表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅蓮の嚮後 〜桜の鎮魂歌〜  作者: 佐倉井 鱓
重力を司りし者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/43

紅蓮の嚮後 〜桜の鎮魂歌〜 世界・舞台設定

紅蓮の嚮後(きょうご) 〜桜の鎮魂歌〜

お読みくださり

心から、ありがとうございます!


この物語の風景をイメージしやすくなればと思い

記述させていただきます。




舞台と世界観 ─作品と史実─


❀.舞台の全体像


紅蓮の嚮後の舞台となる世界において

作中では明確な国名は表記していません。


しかし、その街並みや文化の意匠は

現代フランス・パリをモデルとしており

特に丘陵地帯に佇む〝喫茶桜〟は

モンマルトルの丘(Montmartre)を

モデルにしています。


物語の中心となる「桜の丘」は

芸術と祈りの聖地

モンマルトルを思わせながらも

現実には存在しない幻想的な風景を

重ねています。





❀.桜の丘と喫茶桜


丘の頂には

空をも覆う巨桜から降り注ぐ

淡い紅色の霧に包まれた「喫茶桜」が建つ。


その頂への道を囲うのは

霊木から自生した桜並木。


桜の枝は丘の斜面を包み込むように伸び

淡紅の花弁が春になると石畳の坂を覆い尽くす。


この「桜の丘」は、現実のモンマルトルが持つ

以下の特徴を取り込みながら構成しています。


・ モンマルトルは19世紀以降

ピカソ、ルノワール、ユトリロら

多くの芸術家が暮らした創作の聖地。


・ 頂には白亜のサクレ・クール寺院があり

そこから見下ろすパリの街並みは

「天と地の境」と称された。


・ 物語ではこの〝寺院〟の位置に喫茶桜があり

祈りと鎮魂の場所として描いている。


ただし

現実のモンマルトルには桜並木は存在しません。


この現実には存在しない風景こそ

紅蓮の嚮後の世界の象徴であり

「神と人」「現実と幻想」「生と死」が重なる

聖域を表現しています。





❀.市街地とその下層


丘の石畳を下れば、そこはパリの中心街。


19世紀のオスマン建築に代表される

整然とした街並みが広がる。


街路樹の下ではカフェテラスが並び

アコーディオンが鳴り響き

人々の生活が流れる。


一方、ソーレンの出身地として描いているのは

実在するグット・ドール(Goutte d’Or)地区を

モデルにしたスラム街である。


パリ北東部

モンマルトルの麓に実在するこの地区は

多文化が混在する活気ある地域であると同時に

貧困や治安問題を抱える場所として知られる。


・ 19〜20世紀にかけて

北アフリカ系・中東系移民が集住。


・ 地名「Goutte d’Or(黄金の滴)」とは裏腹に

現実には社会的困難が多く

犯罪率の高さや失業率の問題を抱える。


・ しかし音楽、ストリートアート、屋台文化など

生命力に満ちた文化的磁場があり

ソーレンという人物の出自に

「荒廃と誇り」「闇の中の灯火」といった

二重性を与えてくれる。


彼の名「ソーレン(Søren)」は

デンマーク語圏によく見られる男性名で

デンマーク語で「厳粛・真剣」を意味する

〝sørgelig〟にも通じる響きを持つ。


北欧の冷たい響きが

彼の重力のような沈静と誠実さを

象徴しています。


時也はその名に

「強い」「荘厳」という意味を込めたのです。





❀.アリアの母国 ― ドイツと魔女狩りの時代


アリアの出身地のモデルは

中世ドイツ(神聖ローマ帝国領内)である。


彼女の一族や魔女たちが迫害された背景には

実際に15〜17世紀にドイツ各地で起こった

大規模な魔女狩り(Hexenverfolgung)の史実を

重ねています。


・魔女狩りの背景


ドイツでは、ヨーロッパ全体の魔女狩りの

約半数が行われたとされる。


特に15〜17世紀

(すなわち、紅蓮の嚮後の世界で

不死鳥が儀式を拒否した時代)に激化。


背景には宗教改革・対抗宗教改革、飢饉、疫病

気候不順(小氷期)が重なり

社会不安の中で〝異端者〟が

スケープゴート(生贄)とされた。


・ 歴史的事件と地域


トリーア魔女裁判(1581–1593)

数百人が処刑された、ドイツ最大級の魔女裁判。

教会主導の〝信仰の純化〟運動の象徴。


・ ヴュルツブルク魔女裁判(1626–1631)

子供や聖職者までもが告発され

数百名が火刑に。

狂気の頂点。


・ バンベルク魔女裁判(1626–1632)

宗教的対立と政治権力争いが絡み

最も残虐な事件のひとつとされる。


これらの事件は

まさにアリアの物語と呼応しており


「光の神に仕える一族が

信仰の名のもとに焼かれた」


この構図は、史実の鏡像として重ねてあります。





❀.不死鳥との関係


第6話で時也から語られる通り

不死鳥は本来500年ごとに産まれ直すことで

世界の均衡を保っていた。


しかし15世紀、その儀式を拒絶し

人間に〝魔女狩り〟を唆した。


つまり

紅蓮の嚮後の史実で起きた狂信的な魔女狩りは

不死鳥の闇への転化が引き起こした結果であり

アリアの一族が焼かれたのは

人類史の歪みに巻き込まれた

まさに──〝神の代償〟でもある。





❀.現代 ― 千年を経た祈りの街


500年周期の呪いが再び巡り

ソーレンやレイチェルといった転生者たちが

生まれ始めた現代。


桜の丘は

過去と未来、贖罪と救済が交錯する場となり


喫茶桜の扉の奥では

千年の祈りが静かに続いている──⋯





この物語の世界は

パリの芸術の息吹と、ドイツの歴史的闇

そして北欧の冷たい孤独が混ざり合う

祈りと贖罪のヨーロッパ幻想として

イメージくださると幸いです。



今後とも、紅蓮の嚮後 〜桜の鎮魂歌〜

よろしくお願いいたします(*´︶`*)ノ❀.*゜



──佐倉井 鱓 (ウツボ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ