249 とんでもないことが起きました
とんでもないことが起きました。
パリサイドの問題で、政府中が浮足立っているときでした。
レイチェルが捕えられたという情報が飛び込んできたのです。
続いて、エーエージーエスに閉じ込められたという報せが。
レイチェルを助けなければ。
直ぐに、救出部隊をエーエージーエスに派遣しなければ。
しかし、まだ私の隊は機能していない。
本来なら頼むところはレイチェル騎士団。でも、治安省長官の権限で動かすことは出来ない。
親衛隊なら、防衛省の管轄。
防衛省に掛け合ったところ、すぐに動いてくれました。
ただ、公式作戦ではない。
まさか、長官救出作戦というわけにはいかなかったのです。
オーエンがなぜ、親衛隊を壊滅させたのか、それは分かりません。
パリサイドを憎んでいた。それを受け入れようとするニューキーツ長官へのあてつけ。
そんな理由もあるでしょう。
でもきっと、ホトキンさんを連れてくる、そのためにこれ以上ない餌だと思ったのでしょう。
そういう男です。
他人のことは言えないけれど。
結局、救出に向かった親衛隊は全滅。
それが、その後の戦局を非常に不利な状況にしてしまったことは事実です。
でも、幸いに、レイチェルは東部方面攻撃隊に救出されました。
私の中で、東部方面攻撃隊の存在が大きくなっていきました。
レイチェルはキャリーの記憶としてアンドロ達の動きを知っていますが、自由に活動しようとするでしょう。
そこで私は、レイチェルの保護を東部方面攻撃隊に任せることにしました。
街に戻ってまた危険な目にあうより、東部方面攻撃隊と一緒にいるほうがいいと思ったのです。
そして私自身は、なりふり構わず暫定長官を名乗り、全権を掌握しました。
私がしなければいけないのは、アンドロ軍を黙らせること。
事態の収拾に必死でしたが、タールツーが暫定長官を名乗ったことで、敵に勢いをつけてしまう結果も伴いました。
しかもキャリーとしての私は、多くの人に顔を知られています。
一切、人前には姿を現さずにすべての指示を出すのは骨が折れました。
指示の意図が、上手く伝わらないことも度々ありました。
なにしろ、暫定長官を名乗った者は、あのアンドロ、タールツーということになっていたのですから。
ンドペキ達を困らせた荒地軍。
あれは、元はと言えばタールツーの私兵です。
彼らにしてみれば、最近のタールツーは人が変わったようだ、何らかの報酬によって牙を抜かれてしまったのではないか、と思っていたことでしょう。
タールツーの指示を待たず、勝手な行動を始めていました。
もう、いうことを聞きません。
それがあの軍です。




