表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

281/345

281 六十七の街それぞれへのゲート

 この辺りにいるはず、という場所にサブリナはいなかった。


 オーエンの妻、サーヤの姿も。

 それどころか、誰の姿もなかった。

 先ほどの空間と同じように、灰色の世界が広がっているだけ。


 チョットマはスミソの懐からそろりと顔を出した。

 ニニは抱きついてきたが、ライラはちらりと目線を送って来ただけ。

 しかし、その目には優しさが込められていた。


 チョットマは、ごめんなさい、とだけ言った。

 心から、ごめんなさい……。



 ライラは明らかに落胆していた。

「ほんとに親不孝な娘だよ」と、何度も呟いて。


 そんなライラにかける言葉はない。

 ニニにもチョットマにも。


「ニニ」

「はい」

「あんた達の街に入ったってこと、考えられるかい?」

「サブリナとサーヤが? そうねえ……」


 もし、二人がこの次元に来たとき、現在のような状況だったとすれば、すぐさま帰ってオーエンやホトキンに報告しただろうか。

 大丈夫みたいだと。


 あるいは、もう少し様子を見るために、街の方へ行ってみただろうか。

 どちらに進めばいいのかわからない中を?

 いや、その時点では周りにアンドロがたくさんいただろう。

 きっと周りのアンドロに聞いてみたはずだ。


「可能性はあると思うけど……」


 街まで行って確かめなくとも、二人はホームディメンジョンに戻ったのではないだろうか。

 事態が切迫していることは二人は知っていたはず。

 現に、オーエンは見切り発車という賭けをしている。


 街のまで様子を見に行ったとは考えにくいのではないか。

 とは思うが、では他にどんな可能性が。


 その答えは、軽々しく口にできることではない。



 しかしニニは、アンドロ。


「もし、ここが元のままだったら、かなり厳しかったでしょうね。それとも、パリサイドの体だと大丈夫だったのかしら」

「うー」

 ライラが唸り声をあげた。


「ニニ!」

「はい」

「じゃ、サブリナはどうなったっていうんだい!」

「んーと、パリサイドじゃないからよくわからないけど、重力に押し潰されても、何らかの跡はあるはずなんだけど」


 サブリナの肉体の痕跡とまでは言わなかったが、平穏では済まなかったということだ。


「跡形もないというのは変だと思うんだけど……」



 確かに、そこら中探しまわっても、灰色の空間には石ころひとつ落ちていなかった。

「この辺りにあると思うんだけど。ニューキーツのゲートの位置、ここだから」


 この灰色の空間に、六十七の街それぞれへのゲートが並んでいるのだという。

「もう、消えてしまってるけど」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ