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紅蓮の嚮後 〜桜の鎮魂歌〜  作者: 佐倉井 鱓
一歩の先へ

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第89話 本物の反応

レイチェルの部屋を後にし

扉の音が背後でそっと重なった時──


時也は、ようやく

胸の奥に溜まっていた息を細く吐き出した。


熱を帯びていた空気が

廊下に一歩踏み出しただけで、すっと冷える。


灯りを落とした夜の館は

床板の艶やかさだけが月光を拾い

静謐という名の薄い膜を張っていた。


時也は、自分の靴音さえも

この静けさを乱すのではとでもいうように

意識して歩幅を狭める。


胸の内には

ささくれのような不安の欠片が残っていたが

それを表に出すことはしない。


リビングへ続く階段を下りようと足を向けた

その時だった。


視界の端に──影が揺れる。


階段の下。

そこに、アリアが立っていた。


肩に薄いストールを掛け

背から射す月光をその身に纏っている。


外の夜気を連れてきたような冷たさと

そこに潜むかすかな温度。


輪郭だけで

世界から切り離されたようなその姿は

現実よりもむしろ夢の一部に近しく

儚く、美しかった。


思わず足が止まる。


彼女の名を呼ぶより先に、時也はほんの僅か

驚きの気配を瞳に浮かべた。


「⋯⋯アリアさん。

待っていてくださったんですか?」


問いかけは、囁きに近かった。


アリアは

ほんの少しだけ顎を傾けるようにして頷く。


それだけの仕草でさえ

彼女が纏う沈黙の気高さを損なうことはない。


ただ〝ここにいる〟と

その在り方だけで告げている。


時也は、安堵を胸の底に沈めるように微笑し

階段を降り切ると、そっと片手を差し出した。


アリアは、迷いのない動きで、その手を取る。


指先が触れ合う瞬間、ひやりとした肌の温度と

内側に確かに流れている命の気配が

掌越しに伝わってくる。


それだけで──

たった今まで別の場所で見てきた

〝崩れかけた記憶の心の声〟と

〝ここにいる彼女〟との境界線が

はっきりと引き直された気がした。


「ソーレンさんが居ますし⋯⋯

レイチェルさんは、もう大丈夫でしょう」


柔らかな声が、ふたりの間の空気を撫でる。


アリアの睫毛がわずかに震え、紅の瞳に

安堵と呼ぶにはあまりに細やかな揺らぎが灯る。


その変化を確かめるように

一瞬だけ視線を絡めると、時也は彼女の手を引き

ゆっくりとリビングへと歩き出した。


ソファの前には、すでに青龍が控えていた。


幼い姿の式神は

主と、その妻を迎えるべき位置で

静かに背筋を伸ばしている。


時也はアリアをソファへと導き

彼女が腰を下ろすのを見届ける。


ストールの端が膝に滑り落ち

白い足首が月明かりの筋に縁取られた。


その手を離そうとした、その瞬間──

アリアの指が、きゅ、と

時也の手を掴んだまま、放さなかった。


わずかに目を瞠る。


普段ほとんど変化を見せない彼女の表情の

その奥に、確かに〝案じる色〟が宿っていた。


(⋯⋯お前が、まだ⋯⋯辛そうだ⋯⋯)


声にならない声が、胸の奥に直接落ちてくる。


その不器用な優しさに

時也は小さく息を吐き、目元だけで笑った。


アリアの前に片膝をつき

自然な所作で、握られた手を両の掌で包み込む。


「お優しいですね、アリアさん。

貴女が案じてくださるだけで──

僕はそれだけで幸せを感じられます。

⋯⋯もう、平気ですよ」


言葉は穏やかだったが、その一語一語には

さっきまで胸を締めつけていたものを

彼女の前でそっと溶かしていくような

重みがあった。


アリアの瞳に、かすかな波紋が生まれる。


感情と呼ぶにはあまりに細く

だが、確かにそこに在る揺らぎ。


それを見届けると

時也はそっと彼女の手を離した。


代わりに、視線を足元へ落とす。


ストールから零れた白い足が

月光を受けて淡く光る。


生者の肌でありながら

どこか現世の律から少しだけ外れたような

冷たく清澄な白。


時也は、躊躇いなく手を伸ばした。


指先でそっと足首に触れ

そのまま甲を支えるように持ち上げる。


触れた瞬間、ひやりとした温度と

皮膚の下に静かに流れる鼓動の気配が

掌に染み込んでくる。


冷たいのに、なぜか心が落ち着いていく。


この世界において

どれほど常識外れの存在であろうとも──

自分の手の中にあるのは、紛れもなく

〝守ると決めたひとりの人〟なのだと

改めて思い知らされる。


「今宵は⋯⋯良い夜ですね」


言いながら、彼は唇をわずかに綻ばせた。


「貴女を愛するのは──

〝僕だけ〟になれたのですから」


ソーレンの胸の中にあった揺らぎが

別のかたちへと落ち着いたことを

時也は知っている。


それでも、この一言は

彼自身のための確認であり、誓いでもあった。


持ち上げた足の甲へと顔を寄せ

そっと唇を落とす。


触れるか触れないかという程の

ひどく短い接吻。


けれどそこには

臣下の礼にも似た忠誠と

夫としての独占欲と

祈りにも似た愛情が

全てひとつに溶け合って込められていた。


アリアの白い足に、時也の吐息がかすかに触れ

月明かりがその仕草の一部始終を静かに照らす。


──次の瞬間だった。


持ち上げられていない方の足が

反射のような速さで動く。


白い軌跡が一閃し

時也の身体を容赦なく捉えた。


「⋯⋯わぅ⋯⋯っ!」


間抜けな声とともに

彼の身体は軽く弾き飛ばされ

そのまま後方へとひっくり返る。


床に背中を打ちつけ、後頭部が小さく鳴った。

見慣れた天井が、視界の中でわずかに揺れる。


ソファの脇でその一部始終を見ていた青龍は

深々と溜息を落とした。


「⋯⋯さすがのアリア様でも

足の甲に接吻などとされては──

いささかお恥ずかしかったのでしょうな。

あるいは、擽ったかったのかもしれませぬ。

やれやれ⋯⋯」


こてん、と転がったままの時也を

ちらりと見やり

幼子の顔に似合わぬ老成した苦笑を浮かべる。


「⋯⋯はは⋯⋯」


時也は、自分でも情けないと分かる声で笑い

差し出された青龍の小さな手を取って

起き上がった。


頭を軽く押さえながらアリアに目を向けると

彼女はいつものように無表情を保っている。


ただ、その頬が、月光の下で

ごく僅かに色づいているのを

見逃すほど鈍くはない。


「⋯⋯ふふ。すみません、アリアさん。

ですが、どうしても──

〝そこ〟でなければならなかったのです」


軽口に聞こえるように

あえて柔らかな声色で告げる。


アリアと青龍が、同じ角度で首を傾げた。


静かに

しかしあからさまに〝理由を問う〟視線。


時也は、その視線を真正面から受け止める。


先程まで胸にこびりついていた棘は

まだ完全に消え去ったわけではない。


アリアの記憶をなぞったレイチェルの姿と

今、ここに座している彼女。


そのどちらに対しても

〝アリア〟と呼びかけた自分自身への

ささやかな罰のようでもあった。


言葉にはしないまま

その想いだけを胸にしまいこんで

時也は再びアリアの前に膝をついた。


胸の奥で、ようやくひとつ

大きな結び目が解けていく。


「⋯⋯では、もうお休みになりましょうか」


柔らかな誘いに、アリアは黙って頷いた。

言葉はないが、重ねられた返答は十分だった。


差し出された手に、彼女の手がそっと重なる。


指を絡めると、ふたりの間で鼓動がひとつ

またひとつと歩調を合わせていくようだった。


時也は穏やかな笑みを浮かべ

立ち上がりながらアリアを導く。


夜の館は

再び静寂という衣を纏い、ふたりを包み込む。


青龍は、その背を見送るように目を伏せ

幼い身体でありながら

古い侍従のように深く一礼した。



寝室の扉が、内側から静かに閉じられた。


金具の噛み合う乾いた音が

外界との最後の繋がりを断ち切る。


この瞬間から

この部屋はふたりだけの世界となる。


時也は、扉に背を向けたまま

壁際のスイッチへと手を伸ばした。


天井灯の強い光が落とされ

代わりにスタンドライトの柔らかな灯がひとつ

花弁のように部屋を満たしてゆく。


床に落ちる影は輪郭を失い、色彩は静かに和らぎ

尖った現実だけが

そっと隅へと追いやられていった。


淡い光に照らされるアリアは

そこに静かに立っていた。


先程まで廊下で月光を背負っていた女王の姿は

この小さな寝室の中では、少しだけ輪郭を緩め

一人の(ひと)としての温もりを帯びている。


それでも、その沈黙と背筋の伸びた立ち方は

彼女が纏う〝特別〟を

簡単には手放してはくれない。


時也は、ゆっくりと歩み寄った。


足音を絨毯が吸い

一歩ごとに距離が、世界が縮まっていく。


「アリアさん。ストールをお預かりしますね」


そう言って差し出された手は、いつものように

礼儀正しく、どこまでも慎ましい。


今この場にあるのが寝室だということを

あえて忘れさせるような、変わらぬ敬意。


アリアは、その声音を聞いた途端

一瞬だけ視線を伏せた。


睫毛の影が頬に落ち

その僅かな陰りが、胸のどこかをふいに掠める。


だが──次の瞬間


彼女の白い指先は、ストールには触れなかった。


代わりに

寝間着の腰に結ばれた紐へとそっと伸びる。


しゅるり──と。


布が擦れ合う音が

静まり返った部屋にくっきりと響いた。


結び目が解け、紐がするりと抜け落ちる。


重みを失った布地が

肩口から滑り落ちる水面のように

音もなく彼女の肌を零れさせていった。


薄明かりが、白磁のような肌の曲線をなぞる。


鎖骨の陰影、華奢な肩、細い腕のライン──

光と影が、その一つひとつに静かな輪郭を与え

触れなくとも形を理解できてしまうほど

鮮やかに浮かび上がらせる。


息を呑む、という動作が本当に存在するのだと

時也は思った。


胸の奥にあった空気が

一瞬で掻き消えたように苦しくなる。


名を呼ぶことすら憚られるほどの静寂が

ふたりの間に落ちた。


「⋯⋯アリアさん?」


辛うじて絞り出した声は

我ながら情けないほど掠れていた。


その呼びかけに

アリアはゆっくりと顔を上げる。


深紅の瞳がまっすぐに彼を捉える。


羞じらいでも誇りでもなく──

ただ、揺るぎない意志だけを湛えた眼差し。


アリアは何も言わず

細い両腕を静かに持ち上げた。


その白い腕が、灯りの中をゆるやかに弧を描き

やがて時也の首に絡む。


その動きには

妖艶と呼ぶに足る滑らかさがあった。


だが同時に〝ここに留まれ〟と命じるような

確固たる意志の重さがある。


自然と、時也の身体は前へと引き寄せられた。


腰をわずかに折り

彼女の顔がすぐそこにある高さまで身を屈める。


吐息が触れ合う距離──


深紅の瞳を覗き込めば

自分の影が、小さく映っているのが見える。


その距離で、アリアは初めて口を開いた。


「⋯⋯お前は、何に⋯⋯怯えている?」


その一言が、鋭く胸の奥を射抜く。


心の扉を、見透かされていたのだと

いとも容易くこじ開けられた気分だった。


隠しているつもりだった。


笑みと敬語と平静で

覆い隠しているつもりだった。


それでも──この()にだけは

とうに見抜かれていたのだと知らされる。


時也は、一瞬だけ目を伏せた。

逃げるためではなく──覚悟を定めるために。


そして、腕を回す。

彼女の裸身を包み込むように、強く。

まるで、誰にも奪わせまいとするように⋯⋯


「⋯⋯貴女は、誰よりも慈愛に満ちた

そして誰よりも美しい人です」


耳元で囁く声は、震えを孕んでいた。


それでも、一語一語を落とすごとに

自らの内側へ杭を打ち込んでいくような

確かさがある。


「誰もが愛する⋯⋯

魔女にとっての唯一無二、絶対なる女王──」


アリアの眉が、僅かに動いた。


喜びでも誇りでもなく

その言葉に込められた敬称の重さに

どこか痛みを覚えたかのように。


それでも、時也は

抱き締める腕の力を緩めなかった。


むしろ、より一層──強く。


温もりを込め

指先にまで意思を行き渡らせるように。


「僕は⋯⋯貴女を奪われたくないんです」


胸の奥底に沈めていた恐怖が

ついに言葉となって零れ落ちる。


「誰にも。

他の魔女にも──不死鳥にも⋯⋯っ」


〝不死鳥〟の文字を吐き出した瞬間

喉がかすかに軋んだ。


自分を殺し、彼女を縛り続けた存在への憎悪と

再び彼女を奪い去るのではないかという恐怖。


その両方が絡まり合って、声帯に棘を残す。


アリアは、その胸に顔を埋めたまま

静かに言葉を紡いだ。


「⋯⋯違う」


布でも髪でもない、素肌越しに届く微かな響き。


「私は⋯⋯今では⋯⋯唯の──〝咎人〟だ」


その言葉に、時也の腕がほんのわずか、緩んだ。


抱き締めているはずの身体がその一言で

指の間から零れ落ちてしまいそうな

そんな錯覚に襲われる。


不死鳥の炎で一族を焼き尽くした女。


魔女狩りの象徴として

恐怖と憎悪の中心に立たされた存在。


アリア自身がその全てを

自分の罪として抱え込んでいることを

時也は知っている。


だからこそ

その自己規定の一言が──彼には耐え難い。


「罪を贖うべきは⋯⋯不死鳥です!」


ほとんど咄嗟に、声が迸った。

抱擁が、再び強くなる。


まるで、その言葉で彼女の肩に積もった罪を

振り払おうとするかのように。


「貴女は、僕の愛する──ひとりの女性です」


それは

陰陽師の判断でも、世界の公理でもない。


櫻塚時也という

一人の男のわがままな宣告にすぎない。


それでも、彼にとっては

それが唯一の真実だった。


アリアの睫毛が、彼の胸元でかすかに震える。


驚きにわずか目を見開き

それからゆっくりと瞼を閉じたのが

腕の中の気配で分かった。


アリアの指先が、背中から肩へと滑り上がる。

軽く肩口を撫でてから、ぽつりと問いが落ちた。


「今は布一枚、持たぬ私でも⋯⋯か?」


羞じらいを隠すような冗談ではなかった。


不死鳥の炎も、女王としての名も

何も纏っていない自分を

〝それでも愛と呼ぶのか〟という、静かな確認。


時也は、その問いに迷いを挟まない。


「はい」


間髪を入れずに返されたその一言には

躊躇いも装飾もない。


「不死鳥の力など無くとも

アリアさんは僕の──女王です」


彼女を頂点に据えるのは

魔女たちの信仰でも、教会の判断でもない。


ただひとりの男の〝絶対的な価値観〟の宣言だ。


その確信に満ちた声に

アリアの唇がかすかに動いた。


「勘違いするな⋯⋯」


その前置きに、時也は思わず瞬きをする。


拒絶の言葉かと身構えた彼の胸の中で

アリアはそっと顔を背けた。


わずかに、耳が赤い。


「私の名は⋯⋯アリア・櫻塚⋯⋯」


そこで一拍、ことさらに間を置く。


「唯の⋯⋯お前の〝妻〟だ⋯⋯馬鹿者」


静かな声の中に、かすかな照れと、呆れと

甘さが混ざり合っている。


長い年月、女王として呼ばれ続けたその名に

〝櫻塚〟という

ひとつの姓が重なったことの意味を

誰よりもわかっているのは彼女自身だ。


その言葉が、時也の胸に深く突き刺さる。

次の瞬間、彼の顔がぱっと明るくなった。


制御していた感情が一気に堰を切り

瞳が子どものように輝く。


「アリアさん──っ!」


名を呼ぶ声が

もはや敬意の響きを留めながらも

どこか弾けている。


時也は、再び彼女を強く抱き締めた。

首筋に顔を埋め、深く息を吸い込む。


金糸のような髪の香りが、懐かしい安堵と

今この瞬間だけの甘さを混ぜ合わせて

胸の奥深くまで染み渡る。


「今夜は隅々まで⋯⋯」


耳元に落とされる囁きは

普段の彼には珍しいほど艶を帯びていた。


「アリアさんが僕の妻であることを

実感しても──よろしいですか?」


その問いかけは、欲望の宣言でありながら

最後まで彼らしい礼儀を失ってはいない。


許しを請うような慎ましさと

どうしようもない独占欲が

同じ一文にひしめき合っている。


アリアは、彼の肩にそっと額を寄せ

視線をそらしたまま、ほんのわずかに頷いた。


その小さな動きひとつで

全ての答えが示される。


それを確かに感じ取ると

時也は腕の回し方を変え

彼女の身体をふわりと抱き上げた。


軽い、と思う。

それでも、その軽さを言葉にはしない。


彼にとって、その重みはいつだって

〝世界ひとつ分〟の価値を持っているからだ。


アリアの腕が、彼の首にきちんと回される。


時也の足が一歩引き

濃藍の着物の裾が柔らかく翻った。


ゆっくりとベッドへ向かうあいだ

部屋は再び静寂を取り戻す。


床板の軋みも、衣擦れの音も

ふたりの呼吸に溶けていく。


ベッドの縁が脚に触れたところで

時也は身を屈め

アリアをそっとシーツの上へと横たえた。


白い喉元に髪が流れ、灯りがその一房一房を

金の糸のように照らし出す。


互いの温もりが、ふたたび重なり合う。


不安も、悲しみも、罪の記憶も──

今だけは、肌と肌の間で熱に溶かされてゆく。


アリアの指が、時也の髪をゆっくりと撫でる。


その仕草は、言葉よりも雄弁に

〝ここにいていい〟と告げていた。


時也の掌が、アリアの背を包むように支える。

守るための腕ではなく、確かめるための腕。


自分が握り締めているものが

想いと誓いの結晶なのだと

改めて刻みつけるように。


今この瞬間

世界の果てがどこにあるのかも

どれほど多くの血と涙が流れてきたのかも

ふたりは忘れている。


あるのはただ

アリア・櫻塚という一人の()

櫻塚時也という一人の()

互いの存在を確かめ合うために寄り添う──

ひとつの夜。


夜の帳が

窓の向こうからゆっくりと降りてくる。


揺れる灯りが

シーツの上のふたつの影を柔らかく包み込み

やがてその輪郭さえも

静かにひとつへと溶かしていった──

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