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巨獣黙示録 G  作者: はくたく
第5章 擬巨獣ダイナスティス
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5-7 昆虫群集 

「松尾さん!! 松尾さ―――――ん!!」


 驚いた表情の通行人達が振り返る。

 代々木公園。

 夏の薄暮時である。明治神宮に隣接するこの場所には、散歩姿や仕事帰りと見える人影も多かった。平穏に一日を終えようとする都会の風景。その一隅に突然現れた、見慣れない銀色のパイロットスーツを着込んだ若い男。伸ばし放題の長髪を振り乱し、必死の形相で紀久子の名を叫ぶ明は、突然現れたおかしな人にしか見えなかった。

 眉をひそめる者、失笑する者、何かのパフォーマンスと勘違いしたのか携帯のカメラを向けてくる者もいる。

 明は首を巡らせ、それら周囲の人間達を眺め渡した。


(いない……この中には少なくとも…………)


 G細胞で研ぎ澄まされた明の五感は、視界に入ったすべての人間を一瞬で識別していた。

 視界に入る人々の中には、紀久子もシュラインも見あたらない。すでに森へ踏み込んでしまったのだろうか。

 明は、夕焼けを背景に黒く静まる明治神宮の森へ向かって走り出した。


 森へつながる広い遊歩道が見える。

 紀久子は間違いなくこの森の中にいる。だが、ここまで近づいても、紀久子の匂いは以前のように視覚化されてこない。

 跡を追えないのだ。

 目を瞑り、嗅覚だけにその意識を集中させて初めて明はその原因に気づいた。


「ちくしょう!! この臭いか!? この臭いで僕の鼻を誤魔化していたんだな!?」


 懐かしい紀久子の臭い以外に、別の不快な臭いが重なっている。これが明の嗅覚を狂わせていたのだ。

 シュラインが何をしたのかは分からないが、その不快な臭いもまた、紀久子自身から発せられていることを、明の発達した五感は認識していた。

 それは昆虫が発する、捕食者に対する忌避フェロモンの一種だった。

 人間としての明には、どうということのない臭い。だが、明に超感覚を付与している巨獣Gの部分が、その臭いを生理的に受け付けないのだ。捕食者であるGの本能を併せ持ってしまった明は、この臭いを無意識に避けてしまう。


「行くしかない!!」


 恋い焦がれた紀久子の、優しい匂い。だが、それと同時に抗しがたい嫌悪感が全身を貫く。

 森の奥へ向かうために一歩、足を進めるだけでも、恐ろしいほどの精神力と体力を消耗していくのが分かる。それでもここで退くわけにはいかなかった。

 東宮の言葉から考えると、とにかく一刻を争うはずなのだ。感覚を狂わせる悪臭の奥にかすかに残る懐かしく甘い匂い。その欠片を闇雲に追って、明は茂みの中へ足を踏み出した。

 くるぶしが埋まるほど深く積もった落ち葉や枯れ枝を踏みしだき、鬱蒼とした森の中を進む。

 思ったよりは歩きやすい。真夏の森は林床まで日光が届かないため、陰生植物以外は生えていないのだ。

 歩を進めるたびに不快感は増し続けている。悪意そのものが密度を持った気体となったように明を包み込む。頭痛のような、吐き気のような、あるいは耳鳴りのような不快感が脳を揺さぶり続ける。一刻も早く立ち去りたいという本能を、脳裏に紀久子の笑顔を思い浮かべて抑え込み、力が抜けていく足を無理矢理前に進めていく。

 明はそのうち、おかしな事に気づいた。


(生き物の気配が…………ない)


 明治神宮の森は、都内有数の生物多様性を誇る空間である。

 そこには森をねぐらとする野鳥、タヌキやアライグマ、ネズミ、モグラといった哺乳類、ヒキガエルやトカゲなどの両生爬虫類……コンクリートに覆われた大都市のただ中とは思えぬほど様々な生物が住み着いている。

 明自身も小学生の頃、この森を歩く探鳥会バードウォッチングに参加したことがある。都会のど真ん中だというのに、オシドリやツグミなど数十種の鳥の姿を見て、驚いた記憶があった。

 それなのに、今は何も感じない。

 とはいえ、ここ数年で生物が減少したということではなさそうだ。

 Gの超感覚は、足跡やみ跡、糞など様々な生物の生活痕を捉えている。だが、その主である生き物の気配がすべて消え失せているのだ。

 まさに文字通り、森閑と静まりかえった森。

 明は立ち止まると、その超感覚を周囲に拡大していった。

 十メートル……二十メートル……五十メートル……百メートル……


(な……これは!?)


 研ぎ澄まされた聴覚に、大気を震わせる異様な震動が届いた。

 何かが高速で空気を叩き続ける音。だが音源は一つではない。ある範囲の空間そのものが震えているような感覚だ。その範囲の中に幾万幾億もの小さな音源があるのが分かる。その無数の音が混じり合い、共鳴し合って一つの低い震動波になり、周囲に発散されているのだ。


(虫の……羽音か)


 一つ一つの音源にまでその意識を集中してみれば、たしかにそのように聞こえる。

 だが、いったいどうしてここまで多くの虫が集まっているのか。皮膚を物理的に震わせるほどの空気の震え。虫の羽音とは思えないほどの震動だ。

 明は音の方角を見極めると、林床を真っ直ぐ走り出した。もう嫌悪感などと言っている状況ではない。目の前の藪に飛び込み、暗い森の中を走る。石や木の根に足を取られながら、約三百メートルの距離を、一気に駆け抜ける。

 どうやら音源は、森のほぼ中心部であるらしい。

 いくつかある遊歩道の、どれからも遠い場所だ。近づくにつれて、森に入ってから、まったく感じなかった生命の気配が周囲を覆い始めた。だがその気配は、明の動きに恐れも驚きもしない、無機質な反応を示している。

 ようやく、かすかな紀久子の匂いの源にたどり着いた時、そこには黒い霧のように昆虫の群れが集まっていた。無数に飛び回る小昆虫が走る明の顔に当たり、足元にもざわざわとした虫の気配が蠢く。

 その密度は異常という他はない。日暮れ時の暗さを差し引いても、一メートル先すら見透かせないほど飛び回る昆虫の群れが、鼻からも口からも侵入してきて、呼吸すらままならない。

 普通の人間であれば、ここまで来ることすら出来ないだろう。仮に来られたとしても、何か出来る状況ではない。


「松尾さん!! 松尾さん!! そこにいるんでしょう!? 帰りましょう!! 高千穂さんが待っています!!」


 体表を蠢き、目にも、耳にも、口の中にも、鼻にも、そして気管にも入り込む細かな虫。

 その虫を噛み砕き、吐き出す間も惜しんで呑み込みながら、明は紀久子を呼び続けた。


「早くここから逃げましょう!! 僕が……僕があなたを守りますから!!」


 その時。


“明君?”


 明の脳に直接、紀久子の思考が届いた。


“生体電磁波? 松尾さん!! 松尾さんなんですね?”


 明は自分自身の生体電磁波を、黒い霧の中心部に向けて放った。


“明君……私、あなたを殺さなくちゃいけないの”


 その思考波は、たしかに紀久子からのものだと、明には認識できた。しかし、その感触は驚くほど冷たく静かだ。


“何を言っているんです!? 松尾さん!! シュラインの命令なんか聞いちゃダメだ!!”


“シュライン様は私に、生涯のパートナーと生きる喜びを与えてくれたの。悪く言う人は許さない”


 凍り付くような思考波と同時に、虫で出来た黒い霧の流れが変わった。明の顔や目に、集中して襲いかかってくるようになったのだ。体表にとまった虫の中には、明の皮膚を噛みちぎるものや、体内に侵入しようとするものまでいる。


“くそおっ!! なんだこれは!! いったい何なんだ!!”


 襲い来る虫の群れの中で、明は闇雲に手足を振り回した。

 全身を昆虫で覆われ、口と言わず目と言わず、塞がれて息も出来ない苦痛と肉をついばまれる激痛。明の目からは涙が溢れ出していた。

 だが、涙の理由は体の苦痛ではない。

 紀久子の、抑揚のない冷たい思考波。未来を見失い、絶望に満ちた暗いその思考波は、明の思う紀久子のものではあり得なかった。

 あの、明るく、優しく、可憐で、春の日だまりを思わせる暖かさを持つ紀久子の気配。どんな時も力強く、前向きな思いを捨てない松尾紀久子はどこへ行ってしまったのか?

 こんなふうに紀久子を変えてしまったのは、他ならぬあのシュラインなのだ。明は目の前が真っ白になるほどの怒りを抑えつけ、必死で呼びかけた。


“松尾さん!! あなたは強い人だったはずだ!! 自分自身で生き方を決められる人だ!! 他人から与えられたもので、満足するような人じゃなかった!! 目を覚まして下さい!!”


“いいえ。これでいいの。私にはこれが幸せなの………………《……明君!!》”


“今……?”


 明は、自分を呼ぶ懐かしい響きを感じて顔を上げた。

 思考波の余韻。

 効果音のエコーにも似た、しかし、それよりもずっと微かな余韻の奧に、紀久子のもう一つの声が、たしかに聞こえた。


“気のせい? いや、違う!! 松尾さん!! 返事をしてください!!”


“明君……あなたを殺すわ。Gは呼ばないでね。私のためを思うなら…………《逃げて! 私のことはもういい!! 私はもう、人間じゃないの!!》”


 今度ははっきりと聞こえた。

 全身を蝕む昆虫の嵐の中、明はじっと踞り耳を澄ますように、すべての感覚神経を紀久子の《声》に向けた。


“僕は逃げない!! 逃げるものか!! あなたを救い出すって誓ったんだ!!”


“そう。逃げちゃダメよ明君。今、殺してあげる……………《じゃあGを呼んで!! 早く私を殺して!!》”


 冷たい紀久子の思考波に合わせて、昆虫たちの動きがまた変わった。

 明にまとわりついていた群れが、渦を巻きながらある一点へと収斂していく。虫の密度は一層濃くなり、まるで何ものかを形作ろうとしているようだ。

 ある一点……そこにいるはずの紀久子を呑み込んだまま、昆虫たちの群れはそれぞれの脚を、顎を、腹部を組み合わせ、あたかも元から巨大なロボットの部品でもあったかのように、隙間なく絡み合い、咬み合って強固なつながりを築いていく。

 やがて明の目の前に姿を現したのは、上下二本の角と、つややかな黄土色のはねを持つ 、巨大な甲虫の姿だった。体長は六十メートル程度だが、長大な二本の角を合わせると、全長百メートル近い。


「ヘラクレスオオカブト…………」


 明は誰に言うともなく呟いた。

 たしかにその姿は、子供の頃図鑑で見たことのある、世界最大と言われるカブトムシの姿に酷似していた。だが、それは一体のヘラクレスオオカブトではなく、その姿を模した昆虫の群れなのだ。中心部に紀久子を呑み込んだままの。

 東宮が『擬巨獣』と表現した、巨獣の大きさと力を持ちながら、巨獣ではない群体生物。


 「ダイナスティス」それがこの怪物の名であった。


 ダイナスティスは、ゆっくりと後脚で立ち上がった。

 もともと直立する体型なのだろう。二本の後脚だけは、前脚や中脚と比べて数段太い。

 しかし、長大な上下二本の角のうち、頭部に付いた下側は持ち上がりきらず、地面を擦るくらいの位置にあるため、まるで背中を丸めたように見える。

 胸部の方の角は、まるで背中に背負われたように斜め上方を指し、途中からカーブして前方へと向いている。

 宙に浮いた状態の前脚と中脚は、何かつかまる場所を探しているかのように、ふらふらと動いていた。


“シュライン!! どこにいる!! よくも……よくも松尾さんをこんなものにしたな!!”


 明の怒りの感情が、強い生体電磁波となって周囲に叩きつけられた。


“ふふふふ。そう怒らないでよ明君。せっかく君達が二人きりになれるようにしてあげたのにさあ”


 間を置かず、シュラインの嗜虐的な思考波が返ってきた。

 いったい、どこでこの光景を見ているのか? 明の激しい怒りの生体電磁波にも、まったく臆する様子は感じられない。


“ふざけるな!! 松尾さんを……松尾さんを元に戻せ!!”


“ははは。元はと言えばお前のせいだよ。お前がGなどになって僕の邪魔をしなければ、紀久子は、こんな目に遭わずに済んだのさ”


“なんだと!?”


 この状況を、むしろ喜んでいるような響きを放つシュラインの思考波に、明はさらに激昂した。


“紀久子は、Gを殺すためにああなったんだ。紀久子が人間じゃなくなったのは、Gを復活させた伏見明、お前のせいだよ!!”


 Gに敗北したシュラインは考えたのだ。

 汚泥から生まれた、群体型複合生物から受け継いだシュラインの体細胞には、巨獣化の因子がない。そのせいで生体電磁波もほんの微弱なものしか発振できなかった。

 ゆえに海底ラボに入り込んで、Gとの融合を試みていたのであり、それより以前からも複数の生物を自分の体内に取り込み、大型化を試みてもいた。

 しかしGの取り込みは失敗し、その他の生き物でも容易に巨獣化は出来なかった。哺乳類や爬虫類などの内骨格の生物では、群体化すると骨格同士が邪魔をして体型が維持できないのだ。

 

 そこでシュラインは、Gではなくその因子を持つ巨獣・バシリスクを蘇らせて操った。

 蘇らせたバシリスクは、シュラインの意思で動き、強力な生体電磁波能力と単体でも繁殖できる能力、何よりも様々な生物を取り込む能力までも得た。

 そのまますべての生物を取り込みながら、バシリスクの個体数を増やし、すべての生命を一つの意識の下に統合しようとした。だが、その計画はGとの戦闘に敗れたことで頓挫した。さらにはGの持つ共生生物メタボルバキア抗体のせいで、いったん取り込んだはずの人間や動物をも、取り戻されてしまった。

 これでは、今後どんな巨獣を同化して自分の意思の下に置こうとも、G血清を撃ち込まれればご破算だ。巨獣はシュラインの生体電磁波の中継器にもならなくなってしまう。


 あれほど利用したかった巨獣王G。

 だが、巨獣因子を得て、殆どの問題をクリアしたシュラインにとって、強い意志で邪魔をしてくるG=明は、いまや邪魔者以外の何ものでもない。

 だが、普通の内骨格生物はもちろん、なまじの巨獣ではGを倒せない。いや、G血清を撃ち込まれればシュラインの支配下から逃れてしまうのなら、どんな強力な巨獣を蘇らせようと意味がない。

 だったら、外骨格の生物ならばどうなのか。

 外骨格なら、お互いに組み合わさることで補強し合い、大型化しても崩れ去ることはない。単に一個体を巨大化したのでは、脱皮の際にやはり自重で体型が維持出来なくなるが、群体化であればそれも問題ない。いくらでも大きくできる上に、どこにでも出現可能だ。

 群体であれば、お互いに体液を交換していないためG血清の効果もない。これがシュラインの考えたG対策であった。


 現在地球上で、最も繁栄している外骨格生物は昆虫だ。昆虫に自分の細胞と能力を付加し、細胞ごと増殖させて操り、最強の昆虫群体を作りだせばいい。

 明のウィークポイントである紀久子を核にしてやれば、いい人質にもなる。

 万が一そいつがGに敗れても、核になる紀久子が生きていれば昆虫を材料にして何体でも作り直しがきく。メタボルバキアを体内に持つ邪魔なGをなんとしても始末しなくてはならないのだ。

 昆虫は五百万種とも一千万種とも言われるほど繁栄し、バイオマスとしても、全人類の約十五倍を超えると推定されている。これならば、材料には事欠かない。

 そうして作り出されたのが巨大なヘラクレスオオカブト・ダイナスティスであった。


“僕の細胞の運び屋として紀久子の肉体を使い、研究者として働かせ、ダイナスティスの実験体としても使い、最後にお前を釣るエサとして、女としても利用し尽くす。我ながら無駄のない計画だったね……”


 シュラインの、嘲るような思考波が明の脳に届く。

 相変わらず位置はつかませない。シュラインの細胞を持つ昆虫の群れは、今もダイナスティスの周囲に滞留して渦を巻き、それが思考波を乱反射させているのだ。

 だが、すぐ近くにいる。どこかから明と紀久子のやりとりを見つめながら、ほくそ笑んでいるに違いない。

 明は地に這った。両手両膝をついた姿勢で、力なく黄土色の巨大な甲虫を見上げる。

 昆虫の群れに切り刻まれたせいで、全身から出血している。臭いだけを頼りに、何日も紀久子を探して必死で走り続け、やっと辿り着いた結果がこれだ。

 シュラインは許せない。だがその怒りとは裏腹に、もう明の体には一滴の体力も残っていなかったのだ。

 Gを呼べば……そう考えた途端、明の胸に恐怖心がぎった。

 底なしの闇。

 数万年の孤独。

 怒りと破壊と殺戮の歴史。

 愛されたことのない魂。

 Gと同化し、その力を手にするということは、それらすべてを自分のものとして受け入れるにことでもあったのだ。 あんな思いをするくらいなら……。


(いっそ……ここで倒れてしまおうか)


 明は思う。紀久子を改造されてしまった時点で、自分は負けたのだ。

 もういいはずだ。間に合わなかったのだから。

 だれも明を責められはしない。

 その時。


“…………《…………にげて》”


 シュラインの思考に圧倒され、絶望と虚脱に打ちひしがれていた明の脳に、微かな紀久子の思考波が届いた。

 ダイナスティスの凶暴な意思に、取り込まれそうになっているのが、分かる。だが、紀久子はこの期に及んでも助けを求めていなかった。

 自分自身のことより、明を案じてくれているのだ。


“う……おおおおおお!!”


 絶望の淵にいた明の思考が爆発した。

 怒りで目の前が真っ白になる。

 体が燃え上がるように熱い。

 この怒りはシュラインへではない。諦めかけた自分自身への怒りだ。

 その怒りが火種となって、体の奥底からエネルギーが絞り出されてくるのが分かる。

 人間としての体力も精神力も使い果たしたその先に残っているのは、ただ生きていくための力、それだけだ。

 呼吸。心拍。血流。細胞の一つ一つの活動電位。

 それらから絞り出した力を、一つに束ねて全身を奮い立たせる。

 生命そのものを燃やし、紀久子への思いだけを支えに立ち上がる。

 もう怒りはない。紀久子の優しさが光となって自分に道を示してくれている。

 あの美しい心を持つ、かけがえのない人を、苦しみの淵から救い出すのだ。

 その為であれば、再びあのくらく、猛々しいGの意識と同化することも厭わない。

 明は自分の中に、巨獣の闘争本能がみなぎるのを生々しく感じていた。


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