もが自分の仕事をする。それだけです」

「そういうものなのか……」



 初めて聞く話だった。

 ハワードの話にもなかったことだ。


「ここには、上下の関係、つまり序列というものがありません。だれもが等しく、淡々と自分の仕事をしています」

「代表者は?」

「いません。必要がないからです。誰もが自分の仕事に精一杯取り組む。それで十分ではないでしょうか」

 ヌヌロッチは、自分の仕事、というフレーズを重ねて使った。


 こんな社会は、人類の歴史の中になかったことではないだろうか。


「じゃ、ヌヌロッチ、君は代表者ではないのか」

「違います。たまたま、私がンドペキ達と顔見知りで、避難してきた市民を東部方面攻撃隊が取りまとめようとしていた。だから私がエスコート役をすることにした。ただ、それだけのことです」

「そういうことなのか。恩に着るよ」

「ま、そういう指示らしきものもありましたしね」


 ヌヌロッチはニコリと笑うと、では、こちらへ、と案内してくれる。

「作戦室にいかがでしょう」

 ひときわ広い部屋。

「ありがとう。でも、もうそんな部屋、必要あるかな」

「まあ、この広い部屋、それなりに使い道はあるでしょう。扉が必要ならつけてください」

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