28 消火剤、手に入る?
プリブは思った。
シルバックは、隊の現状に倦んでいる。
事態展開の糸口を自分なりに探そうとしているのだ。
気持ちはよく分かる。
小規模な敵襲ではなく、いつ何時、本格的な戦闘が始まるかもしれない。
勝てるかどうか分からない。
エリアREFの住人達からは、とりあえずは受け入れられているようには感じる。
が、さして応援はされてはいない。
無言のうちに、居ても良いといわれているような状況だ。
それはレイチェルを擁していると考えられているからではないのか。
いずれ、レイチェルがもういないと知れるだろう。
そのときも、住人たちは今までと同じように接してくれるだろうか。
「消火剤は持ってないぞ」
「あんたの部屋には?」
「何を言ってるんだ。あそこは隊の詰め所に提供したじゃないか。なにもないよ」
「本当?」
実は、自分の荷物は別の部屋に移してある。
急遽、新しく借りたのである。
変装用の衣類など、捨てるには惜しかった。しかも、隊員たちに見られたくもなかった。
「本当かなあ」
というシルバックの顔が目に浮かぶ。
「あんた、変装の名人でしょ。ということは、いろんな小道具を持っているはず。捨てるはずがないと思うけど」
痛いところを突いてくる。
「どこかに隠してるんじゃない?」
プリブは記憶を探った。
消火剤はあっただろうか。
あったとすれば、持ってきてもよいという気になりかけた。
しかし、シルバックはあっさり追求をやめ、歩き出す。
「じゃ、次回ってことで」
「なんだ。やっぱりやるのか」
「次の交代は十六時間後ね。それまでに消火剤、手に入る?」
「何とかしよう」
エリアREFにも店はある。見つけられるだろう。
それに、隊として持っておいて損はない。
「でも、隊長に聞いてからだ」




