未来息子座談会 〜レリオ、エーブル、レオドール、フィリオ編〜
白い円卓を囲むように、
未来から来た息子たちは席についていた。
「実は、僕たちの両親の物語が、
短編集になったらしいんです」
フィリオが、茶を飲みながら口を開く。
「へぇー」
レオドールが素直に目を丸くした。
「しかも、読み放題でも読めるとか」
「読み放題……?」
エーブルが首を傾げる。
「つまり、たくさん読めるってこと?」
「多分、そういうことだと思います」
「……あ。
ちなみに、この座談会はなろう限定らしいですよ」
「限定?」
レオドールが瞬く。
「短編集には、毎回違う座談会が付くらしいです」
「そんなにあるの?」
「作者が、“未来息子増えすぎた”って言ってました」
「確かに、増えてるよねぇ……」
しばらく、
茶を啜る音だけが響いた。
やがて、
レリオがふと思い出したように顔を上げる。
「……そういえば、
皆さんはどうやって過去へ行ったんですか?」
レオドールが目を丸くする。
「過去?なんのこと?」
一瞬、空気が止まった。
「……え?」
今度はレリオ達が固まる。
「いや、過去へ行ったんですよね?」
「うーん……?」
レオドールは困ったように首を傾げた。
「過去っていうのは分かんないけど、
なんか急に、母上が毒の冤罪ふっかけられてる所に落ちたんだよね」
「…………」
三人が沈黙する。
「……ん?どういうこと?」
エーブルが首を傾げた。
「僕、普通に“母上!”って呼んだだけなんだけど、
なんか皆すごい驚いてたなぁ」
レリオの頬が引きつる。
「それ、気づいてないだけじゃ……」
「ん?なんか言った?」
「……いえ」
レリオはそっと視線を逸らした。
「ぼ、僕の場合は――」
フィリオが軽く咳払いする。
「父上、未来では母上しか見えてないのに、
過去では婚約破棄しようとしてたので、
止めに行きました」
「……え?」
レリオが思わず身を乗り出す。
「もしかして、
うちの父上と同じ系統ですか?」
「同じかは分かりませんけど」
フィリオは静かに茶を飲んだ。
「未来の母上の写真を持参して、過去へ行きました。
……父上の指示で」
「写真?」
レオドールが不思議そうに瞬く。
「僕はねぇ!」
今度はエーブルが元気よく口を開いた。
「母上、聖女なんだけど、
家族で神殿に行った時に、
大神官様に直接お願いされたんだ!」
「“聖女リディアを真に覚醒させてください”って!」
「へぇ……すごいですね」
フィリオが素直に感心する。
「無事やり遂げたよ。
僕、もう十歳だからね!」
エーブルは胸を張った。
その誇らしげな顔に、
レリオが思わず吹き出す。
「僕の場合は……
お茶を飲んでる時に、
突然僕の娘が現れました」
「え?まだ結婚もしてないよね?」
レオドールが目を丸くする。
「そうなんですよ」
レリオは遠い目になった。
「部屋でくつろいでたら、
急に未来から娘が現れて……」
「父のやらかしのせいで、
僕と娘の存在が消えかけてるって」
「しかも、世界が危ないとか言い出して」
「……え?」
フィリオの口元が引きつる。
「それ、規模おかしくないですか?」
「本当に」
レリオは勢いよくどんっ!と円卓を叩いた。
「いきなり、
“世界の命運は貴方にかかっていますので”とか言われて、
婚約破棄の場へ飛ばされた僕の気持ち、
分かります?!」
しん――
と、円卓が静まり返った。
「みんな、聖女とか婚約破棄とか、大変だったんだねぇ」
レオドールが、のんびりと呟く。
「過去へ行くとか、僕には信じられないなぁ」
その瞬間。
三人の視線が、一斉にレオドールへ向いた。
「……?」
レオドールだけが、
本気で不思議そうに首を傾げていた。
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