285 ロクモンってやつ、覚えてるか?
チョットマの顔色が変わったことにも気づかず、イエロータドは喋り続けている。
「もう一点は、頭の固いやつ。こいつも、最後にゃ、己もろともレイチェルを危うくする可能性がある。ん? チョットマ、退屈か?」
「おまえ! まさか! はっきり言え!」
「おっ。なんだ? 俺に、おまえって呼ぶなよ。まあ、最後まで聞け。レイチェルのクローンよ!」
「なに!」
ガハハハハ!
「おまえ、サリを!」
「サリ? 知らねえぞ。聞いたことねーぞ。一例を挙げよう。ロクモンってやつ、覚えてるか?」
忘れるはずもない。
裏切り者。
「やつはレイチェル信奉者だ。第一級のな」
思い出すだけでも、胸が悪くなる。
「じゃ、サリは」
「チョットマ、知らんといったら、知らん。アンドロは嘘がつけない性分だ」
ガハハハハ!
「ロクモン、奴の忠誠心には、私情が入り込んでいる。細かい網のように、心の中に食い込んでいる。そんな報告をタールツーにあげた。そうしたら!」
頭に血が上ってしまったチョットマに代わって、ライラが聞いた。
「そうしたら?」
「消せ、と!」
「な!」
「驚くにゃ当たらんよ。俺はもう慣れっこだ!」
ガハハハハ!
「俺が手を下すわけじゃない。そうなるように仕向けるってわけだ」
ロクモンはこのマスターに陰から煽られ、焚き付けられ、レイチェル騎士団の前でンドペキを裏切り者だと罵ったのだという。
「俺の部下が射殺した! ついに奴が本性を現した、そのチャンスを逃さずにな! それだけのこと!」
ガハハハハ!
「そんな!」
「ん? チョットマ、不満か? いざという時、あいつはチョットマを殺してでもレイチェルに尽くそうとしたぞ。そういうやつだぞ!」
「でも」
「でももしかもあるか! 地球はこんな状況なんだ! レイチェルひとり生き延びても意味がない! そう思わんか?」
「……」
「タールツーの指示はそういうことだ。俺はそう判断した!」




