表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

106/258

106 突入部隊

 イコマは中途半端な気分だった。

 意識が朦朧、というわけではない。

 シェルタでは通信が途絶しているため、散漫な思いが浮かぶだけだ。

 まるで、疲れ果てて何も考えられないときのように。

 ンドペキ隊や騎士団の動きを、次々と映し出されるスライドショーのように、漫然と中身を理解することはできた。

 しかし、自分がどう対応すればいいのか、が判断できない。


 フライングアイはアギのもうひとつの思考体とされているが、多くの知識や経験などを動員した思考は、メインブレインに頼っている。

 移動思考体であるフライングアイ単体では、状況を把握する程度の思考は可能でも、深みのある思考はできない。


 ただ、かろうじて、この場から離れるべき、という思いは生じた。

 しかし、今はまだ早い。



 作戦のあらましは当然、頭に入っている。

 これまで幾度となく話し合われ、誰がどの隊に所属するかということさえ決まっている。


 戦闘能力を基準に少数精鋭の小部隊を複数展開。

 荒地でのマシン相手の戦闘ではなく、建物内の廊下が戦闘の舞台。

 大部隊より多数の小部隊ゲリラ戦が有利。


 ただ、騎士団とREF兵が加わったことによって、作戦の微修正はある。

 そして決行のタイミング。


 これを聞いておかねば。

 政府建物に突入するンドペキと、今後も同期が保たれるとは限らない。




 岩の上では、ブロンバーグ立会いの下、ンドペキとドトーが今後の共闘について、盟約を交わした。

 そして、具体的な作戦内容の協議に入っている。

 ブロンバーグは去り、岩の上にはンドペキ、コリネルス、パキトポーク、ドトー、そしてロクモンを討ったロクモン隊副官パッション。

 東部方面攻撃隊や騎士団員、ロクモンの部隊が、それぞれごとに固まって、その巨岩を取り囲み、座り込んでいる。

 REFの兵がそれを取り囲み、ローブの者達が幾分数は減ったとはいえ、遠巻きにしている。



 騎士団は、アンドロとの戦闘によって若干名が死亡していて、計四十二名。

 数名を除いて、政府建物内への侵攻部隊に編入と決まった。



 ンドペキは騎士団員を各隊に貸して欲しいと希望した。

 しかし、ドトーは頑な。

 チョットマの宣言、つまりレイチェルの命令に完全に納得しているわけでないようだ。

 全騎士団兵を自分が率いると、譲らない。

 しかし、騎士団解体を意図したものでない、政府建物内の道案内人が欲しいという説得に、やがては折れた。

 少数であれば出すと。


 予想はしていたが、このひと悶着で、ドトーの配下に入れる者を選ぶことができなくなった。

 攻撃隊員であれ、ロクモン部員であれ、REF兵であれ、誰もが尻込みするだろう。

 できることなら、政府建物内の構造に明るい騎士団員をまんべんなく各隊に編入したかったのだが。


 シェルタに現れた影の内、武装した者は、二百名ほどもいたが、ほとんどが骨董品並みの装備しか有しておらず、突入部隊に向いている者は少ない。

 従って、多数は街及びエリアREFそしてシェルタに展開する部隊とされた。



 突入部隊は四隊。

 ンドペキ隊は、スジーウォンの隊員と騎士団員二名含め総勢十八。

 パキトポーク隊は、騎士団員二名を含め総勢二十。

 ドトーの隊は、騎士団員二十名。

 そしてもう一隊。ロクモンの副官、ロクモンを粛正したパッション率いる二十名。

 ドトー隊以外にはいずれも少数のREF兵を配属。


 スジーウォンがいれば、もうひとつ、別働隊を作れるが、帰還を待つわけにはいかない。

 市長の、一刻の猶予もない、との言葉を受けたからには。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ