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251 待ちに待った日

 私は、いよいよ自分の隊を組織する必要に迫られました。

 そうしないと、アンドロの軍に政府も街も完全に掌握されてしまう。

 人選などと、悠長なことは言っていられません。

 急ぐ必要がありました。


 そうしてやっと組織したのが、騎士団を模した隊です。

 解体した防衛軍や親衛隊から、これぞという人物をかき集めました。

 白装束の軍です。


 大きな組織は必要ありません。少数精鋭でよかった。

 まだ、目立つ存在になってはいけない。

 敵であるアンドロが、タールツーの正規軍と勘違いして、大挙して参加して来られるのは困るからです。



 少しづつ、私の隊は効果を発揮し始めました。

 タールツーの私兵がエリアREFにも攻め込んでいたそうですが、散発的なものだったとか。

 徐々にではあるけど、長官室周辺を皮切りに、正門付近や主要な流通ルート、そして街を掌握し始めていました。

 戦闘によってではなく、共闘関係にある軍同士の制圧範囲の調整として。

 比較的、これはうまく進みました。

 なにしろタールツー自身が率いる隊ですから。



 そうしておいて、それまで兼務していた治安省長官の座を降り、ヌヌロッチを送り込みました。

 残党を炙り出すために。

 シェルタに籠ってしまった騎士団に対しては、動きを封じ込めるため、長官室に通じる通路を封鎖しました。

 今頃のこのこ出てきて、矛を向けられても困るからです。

 そして、万一出てきた時の時間稼ぎのために、バーチャルな仕掛けも構築しました。



 いずれ東部方面攻撃隊がレイチェルを擁して、参戦してくれるだろう。

 そうすれば、一気にアンドロ軍を潰そう。

 私は、レイチェルに捕らえられればいい。

 そんな期待が高まりました。

「目鼻がついた時点で、東部方面攻撃隊に送った使者は無視されたけどね」



 私はずっと、レイチェルが東部方面攻撃隊に保護されていることに、なんの不安もありませんでした。

 レイチェル死亡との情報もありましたが、全く取り合いませんでした。

 全然、心配していなかったのです。


 その理由は、彼女が、私が、なんですけど、ンドペキと共にいるという情報を信じていましたし、ンドペキ隊の力量も信じていましたから。

 レイチェルの身に危険が及ぶとは思いもしなかったのです。


 それに、レイチェルがエリアREFの地下深く、どこかにいて、マリーリとハワードがついているという情報も入って来ていましたから。



 いずれにしろ、ようやくタールツーの残党を掃討する準備が整いました。

 後は、いつタールツーの名を捨て、キャリーを名乗るかです。

 しかし、これが非常に難しい判断でした。


 私はその判断を、つまり行動に出ることを、先延ばしにしていました。

 今日にでも、明日にでも、東部方面攻撃隊とレイチェルが攻めてきてくれるのではないか。

 そして、タールツーである私を捕えてくれるのではないか。


 そうすれば、元々描いたシナリオに戻すことができる。


 レイチェルが長官に返り咲き、私は、そう、レイチェルの部屋の掃除婦にでもなればいい。表向きは。

 実際はレイチェルの傍にいて、あの計画を……。

 レイチェルは誰かと恋をし、結婚し、子供を産み、私はそれを陰から祝福すればいい。

 そんなシナリオに。



 それはそれは、東部方面攻撃隊の侵攻を首を長くして待っていたのです。



 もちろん、アンドロ軍を表だって攻めることはまだできません。

 軍の力量が足らないのです。

 それに、シナリオが崩れてしまいます。

 私はアンドロ軍を少しづつ削減していく活動を続けながら、待っていました。



 そしてやっと、待ちに待った日がやってきました。


 ンドペキ率いる東部方面攻撃隊が攻め込んできたという情報が入ってきたのです。

 加えてレイチェル騎士団も動き出したと。

 そして、なんとカイロスを起動させるという情報までも。

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