表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

252/258

252 すべてのことが一度に起きました

 すべてのことが一度に起きました。

 元々描いていたシナリオは崩れ去りましたが、中間をはしょれば結果は同じことです。

 ついに、カイロスが起動されるのですから。


 直ちに私は自分の部隊に、ンドペキ隊を援護するように命じました。

 ただし、隠密に。

 いざとなれば、共闘していることを明らかにしてもいいが、にわかには信じてもらえない。

 裏で動く方が好都合だと指示しました。

 騎士団は無視していい。余力があれば助けてやれ。

 まずはレイチェルとンドペキの命を守れ、と。


 なぜか。

 そのとき既に……。


「言わないでも、わかりますよね」



 そうして、私はあの芝生の広場で待ちました。

 カイロスはあの広場で起動されることになっていたからです。

 職員に、建物の奥へ避難するようにアナウンスを命じました。

 オーエンの声を、私も聞いていたからです。

 ベータディメンジョンへのゲートがどこに開かれるかを知っていたのです。


 ヌヌロッチには、あらかじめ、暫定長官として指示を送ってあります。

 避難してくる市民の対応をするようにと。

 レイチェル名では、SPを解任すると。

 SPを解任すれば、ヌヌロッチがベータディメンジョンで心置きなく力量を発揮してくれることを信じていました。



 できるだけ多くの市民を、ベータディメンジョンに避難させなくてはいけません。

 ニューキーツ長官として、これはすべてに優先する事項です。


 昔々からニューキーツの避難地はエリアREFの地下深くと言われてきました。

 実は、何度か視察に行ったことがあります。

 整備はされているし備蓄もそれなりにある、でも、とてもとても。

 あそこで暮らせるのは、せいぜい五十年? 三十年?

 人が、あそこでその一生を終えるとしたら、と考えると、私は耐えられないと思っていました。


 ここはニューキーツ。

 エーエージーエスのあるここだけでも。

 オーエンは憎々しい男ですが、実力はあります。

 ゲートは開かれるでしょう。

 ゲントウも信じることのできる人物だと聞いています。



 ただ、私は市民より一足先に行かねばなりません。

 避難してきた市民の対応をしていられないからです。

 私は、タールツーとしても、キャリーとしても、市民の前に立つわけにはいきません。

 顔を見られることなく、直ぐに時間を遡るつもりでしたから。



「ごめんね、チョットマ」

「えっ?」

「あの時」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ