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巨獣黙示録 G  作者: はくたく
第1章 プロローグ
1/184

§0 悪夢

登場する巨獣は、有名なアレに似ていますが、設定、性質、能力その他、違うモノですのでファンフィクションではありません。


 空が燃えている。

 真っ赤な炎を照り返して、夜空が赤く燃えているのだ。

 目の前に広がっているのは都市だ。オフィス街らしき建物が整然と並んでいる都市だ。

 だが、そこに人の気配はない。

 乗り捨てられた車。

 窓の割れたビル。

 傾き、電線のはみ出たコンビニの看板。

 燃える街路樹や家。

 そして、大きな地割れに引き裂かれた道路……どれも見慣れない景色だ。

 見渡す限り同じような廃墟が続くその光景は、ひどく殺風景で、つまらないものに思えた。


 ビルの谷間には、先ほど自分が斃した敵が転がっている。

 仰向けに倒れ、だらしなく口を開けた敵の屍体を、大した感慨もなく眺めた。

 周囲をさっきからうるさく飛び回っているのは、小型ヘリコプターのようだ。

 特別に理由もなく、それを目で追ってみる。視界から消えかけたヘリを、首を回して追う。すると振り向かれたことに驚いたように、ヘリが急に速度を上げて逃げようとした。

 本能的に歩いてさらにヘリを追う。さすがにあの速度には追いつけないが、遠くの敵を『……ヤメロ』倒す事は出来る。

 尻尾から背中に力を込めれば、『ヤメロ!』こみ上げてくるエネルギーがある。それを口から『ヤメロ!! ヤメテクレ!!』吐き出せば、かなり遠くの敵でも倒せるのだ。

 少し的が小さいが……これだけ近ければ『タノム! ヤメロ!!』外すことはあり得ない。

 目の前の火を吹き消すようなものだ。ヘリに対して何の感情も『ダメダ!! ヤメロ!!』持たないまま……怒りも、憎しみも、哀れみも、いらつきさえも感じないまま、『ヤメロ!! ヤメロ!! ヤメロ!!』口から一気にエネルギーを吐き出した。『ウワアアアアアア!!』



 目覚めた時、彼は海にいた。

 どうやら気づかないうちに眠ってしまっていたらしい。どちらへ進んでいたのか、分からなくなっている。

 そういえば、クジラやマグロは泳ぎながら脳を半分休めて、眠ることが出来ると聞いたことがあるが、本当にそんなことができるものなのだろうか?

 進行方向が狂っているとまずい。しかし、あいにく今夜は星も出ておらず、目で見ただけでは方角が分からない。仕方なく、地磁気を使って方向修正を試みる。やはり想定していた方角より、数度西にずれていた。


(…………急がなくては)


 気持ちが焦る。

 目的地までは、まだずいぶんあるはずだが、水温は急に下がり始めたようだ。寒流の影響のある場所まで来たのだろう。赤道直下からここまで、相当の距離を進んで来てさすがに少し疲れたが、今はそんなことを言っている場合ではない。

 

(もう二度と…………繰り返させるわけにいかない)


 強い決意を胸に、彼はスピードを上げた。

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