287 クリスタルの増殖
ンドペキは目を見張った。
ここがアンドロ達の街イダーデ!
「綺麗なところ!」
スゥが感嘆の声を上げた。
先に街に入った市民の顔も、幾分綻んでいる。
「凄いじゃない!」
「この次元で生産される鉱物です」
応えたヌヌロッチの顔が誇らしげだ。
クリスタルが輝いている。
「時間の流れを把握し、自ら発光します。そろそろ夕方ですから、光が落ち着いて来ますよ」
「ほう!」
ニューキーツでは、ヌヌロッチは治安省長官。
ンドペキは防衛省管轄下の一攻撃隊の隊長。
しかも、ハクシュウ亡き後、正式に任命されてもいない。
立場の違いは大きい。
しかし、ここアンドロの街へ来ても、ヌヌロッチは几帳面な口調を崩そうとしない。
「この鉱物は生きています。増殖するんです」
「へえ!」
「徐々にですが。自分で考えて、部屋を増やしていきます。長方体の空間を自ら造っていくのです。イダーデの街はそうして自動的に造られてきたのです」
街の端に行けば、建設途中の建物があるという。
ヌヌロッチは建物を形作る鉱物の話をしてくれたが、ンドペキがもっと驚いたのは、街路の方だった。
プラタナス!
立派な街路樹が並んでいたのだ。
生きている木!
しかも、その足元には美しい花が咲き乱れている!
この次元にも、土があるのか!
植物が育つ環境が!
土の中には微生物がいて、適度な水分があり、日光が降り注ぎ!
そんな環境が!
ここなら、人は生きていける!
そんな感慨があった。




