208 やっぱり私は出来そこない
ごめんなさい。
ごめんなさい。
心の中で何度呟いたことだろう。
スミソの腕に包まれても、涙が枯れることはなかった。
スミソは、チョットマは眠ったと言ってくれた。
その心遣いがうれしかった。
口を開けば、投げやりな言葉しか出てこない。
しかも、泣きじゃくった声で。
ンドペキ、ライラ、ニニ……。
私の大切な人が揃っていてくれた。
こんなにいい人に囲まれているのに、私……。
ライラ、ありがとう。
スミソのお腹をつついて掛けてくれた言葉。
「ほんとにおまえは馬鹿だね。どこかの誰かさんが自分を想ってくれてることも気づかないなんて」
ちゃんと聞こえていたよ。
聞こえるように言ってくれたんだね。
私が眠ってなどいないことは、ライラならお見通し。
どこかの誰かさん。
それは、ライラ自身のこと?
もしかすると、スミソのこと。
プリブのこと?
そしてンドペキのことも、指しているのかもしれない。
さっきの私、みっともなかった。
自分の出来の悪さは身に染みて分かっているけど、ンドペキに向かってあんな言葉を投げつけるなんて。
ごめんなさい。
許して。
恥ずかしい。
情けなさすぎる……。
ンドペキなんか、嫌いだなんて。
やっぱり私は出来そこない。
今度こそ、見放されたよ。
身から出た錆。
自業自得。
絶望的。
本当に、ごめんなさい……。
ニニがライラに話しかけている。
彼女も、ごめんなさいって。
ライラ、怒ってるでしょ。
さっきから口をきいてくれないし。
挨拶もせずに、こっちへ来てしまって、ごめんなさい。
自分だけ逃げてきたんじゃないのよ。
マリーリを追って……。
「怒っちゃいないさ。でも、ニニ、急いでおくれ」
「はい」
ライラの娘サブリナが入って来たと思える次元のゲート。
「もうすぐよ」
みんなでサブリナという人を探しにいくことになった。
どんなところを歩いているのかわからない。
スミソの翼にくるまれているから。
でも、私、出て行きようがない。
どんな顔して出て行けばいいのか、わからない。
ニニがまたライラに話しかけた。
「サブリナって、ひとりで? 次元を確認しに来たパリサイド、二人って聞いたけど」
ホトキンが応えた。
「オーエンの奥さん、サーヤ」
「へえ、そうなの」




