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132 あんなおもちゃが

「明日、スジーウォンが帰ってくるはずだ」

「うん」

「彼女には、今チョットマが引き受けているチームを率いて、正門から突入して欲しいと思ってる」


 アヤの顔に不満がちらりと現れたが、すぐにそれは消え、指示を受ける部下の表情に変わった。

「アヤちゃんには、その先導役になって欲しい」

 実際、アヤが適任だった。


 シェルタから突入する隊と違って、正門から入れば、敵との遭遇の確率は低い。

 少なくとも、当面は。


「了解!」

 アヤの返事はいきいきとしていた。

 ンドペキはホッとして、解説を加えた。


 門を警戒する任務は、チョットマがそのまま継続する。

 しかし、隊員の再構成は、スジーウォンの専任事項とする。


「コリネルスにもこの話はしてある。チョットマには、あいつから指示が出るはずだ」


 先ほどのアヤの疑問にまだ応えていないが、作戦上の指示を優先させた。

「アヤちゃん、さっきの話は後ですることにして、連絡要員として知っておいて欲しいことがある」

「はい!」



「シェルタからの侵攻部隊には、致命的ともいえる悪条件が重なっている」

 先ほどの作戦会議には、アヤは途中からの参加だ。

 情報として伝えておくべきことがある。


 ンドペキ隊やパキトポーク隊にも案内役はいるが、いかんせん、ドトーから差し出された隊員。

 心もとない。

 レイチェルSPのヌヌロッチらから申し入れを受けているが、断ってある。

 彼らの素性を明らかにしてしまうのは、時期尚早。

 いざというときが、この先あるだろう。


「シェルタから政府建物への侵攻ルートだが」

 事前に聞いていた一本のルート。

 レイチェルの居住空間に繋がっているということだった。

 それを辿れば、タールツーに襲い掛かる近道になるはずだった。

 しかし、ドトーからの情報は違っていた。

「出入り口は、三か所あったんだ」



 一本は、まさしく長官の居住空間、端的に言えばレイチェルのベッドルームに繋がるルート。

 もう一つはレイチェルの執務室、つまり長官室。

 居住空間とは異なるブロックにある、中央庁と呼ばれる建物内。

 三つ目は、治安省庁舎内。

 ほとんど使われることのない小部屋に繋がっているということだった。


「ところが、ルートが封鎖されているらしい」

 レイチェルの寝所ルートと長官室ルート。

 大量のコンクリートが流し込まれ、破壊しながら進める状況ではとてもないということだった。


「騎士団がここに来てから?」

「そう。奴らはレイチェルのベッドルームから入って来たそうだが、その直後に」

 騎士団はアンドロ蜂起後、どこを探してもレイチェルが見つからず、もしやと思い退避して来たという。


「ジャイロスコープは役に立たなかったのかしらね」

「さあな」

 アヤの言い方にも自分の言い方にも、あんなおもちゃが、というニュアンスがあった。

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