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巨獣黙示録 G  作者: はくたく
第6章 人造巨獣・鬼王
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6-12 鬼王vsパルダリス

「パルダリスに接近。鬼王を起動する」


 イーウェンの声に、前に座る二人が小さく頷いた。


「……了解。起動準備に入ります」


 ジャネアがスイッチを入れると、モードが切り替わったのか周囲を照らしていた緑色のLEDが青に変わる。


「…………まさか、パルダリスの近くにアレはいないでしょうね?」


 ジーランが口にするのもおぞましいといった様子で言った。

 「アレ」とはヒルのことであろう。


「分からん。だが、我々が落ち着いてさえいれば、鬼王自体は相手が何であろうと勝てる……勝てるはずだ」


 イーウェンは相変わらず無表情だが、その声は微かに震えているようだ。

 ジャネアは顔を真っ青にしたまま黙りこくっている。


「起動」


 イーウェンの音声入力により、海中を潜行する鬼核の周囲に、突然透明度の高い海域が突然現れ、鬼王の姿を形作っていく。それはまるで、海中をガラスで出来た巨獣が進んでいくようであった。

 それまで、周囲の海域に完全に溶け込みながら、鬼王の生体ユニット・ヒュドラ達は、鬼核に付いてきていたのだ。

 鬼核から銀色のアームが展開され、透明な巨獣に色彩が生じ始める。

 紅金色の鱗を持つサイボーグ巨獣が出現するころには、進行してくるパルダリスとの距離は数千mにまで縮まっていた。


「相対速度は二十ノット。約二分で攻撃可能距離に入ります」


「ジャネア。パルダリスの特徴は?」


 ジャネアは少し小首を傾げてから、報告を始めた。


「日本近海に住む、トラウツボという魚類の変異体のようです。

 全長は約五百mにおよびます。肉食傾向が強く、強い顎や鋭い牙は侮れません。

 ただ、エラ呼吸であることから、酸欠や急激な水質変化には弱いと考えられます。また、体表面は粘膜質に覆われて柔軟かつ強靱です。外部からの攻撃にかなりの耐性があると思われます」


 たしかにウツボの表皮は分厚い。

 普通のウツボであっても、やわなモリでは刺さらないことすらあるのだ。

 その上、首を切り落としてもしばらくは動いているほど、生命力も強い。

 そんな強靱な静物が巨獣化したうえ、シュラインの知能が付加されているのだ。鬼王といえど、油断できる相手ではなかった。

 一段高くなった座席に座っているイーウェンは、無数のコードが接続されたヘルメットを被り、鬼王と情報を交換し始めた。


「……カメの次はサカナが相手かよ……いくら鬼王でも、水中でサカナに勝てるのか?」


 イーウェンの右前方の座席に座ったいるジーランが、少し不安げな声を上げた。


「心配するなジーラン。

 鬼王のバイオユニットであるヒュドラもまた、本来は海生生物だ。たとえ相手が魚類でも、後れを取ったりはしない。それに……ネモはすでに、最適な戦闘方法を選択したようだぞ?」


「へえ。さすが鬼王、いやネモ様だ。あんなバケモノをどう料理するつもりですかね?」


「それはネモ次第、というところだな」


 ヒルのショックから完全に立ち直ったのか、冷たいイーウェンの声からは震えが消えている。ネモとやりとりをすることで、ようやく落ち着きを取り戻したようであった。


「パルダリスの基本データ入力完了。ネモが攻撃モードに入ります」


 ジャネアの声が響くと、イーウェン達三人は、データ入力作業を止めて姿勢を固定したまま、戦闘の開始を待った。

 戦闘中の機体に搭乗しながら何もしない。というのは一見、かなりな恐怖を伴うことのように思えるが、三人は冷静である。

 余程、鬼王とそれを制御しているネモに対する信頼があるのか、それとも一度死んでサイボーグとして蘇ったせいで、死そのものへの恐怖が薄くなっているのか……。

 どちらにせよ、鬼王の状態でいられるのは数分が限界なのだ。

 運を天に、いや鬼王に任せる以外に、彼等に出来ることはない。


 パルダリス。

 現認されている巨獣の中でも、最大のものである。

 G細胞によって、いかに強靱な骨格や筋力を持つに至っても、陸上では重力が働く為、その大きさに限界が生じる。しかし、完全に水中性であるパルダリスは、重力の制約を受けなかった。

 しかも、トラウツボは相手が生物であれば何でも食べる。

 十五年前の巨獣大戦時、パルダリスの発生した有明海近海では、魚類の姿がほとんど消える事態になった。

 成長期を終えたパルダリスは、その時ほど大量のエサを必要とはしていなかった。しかし、シュラインの意思に支配されてからというもの、ほとんど何も食べていない。

 パルダリスも、そしてパルダリスに宿ったシュラインの意識も、強い空腹感を覚えていた。


(ちょうどいい獲物だな……Gの前に滋養にしてやるよ)


 シュラインはパルダリスの中で呟いた。

 単なる機動兵器でなく、有機サイボーグである鬼王と接触したのは逆に都合がいい、と考えたのだ。

 大きく開かれた口、半透明に光る鋭い牙が鬼王の喉を狙って迫ってきた。

 一瞬、バネのように縮めた魚体を、一気に伸ばすことでトラウツボは獲物を捕食する。

 まだ数百mはあったと思われる距離が、一瞬にして詰まった。


「なかなかのスピードだな……」


 感心したようにイーウェンが呟いた。

 鬼王が避ける間もなく、喉元に牙が食い込んだのだ。

 激しい衝撃が鬼核全体を震わせる。しかし、鬼王は鎌状になった腕……サイスアームをふるうと、自身の喉元に食い込んだパルダリスの牙をあっさりと叩き切った。

 高周波振動するサイスアームだが、水中ではその威力も半減以下である。しかし、ネモは対象に接する一瞬を見極めて振動数を最大に上げ、硬質の牙を切ったのだ。

 パルダリスのあぎとからするりと抜け出した鬼王は、頭部に馬乗りになるようにしがみついた。

 そして、いきなりサイスアームをパルダリスの両眼に突き刺した。


(ぐ……この、カスが!!)


 三人の脳に、シュラインの思考波が響き渡った。

 生体電磁波である思考波は、海中では届くことはない。しかしサイスアームを突き刺すことで、直接シュラインの思考波が鬼王の中に流れてきたのだ。

 しかし、三人は眉一つ動かそうとはせず、座している。

 あくまで鬼王に戦闘のすべてを任せるつもりなのだ。


(ぐがっ!!)


 次の瞬間、シュラインの苦痛の思考波が響き、五百m以上に及ぶ長大なパルダリスの全身が、真っ直ぐに伸び、ビクビクと痙攣を始めた。

 サイスアームは体内で増幅した高圧の生体電流を流す極となっているのである。

 だが海中でただ電流を流しても、両極の間の空間にしか効果はない。ましてや巨大なパルダリスには殆ど効果はないだろう。

 しかし、こうして突き刺してしまえば話は別だ。しかも、両眼の間には脳があるのだ。

 いかに群体生物のシュラインといえども、脳を含めた神経組織は宿主のそれを利用している、いわば借り物である。

 シュラインそのものにはダメージを与えられなくとも、宿主である巨獣の動きを止めることは出来る。 現に明は、アルキテウティスをその方法で足止めしたのだ。

 そのことは、これまでのシュラインとの戦闘データをすべて網羅しているネモもよく知っていた。

 とはいえ暴れ出す前に仕留めなければ、振り落とされ、逆に破壊されていたかも知れない。相手に攻撃を成功させ、その隙を突いて視界を奪い、痛みで暴れ出す前の一瞬で仕留めたからこそ成功したのだ。

 これを判断し、実行した鬼王、いや鬼王の意志たるネモの知能は相当高いといえた。


 とどめを刺すつもりなのか、高周波震動しているサイスアームは、ズブズブと根元までパルダリスの頭部に埋まっていく。

 だがパルダリスの頭部は予想以上に大きい。鬼王の身長の三分の一にも達する長大な死神の鎌サイスアームですら、脳にまでは届かないようだ。


「水中では電流が拡散してしまうため、生体電流はあと十数分は使えない。このまま脳を破壊できなければ、ヤツの再生が始まる。詰めきれなかったな」

 

 ヘルメットを被ったまま、悔しそうにイーウェンが呟いた。

 珍しくネモと意見交換をしているようだ。

 ジーランとジャネアも手を動かし、新たなデータ入力を開始した。

 パルダリスは電流で硬直し、相手の急所はこちらの手の中。現在は、かなり有利な態勢に見えているが、決め手に欠けているのも事実だ。


「よし。ネモが次の戦術を選択した。全員、耐衝撃姿勢」


 三人はシートに更に深く腰かけた。

 すると、シートから保護具らしきものが現れ、手足を拘束するかのように締め付けていった。

 そして彼等のいる鬼核のナヴィゲートルーム全体が、低く振動を始めた。

 その振動音は、地鳴りのように遠くから響いてくるようであり、振れ幅も次第にその大きさを増していく。

 鬼王がサイスアームを抜かないまま、生体部分を震わせ始めたのだ。

 微かな震えのようだが、その振動は周囲の水を震わせ、像が歪んで視認できなくなるほどのエネルギーが渦を巻いているのが分かる。

 次第に振動数が上がるにつれて、セミが鳴く時のような音が、周囲に漏れ始めていた。


「来るぞ!!」


 イーウェンの声と同時に、一瞬光ったように見えた鬼王の体から、見えないエネルギーが放たれた。

 鬼核のナヴィゲートルームにも衝撃が走り、ベルトに縛り付けられたまま、三人は激しく揺さぶられる。

 次の瞬間、パルダリスの頭部から赤い煙のようなものがもやもやと立ち上った。

 目の傷跡や、口の中、エラ穴から血液が噴き出したのだ。


「ハイフレクエンシー・ウェーブ……こいつを食らえば、いかにシュラインといえど……」


 ジーランが言い掛けた時、先ほど以上の激しい衝撃が鬼王を襲った。


「な……なんだ!?」


「周囲に……多数の小物体。これは……生物?」


「外部モニターを!!」


「これは……魚じゃねえのか?!」


 そこに映し出されたのは、不思議な動きをする生物の群れだった。

 激しい戦闘の後で、周囲の海水は荒れている。魚であれば、波に揉まれるようにして流されながら迫ってくるはずである。

 が、その生物たちは渦を巻き、泡立つほどに激しく揺れている海水中を、ほとんど同じ場所に定位しているのだ。


「いや……この動きは、イカだ」


 イーウェンの言う通り、鬼核の外部モニターが映し出したのは、周囲を漂うように泳ぐ、大型のイカの群れだった。


「なんでイカごときにやられて、あんな衝撃が来たってんだ!?」


「また来ます!!」


 モニター上に見えるイカのうちの一匹が、すっと動いた。

 そして、急接近してモニターの視界から消えた、と同時に再び鬼王に先ほどと同じ衝撃が走る。


「体当たりされたようだ。ネモも分析に手間取っている」


 イーウェンが呟いた。

 体当たり、といっても見かけ上、さしたるスピードはないように見えた上に、イカの柔らかさである。あれほどの衝撃を与えられるはずがない。

 鬼王の生体中枢であるネモが戸惑うのも無理からぬ事と言えた。

 

「今の攻撃で、腹部ソーカッターの駆動系に異常。戦闘中は修復不能です」


 ジャネアが被害報告をする。

 冷静な声であったが、微かに震えているように聞こえるのは、先ほどの攻撃のせいだろうか。


「ジーラン。四肢の駆動系に被害はないか?」


「四肢は被害ありません。ですが……どういう攻撃なんです!? ネモにも判断付かないんじゃあ、どうしたらいいんですか!?」


「こういう時のための我々だろう。四肢の制御をネモから鬼核に変更。いったん、パルダリスから離脱してネモの分析完了を待つ」


 狼狽えたようなジーランに、イーウェンはあくまで冷静な口調で言った。

 鬼王の機械部分は、状況によってはナヴィゲータである搭乗者によって操作することが可能である。

 ジーランはサイスアームをパルダリスの目から抜くと、いまだに高電圧のショックから脱けきれずに痙攣しているパルダリスから離れた。

 離れてみれば、イカの群れは、周囲の海域を真っ黒に埋め尽くしている。数千、いや万の単位に達するかも知れない。イカはパルダリスの周囲にほぼ等間隔で定位し、動けない本体を守っているかのようだ。


「画像検索結果出ました。タルイカと呼ばれる、深海性の大型種のようです……とはいえ、サイズは一m程度。質量、速度とも特に大きくありません」


「体当たりのインパクトの瞬間をモニターで捉える以外にない。次の攻撃をサイスアームで受けられるか?」


「やってみます」


 ジーランは短く答えた。

 とはいえ、音響レーダーに映るイカの群れは次第に広く展開し、鬼王の周囲をほぼ完全に取り囲んでいる。

 これでは、どこから次の体当たりが来るか分からない状況だ。


「ふん…………来る方向を絞らせるか」


 イーウェンは鬼核の推進制御をしているジェット機構に火を入れた。

 左前方の、わずかにイカの密度が薄い部分を目がけて、一気に鬼王を加速させたのだ。

 水中でありながら、シートに押しつけられるような加速度を感じるのは、相当な速度で進んでいるからだろう。

 鬼王の突然の動きに、イカの群れは反射的に道を空けることになった。

 体当たりを攻撃方法としているとはいえ、やはり生物である。自分より大きなものが迫ってくると、反射的に逃げてしまうのだ。

 その間隙を縫うようにして、鬼王の巨体が囲みを抜けた。

 いったん散ったイカの群れは、我に返ったように追いすがってくる。

 だが鬼王は、囲みを抜けると同時に振り向き、ジェット推進を停めた。

 逃げるのが目的ではないのだ。追いすがってくるイカの群れは一方向からしか来ない。

 これならサイスアームで受けることが可能だ。


「コイツかっ!!」


 一番近くに迫ってきた一匹が、一気に加速してぶつかってきたのを、ジーランは進行方向を読み切って、サイスアームをかざした。

 次の瞬間、大きな衝撃音が鬼核内部に響き、イカの激突されたサイスアームの周囲が大きく泡立った。


「ば……爆発!? 自爆しやがった!!」


「ネモの状況分析完了。

 あのイカの体液もしくは内臓組織にはニトロ系の液体爆薬が含有されている可能性が高い。あのイカはすべて……生体魚雷と考えていいようだな」


「イカの群れが集結しています。パルダリスが……覆われていく」


 イカの群れはパルダリスの周囲に集まり、その体表を覆っていった。


「群体装甲……しかも爆薬付きってことか」


「爆薬で全身を包んでどうしようってんだ。高圧電流で全部誘爆させりゃ木っ端微塵だぜ!!」


 ジーランが、皮肉な笑みを浮かべた。


「いや、たった一匹であの爆発力だ。この距離であれだけの数が誘爆したら、鬼王も無事では済まない。ネモはそんな戦略は採らないだろう」


「じゃあ……どうしたら!?」


「何度も言わせるな。ネモに任せろ。ネモの戦略は完璧だ。敵の正体と攻撃方法が分かれば、負けはない」


「了解」


 それを聞いたジーランは、ふっと息を吐くと表情を消した。


「イカが数体分離しました。耐ショック姿勢を!!」


 ジャネアの声が響く。

 タルイカの群れに覆われたパルダリスの体表は、派手な赤褐色模様から、透明感のある茶褐色に変わっていた。

 その頭部あたりから、数体のイカが漂うように分離したかと思うと、高速で迫ってきたのだ。


「隊長! 早く耐ショック姿勢を!」

 

「必要ない。ネモは既に手を打っている」


 珍しく焦ったような声を出したジャネアに、イーウェンは抑揚のない声で答えた。


「ぶつかる!?」


 ジーランが思わず首をすくめた瞬間、高速で迫ってきていたイカの群れが鬼王の寸前ですべて爆散した。

 鬼王に達した個体は一体もない。

 何もないはずの水中で突然爆発したイカ達は、わずかな衝撃と膨大な量の泡を残して文字通り海の藻屑となった。


「な……何があったんです?」


「サスペンデッドバブルだ。海水を分解し、高濃度の塩酸と水酸化ナトリウム水塊を作り出し、ヒュドラの透明な生体膜で包んで周囲に漂わせている。視認も回避も不可能。突っ込んだイカはすぐに溶解される。あとは自分の生体爆薬でドカン、だ」


「まるで見えませんが、鬼王がぶつかったらどうするんです?」


「心配ない。ヒュドラの触手で位置を操作している。それに……サスペンデッドバブルは、副次品だ。」


「副次品?」


 ジーランの問いには答えず、イーウェンは黙ってモニターを見つめている。

 すると突然、鬼王の表皮を構成している金色の鱗の一部が、変形して離れた。

 分離した鱗は、後方に何かを噴射しながら、高速でパルダリスへ向かっていく。


「せ……生体魚雷……鬼王まで魚雷を!?」


「そうだ。新しい武器だ。海水の電気分解で得た酸素と水素を利用した、な。

 そろそろ、鬼王も起動限界時間に近い。パルダリスが爆発する前に、海域を離脱して起動解除するぞ」


「了解」


 鬼王はくるりとパルダリスに背を向けると、もう用はないとでも言うかのように、振り向きもせずに海面へ向かった。

 パルダリスからは、更に何体ものイカが分離して体当たりを敢行してくるが、そのことごとくが、鬼王に届かず途中で爆散していく。

 大きく迂回して鬼王を狙った個体もいたが、やはり届くことはなかった。周囲のすべてに鎧のようにバブルを漂わせているのだろう。

 だが、鬼王の放った生体魚雷もまた、イカの迎撃に遭いパルダリスに届くことなく爆散していく。

 海中を激しい爆発音と衝撃、そして細かな気泡が長時間海底を吹き荒れ、二体の巨獣は互いの位置を特定することも出来なくなっていった。

 

「起動解除しました」


 ジャネアの声と同時に海面から離脱したのは、銀色をした饅頭型の乗機、鬼核のみであった。ヒュドラ群体は海水に溶け込んでいるのか、まったく視認できない。

 鬼核は下面からジェット噴射を行い、海面をホバー走行していく。

 

「この勝負は痛み分けといったところか」


 相変わらず抑揚のないイーウェンの声にも、わずかに悔しさが滲んでいるようだ。


「我々が巨獣を仕留めきれなかったのは、初めてではないですか?」


 この戦闘が始まってから、ジャネアが初めて業務連絡以外の感想を口にした。


「鬼王……いや、ネモにとっては初めての海中戦だ。しかも知性を持った群体巨獣相手では、こんなところかも知れん。経験値を稼げたことで、よしとしておくべきだろう。本部へ報告しておく。シャンモン長官につなげ」


 メインモニターにシャンモン長官の顔が映る。

 イーウェンは、極東本部のベン=シャンモンに状況報告を始めた。


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