伯爵令嬢ドロシアと妹と嫉妬
異世界に転生して、伯爵令嬢ドロシアとして育った。そして、侯爵家出身のセドリックと、私は婚約した。
けれど、私の妹であるパウリーネがすごく嫉妬してきた。家の中でもパウリーネはずっとわめいてくる。
「なんでドロシアお姉様なんかが、セドリック様と婚約するんですか。セドリック様はとってもかっこよくて優しくって、すっごくいい人じゃないですか。ドロシアお姉様だけずるいですっ」
パウリーネはそんなことばかり言ってくる。困ったなあ。
「いつかパウリーネにもいい相手が見つかりますよ」
私はそんな無難な返事をしたのだけれど、パウリーネの不満は止まらなかった。パウリーネは私の悪口を広めたり、私の物を壊したりし始めた。
私がパウリーネを何度注意しても、パウリーネの嫌がらせは止まらなかった。だから、自分は完全なる被害者として振る舞い、周囲の人々にパウリーネを注意してもらおうと思った。
お茶会やパーティの場でも、パウリーネは私の悪口をひたすら言った。他の貴族達に言い聞かせるよう、パウリーネは騒ぎ立てていた。
「ドロシアお姉様なんかより、私の方がかわいいに決まっています。私の方が絶対愛されるはずでしょう。ドロシアお姉様が不幸せになって、私が幸せになるべきですっ」
パウリーネが文句をひたすら言う横で、私はとても悲しそうな表情を浮かべてみせた。そして、私はパウリーネの悪口を言わず、ただただ被害者としての振る舞いに徹した。
そうしたら、他の貴族達がパウリーネの陰口を言い出した。
「パウリーネ様は性格が悪すぎます。姉のドロシア様はおしとやかに振る舞っていらっしゃるのですから、パウリーネ様も見習えばいいのに」
他の貴族達のウワサが回り回って、私達の両親にも届いた。そのため、家で両親はパウリーネを呼んだ。
「パウリーネ。身内の悪口を言いふらすだなんてとんでもない。我が家の名を汚すような、恥ずかしい振る舞いをするんじゃない」
両親はパウリーネをひたすら叱った。でも、パウリーネは反省しなかったらしい。
ある日パーティ会場で、パウリーネはセドリックに近づいた。パウリーネは胸元の谷間がガッツリ見えるよう角度を調整しつつ、甘ったるい声でささやいた。
「セドリック様、あんなドロシアお姉様との婚約を破棄しませんか。ドロシアお姉様より私の方が若くてかわいいでしょう。私はセドリック様とぜひとも結婚したいのですけれど、いかが思われますかぁ」
パウリーネはそんなことを言いつつ、セドリックにすり寄った。すると、セドリックはとても迷惑そうな表情を浮かべた。
「申し訳ございませんが、僕はパウリーネ様のことが嫌いです。ドロシア様の悪口を言いふらすパウリーネ様なんかより、パウリーネ様のことを悪く言わなかったドロシア様の方が、人として信頼できます」
セドリックはきっぱりと言って、パウリーネから離れて、私の方へと歩み寄る。すると、パウリーネは泣き出した。
「セドリック様は私を選んでくださらないのですね。私の方が絶対いい女なのに」
パウリーネはそう言って逃げ出した。私は追いかけるべきか悩んだけれど、今私がパウリーネに話しかけても傷つけるだけだと悟ったので、そっとしておくことにした。
「セドリック様、私なんかと本当に結婚していいのですか」
ふと気になったので、そのように聞いてみる。すると、セドリックは穏やかに微笑んだ。
「僕はドロシア様と結婚したいと思っております。ドロシア様の隣は安心できますから」
セドリックの言葉を受けて嬉しく思った。セドリックが婚約者でよかったと、心の底から感じられた。




