282 ちょっとあんた 教えておくれ
「帰ろうとしたとき、違うゲートを選んでしまったとしたら?」
「違う街に出ちゃうよ。でも、間違わないと思うけど」
「どうしてだい」
「それぞれかなり離れてるから」
「なにか、目印でもあるのかい。ニューキーツゲートって書いてあるのかい」
「そんなものはないよ」
チョットマは恐ろしい考えが浮かんだ。
それをまたニニが口にする。
「もし、ゲートが閉じるタイミングで……」
「あんた! ゲートが閉じるちょうどその時、なんてことになったらどうなるんだい!」
ホトキンの解説は重苦しいものだった。
「我々の住むホームディメンジョンとこのベータディメンジョンの間には、緩衝地帯といえる次元がある。そこにさえ辿り着けば、安心なんだが」
「どういうことなんだい」
「重力に体を慣らす次元さ。次元というより、ホームディメンジョン側にある装置の中なんだがな」
「その次元まで戻っていれば、問題なくニューキーツに戻れるということなのかい」
「そういうことになる。もし、その次元まで行きつけなかったとすれば」
ホトキンが言葉を飲み込んだ
「ちょうどその時、ゲートが閉じたら……。わからんな」
「おい! あんた!」
ふっと、ホトキンの顔が綻んだ。
「ありえないな。ふたり同時にってのは」
「ん? ちゃんと説明しな!」
ゲートでの次元移行は瞬時に行われる。
光が一枚の紙を通り抜けるほどの時間だ。
体のどの部分でもゲートにかかれば、瞬時に体全体がその先の次元に移行する。
髪の毛一筋でもゲートにかかればな。
だから、ふたり同時にとは考えられない。
「ふん! そうかい! じゃ、街に戻ろう」
ライラを先頭に街へ向かいながら、ホトキンがゲートの仕組みを話し始めた。
チョットマの頭には一向に入ってこない。
心に浮かんだのはむしろ、そもそも二人がこの次元に移行してきた証拠もないではないか、ということだった。
街に入る門のすぐ外に、一人のアンドロが蹲っていた。
溶岩の姿をして。
ライラが躊躇なく声をかけた。
「ちょっとあんた。教えておくれ」




