第6話 仲間の有用性
ついにあの子たちの登場
皆さん覚えてますか?
アリスようやくツッコミが増えるかもだぞ。
19日目
「よし、やっぱりコルヌラビットよりもラヴァファングの方が経験値が多いんだろうなレベルが上がった。」
この日も朝からラヴァファングのトラップ地帯で鍛錬をしていた湊霞は、2体目を討伐した段階で職業レベルが上がった。因みに、今回は間時間で簡易倉庫を待機所に設置した。
ステータス
華ノ宮 湊霞(地球:人族)
職業:下位錬成師(下級職)Lv7〈残りSP0〉
スキル
上級
Lv1
鑑定
下級
Lv2
下級錬成魔法、基本武術(剣)、魔力強化
Lv1
下級魔法(全)、自然回復強化(魔力)
レベルなし
流剣
状態異常耐性(麻痺、毒)
アリス:創造神
流剣
相手の物理的な攻撃を剣で受け流しやすくなる。他の特殊武術スキルとの併用はかなり難しい。
すると、奥の方から女子の声が聞こえてきた。
「きゃっ、なにこれ、トラバサミ?」
「罠のようですが、こんな森の中に。どなたか居るのでしょうか。」
「・・・、鬱陶しい、面倒くさい。」
「誰かいるみたいね。」
「どうでもいいな、それに声から大体の予測はつく。」
罠の奥の方で3人の女性の声がする。
「あぁ〜。見て人がいるよ。」
「あれは華ノ宮さんでは無いですか?少し制服が改造されているようですが。」
「・・・誰。」
「舞さん、あなたのクラスメイトですよ。」
「・・・興味ない。」
九条、鮫島、星野、湊霞の学校の美女3人である。
所々汚れており、かなり歩き回っていることがわかる。
「ねぇ〜君、少しいいかな?」
「名前は華ノ宮 湊霞。3人については知っているから説明は不要。質問は好きにしてくれ、ただスキルを使いながら答えるぞ。」
「う、うん。ありがとう(嘘でしょ!?私等3人を知ってて、その態度をとる人初めて見た!) 。」
「あの、華ノ宮さん流石に話は落ち着いてしませんか?その色々聞きたいことがあるので。」
「・・・珍しい、態度悪い。」
「話すだけなんて無駄だろ、手を動かしながら質疑応答したほうが効率的だ。話だけならこの状態でも出来る。嫌なら話さなくていい。」
湊霞は驚きを隠せない3人(星野だけは少し分かり難いが瞳孔が開いているので多分驚いている)を無視しつつ、コアの製作に入った。特に魔力強化のレベルが上がったことで、更に魔力を込めたコアが作れるようになって、湊霞は傍目には分かりにくいが少しワクワクしている。なんとも、慣れない空気感に戸惑う3人は話を続ける。
アリスは、そんな我が子たちの会話をリュックのポケットから聞く、まるでお人形のようである。
「は、はぁ。では、初めにこの罠は華ノ宮さんが作ったんでしょうか?」
「あぁ。」
「サンキュ、なら次ね。もしかして、もう寝床とかも持ってる?」
「簡易拠点なら制作した。」
「なら、私等も「それは後で話そう。」・・・りょ。」
「・・・態度悪い、最低男子。」
「舞さん、ではモノリスは発見してますか?もしよければ場所を共有してもらいたいのですが。私たちは、今だに確認が取れないでいますので。」
「モノリスの場所は知っているが、話すのは時間の無駄だから、そこに置いてあるノートの地図を写してくれ。」
湊霞は立ち上がると今度は素材の整理に取り掛かった。女子3人は星野が地図の写しを始めている。思いの外、丁寧な地図をみて3人は、奇妙なものをみる目で湊霞を見ている。
因みに、星野の地図には可愛いミニキャラが描かれてる遊び心あり。
「質問は以上です。ホントは食料なども相談したいところですが。それは、あとにしましょう。」
「時間の無駄だからな、さっき遮った話からしよう。んん、出来れば、また、進化寸前のラヴァファングの素材が欲しいな。」
「何か、黙々と作業が進んでいる。」
「凄まじいですね。では、まずは私達を仲間に引き入れてはくれませんか?」
「メリットは?」
「え?」「はっ?」「!?」
「メリットだよ。俺は今、一人で行動している。基本的に俺は非効率な交流関係は嫌いだ。付き合ってメリットの大きい者としか、行動するつもりは無い。」
「人手が増えます。」
「その分、食料、今後の行動、安全確保、での手間が増えるな。」
「OK、美女と居られる。あ、エッチなのは無しね。」
鮫島は自分の身体を抱きながらジョーダン混じりに言うと、湊霞は真顔で返す。
「どこにメリットがある。人より容姿に優れるとはそれこそ、デメリットを増やす要因になり得る。必要以上の外部からの干渉、必要に迫られて高まる生活水準、過度な期待と重責、過干渉される交友関係、例を挙げればきりが無い。」
湊霞の余りにもな答えに鮫島は唖然とした。それはそうだろう、周囲に容姿を褒められ、自信としていたものを、デメリットと言われたのだ。3人が3人、自他共に認める絶世の美女なだけに驚きは大きい。
湊霞は、ここまでの会話で全く3人を見ていないのだ。
「・・・多様な職業、選択肢、増加。」
「星野さんのは確かにメリットだ。しかし、まだデメリットが多いように思える。」
「むっ!・・・つまんない、陰キャボッチ。」
「ま、舞さん。華ノ宮さん、すみません。」
星野は自信のあった答えに対する素っ気ない返しに、何処か不満気に顔を背ける。九条は、互いの機嫌を確認するような仕草を見せるが、全く気にしてないのか、またも真顔で答える。
「一々、気にするのは無駄なことだからどうとも思わない。強いて言うなら、悪態の前に、メリット提示に意識を向けるほうが脳のリソースの正しい使い分けだ。」
「す、筋金入りだ。華ノ宮くん。」
「はぁ~、見てらんないわ。貴方は、余りにも交友を持つのに障害がありすぎる性格よ。効率お化け。」
今まで湊霞のリュックの中にいたアリスが、3人の前に現れた。その顔は、まるで手のかかる子供をかばう母親のようである。
「わぁ〜、妖精!可愛いね、凛、舞。」
「えぇ。」「・・・、カワイイ。」
「そりゃ、どうも、私はこの効率お化けのナビゲーターみたいな事をしてる、創造の神アリス。それで、話だけどね。」
「か、神ですか。」「マジだったんだ。」「・・・、でもカワイイ。」
「はいはい、で、メリット、デメリットの話だけど、湊霞!」
アリスは湊霞の方に向き直り、剣を軽く振り鍛錬する湊霞を指を指す。
「なんだ・・・。」
「いや、剣を振りながら答えないの。この子達のメリットを私が提示するわ。」
「で?」
「この子達に付いてる神は、どれも私と繋がりのある神よ。そして、神同士の繋がりがある場合、成長に補正が掛かるわ。成長の遅い貴方には、是非とも欲しい、効果に思えるけど。まぁ、正直、微微ではあるけどね。」
「・・・、3人の同行を受け入れる。」
今まで交渉事で勝っていたアリスに負け、どこか悔しげに答えた。
(正直、そのメリットはかなり大きい。微微とはいえ、数日、数ヶ月経てば、大きな差となる。それは、全体を通してみればメリットだ。それに、星野が言っていた件も含めれば、十分なメリットになる。)
それから、3人はモノリスにて職業の選択を行う。そして、コルヌラビットのトラップ地帯で湊霞に合流する。
ステータス
九条 凛(地球:人族)
職業:下位土魔法使い(下級職)Lv1(残りSP0)
スキル
中級
Lv1
中級魔法(土)
下級
Lv1
下級魔法(全)、魔力強化
ガイアラ:大地神
鮫島 未来(地球:人族)
職業:下位弓使い(下級職)Lv1(残りSP0)
スキル
下級
Lv1
基本武術(弓)、体力強化、走力強化、命中率強化
アルミス:狩猟神
星野 舞(地球:人族)
職業:下位召喚使い(下級職)Lv1(残りSP0)
スキル
中級
Lv1
召喚魔法、下位契約魔法
テミス:契約神
中級魔法(土)
土、砂に関する現象を起こせる。また、現実に干渉する。
基本武術(弓)
弓による基本戦闘がうまくなる。
体力強化
体力の最大値を強化する。
走力強化
走力がレベルに応じて高まる。
命中率強化
命中率にレベルに応じて補正がかかる。
召喚魔法
魔石と魔力を用いて契約獣を呼び寄せる。呼び寄せる契約獣は術者の力量、魔石の質、魔力量、素質によってランダムで呼ばれる。
下位契約魔法
下級契約獣との契約を行える。スキルレベルに応じて契約における縛り、恩恵に差が出来る。
(これを見る限り、物理職は下級スキルしかない代わり、スキル数が多いみたいだな。それに、魔法職は、中級スキルを持つことがあるが、その数は、職によるみたいだな。)
「さて、それじゃ。日も傾いてきたから仮拠点について説明するが、・・・。話聞いてるか?」
「よろしくお願いします、ガイアラさん。」
「宜しくなのだ。我が子、凛。」
「カッコいい、アルミスさん。姉御って感じ。」
「お。そうか、照れるぜ。宜しく頼むぜ。」
「・・・宜しく。」
「ニシシ、可愛い。宜しく、舞ちゃん。アタシはテミスね。」
3人は職業に就いたことで顕現した神たちとずっと話しているのだ。
九条と話しているのは、大地神であるガイアラ。アリスを加えた4神の中でも最も小柄だが、そのスタイルは4神の中でも最も凹凸がある明るい少女な神である。
鮫島に姉御みたいと言われたのは、狩猟神のアルミス。4神で最も長身でスラッとした体型をしている。髪をポニテにした女性である。
口数少ない星野にニコニコと話しかけるのは、契約神テミス。笑った時の八重歯が特徴的であり、その腕は虎で、背には鷹の片翼、欠けた天使の輪を持つ幼女である。
「なぁ、アリス。なんで彼女たちはアリスみたいに、職業に就く前から顕現してなかったんだ。」
「まぁ、御霊の強さの問題よ。彼女たちは、その御霊の殆どを我が子たちに与えていたわ。でも、下級神だから、どんなに多くの割合を割いた御霊でも、システムに組み込まれる前の我が子たちの前には現れる事が出来なかったのよ。」
「アリスは俺にどのくらいの割合を割いているんだ?」
「私は、この世界に割ける最大値の1厘よ。これ以上は、世界の方が耐えられないわ。」
「なんで、俺なんだ?」
「一応、私の御霊との適性があるのは他にも居たけど、折角なら特等席で見たいと思ったから、適性のある我が子たちの中から一人、ランダムで選んでその子に、全部注ぎ込んだってわけ。」
「なるほどな。」
その後、拠点の使い方などを湊霞が3人に説明してその日は就寝となった。余程、気を張っていたのか、3人は、横になると同時に寝息を立て始めた。その日は空を覆う葉の間からもわかる満天の星空である。
20日目
「おはよ〜。湊霞は、朝早いね〜。」
「鍛錬とは、いいね。少年、その生き様はカッコいいぜ。」
朝の鍛錬をしていると、起きてきた鮫島とアルミスが眠たげに巨大樹を降りてきた。
「おはよう。」
「ふぁ〜、相変わらず、素っ気ないね。うちの学校の生徒が今の私たちを見たら、飛んで喜ぶだろうに。」
「知らん、俺は興味が無いし、そんなことに脳のリソースを使うつもりはない。」
「少年、それは流石にどうかと俺も思うぞ。」
相変わらずな湊霞に鮫島とアルミスは少し呆れ気味である。
すると、アリスと九条、ガイアラも起きて降りてきた。
「鮫島ちゃんにアルミスも湊霞に何言っても無駄よ。その性格は、筋金入りだから。」
「おはようございます、未来さん、アルミスさん、華ノ宮さん。地球にいた時から何処かおかしな方だと思ってましたが、こうして、接してみると更に変わった方なのがわかりますね。」
「おはようなのだ。あの子のナビゲーターなんて、アリス様も大変なのだ。」
二人と3神がテーブルで昨日の鍋を食べ始めると、寝癖をつけた星野と大きな欠伸をするテミスが降りてきた。
「・・・おはよう、みんな。」
「ニシシ。ふぁ~〜〜、眠いね。睡眠なんて初めてだけど、中々にいいね。」
「おはようございます、舞さん、テミスさん。舞さん、寝癖が付いてますよ、こっちに来てください。」
「おはよう、舞。テミスさんと仲良くなれたみたいだね。」
「・・・ん、カワイイ、いい子。」
「ニシシ。ソウルフレンドって奴なんだ。」
「テミスちゃんは、相変わらずだね。ところで、湊霞!そろそろこっちに来て今日の目的を話し合うわよ。」
九条の膝の上で星野はウトウトしている。そんな、子供たちを温かな目で見つめてたアリスは、剣の鍛錬をしている効率バカに声をかける。
湊霞はテーブルに近づくと全員が口に出すよりも速く、口を開いた。
「今日は、俺はラヴァファングのトラップ地帯でレベリングに努める。3人はまだ、魔物との戦闘は早すぎると思うから、ここで戦闘訓練、特にスキルの確認をする事をお勧めする。以上、何かあるか。」
「何でしょう、この会話とも言えない物は。」
「ヤバいね。会話が無駄だと考えているのがよく伝わるわ。」
「・・・最低。」
「私と二人の時はそれなりに会話してたことを思うと、人が多いからこんな感じなんでしょうね。」
「ヤバい奴なのだ。何がヤバいって、失礼なのに、こちらにも効率的な提案をして、更に選択肢も渡している優しさをしっかり感じるところなのだ。普通、その2つが共存することが異常なのだ。」
「失礼すぎるわな。俺もそこそこ、失礼なやつではあるが、ここまででは無いわ。」
「ニシシ。アタシもそう思う。」
「無さそうだな、それじゃ、俺は行くからな。」
「あ、ちょっと待ちなさい。あんた!」
湊霞とアリスは、森の方へと歩いていった。因みに、九条たちであるが、九条は魔法を使う練習をするとお昼過ぎに魔力切れで眠りについてしまったらしい。鮫島は、朝の内に湊霞が作った弓と矢で的を使った鍛錬をしていた。星野は、魔力不足で召喚魔法が使えなかったので、畑作業や今まで湊霞が集めた素材の確認をしていた。
「・・・、ガッカリ。」
そして、その夜。
「今日もお鍋なんですね。華ノ宮くん、私にも何かお手伝い出来ることはありませんか。」
「なら、さっき作っておいた食器をテーブルに並べておいてくれ。」
「わかりました。」
「湊霞〜。この弓、もう少し飛距離伸ばせない?今日の練習で、そこそこ正確に射てる距離が、伸びてきたんだよね。」
「なら、そこにある弓矢を使ってみてくれ、レベリングの間時間に作っておいた。」
「お!サンキュー。」
「・・・。」
「ニシシ。舞ちゃんは、無言で席について、カワイイ。」
「俺的には、鍋もいいけど酒が飲みたいぜ。」
「アルミスさん、流石にそれはまだ無理だよ。」
「アリス様、どうしたのだ。」
「いや、最初はね。全然、気にしないのよ。でも、それが連日続くとね・・・。今日もどうにも出来なかった。」
湊霞は楽しく談笑するメンバーを全く気にした感じがなく。右手で調理、左手で魔法を扱い練習をしている。
21〜22日目
変わらず湊霞はレベリングに勤しむ。ここで湊霞のレベルが2つ上がった。そして、下級錬成魔法もLv3となり、扱える素材の質が上がった。
「なんで、1か月かからずにスキルレベルが2つも上がるのよ・・・。あいつおかしい・・・。」
ステータス
華ノ宮 湊霞(地球:人族)
職業:下位錬成師(下級職)Lv9〈残りSP0〉
スキル
上級
Lv1
鑑定
下級
Lv3
下級錬成魔法、基本武術(剣)
Lv2
魔力強化、自然回復強化(魔力)
Lv1
下級魔法(全)、攻撃力強化
レベルなし
流剣、状態異常耐性(麻痺、毒)、パーティー化
アリス:創造神
攻撃力強化
攻撃にレベルに応じて補正がかかる
パーティー化
最大6人のパーティーを作り、経験値の分配を行える。分配は戦闘貢献度に応じて変化する。一定の距離が離れると無効化する。
ここで明日から3人にもレベリング、並びに探索に合流してもらう話になったため、武器、防具をコアを用いて湊霞は作る。
華ノ宮 湊霞の武器、防具
進化寸前のラヴァファングの片手剣(F)
コアと素材によって高い硬度と魔力を通すと炎を纏う片手剣。しかし、魔力効率が悪い。
硬化ラヴァ鎧(E)
急所をラヴァファングの皮で保護した布製の鎧。魔力を通す事で内側に仕込んだコアで一時的に防御が上がる。しかし、魔力効率は悪い。
そよ風ブーツ(F)
コアに魔力を通すと風属性により跳躍時、着地時の補助が起こる。しかし、魔力効率は悪い。
九条 凛の武器、防具
ココエナの杖(G)
小さな魔力のコアを散りばめ、魔力伝導を高め、魔法補助をメインとした杖。しかし、補助は弱め。
保護レザーローブ(E)
全体をラヴァファングの皮で保護した保温性のあるローブ。一応、魔力で硬化する効果をコアを通して錬成してある。しかし、魔力効率は悪い。
補助ブーツ(F)
風のコアで歩行の補助を行うブーツ。全体はレザー仕様になっている。
鮫島 未来の武器、防具
コルヌラビットの短弓(F)
コアに魔力を通すと風属性により矢の飛距離に少し補正がかかる。しかし、魔力効率は悪い。
ココエナの矢(F)
ココエナの枝で作った矢。中には矢尻にボブベリー等で細工したものも入っている。
軽量レザーアーマー(F)
魔力を通すと軽量化するコアを着けた軽鎧。内側には、ラヴァファングの毛皮があしらわれている。しかし、魔力効率は悪い。
そよ風ブーツ(F)
星野 舞の武器、防具
ラビットダガー(F)
コアを付けることで魔法補助をメインとした短剣。魔法補助をメインとしたため、攻撃力は控えめであり、補助も弱めである。
そよ風マント(F)
ラヴァファングの皮で作った外套。学校の制服の上から羽織っており、風のコアで移動補助を行う。
火花アンクレット(F)
火のコアの付いたアンクレット。魔力を通すと一時的に攻撃力を強化する。しかし、魔力効率は悪く、強化も弱め。
「採寸してないのに目算でサイズぴったりですよ・・・。」
「サイズ聞くのは時間の無駄だからって、あの少年おかしいぜ。」
23〜24日目
「今日から3人にも、レベリングや探索に加わって貰うが、午前中はレベリング、午後は本拠点を構えるための探索をするつもりだ。」
「華ノ宮、この仮拠点でも十分だと思うんだけど、どうして本拠点を探さないといけないの?」
「保険だ。こんな状況だからこそ、身を潜められる候補地は大いに越した事はない。」
「そうですね。それにここは余り防衛には向いてないように見えますね、華ノ宮くん。」
「やばいわ、始めこそ、食事中にコアを作ることにツッコんでいた3人が、食事しながら足元でスキルのレベリングしている効率お化けを受け入れ始めた。」
湊霞達は早々に朝ごはんを済ませ、日の出とともにレベリングを行った。ここで星野の魔力が召喚魔法分溜まったため、召喚魔法を試したところ、緑の小鳥が出た。契約内容もキツくなかったようで、契約していた。
ちなみに、レベリングの後半は3人が小鳥をずっと見てたため、効率が格段に落ちていた。湊霞は終始、不機嫌であり、アリスは湊霞が3人を追い出すのではとハラハラしていた。
その後、探索で川の下流の方を確認に動いた。少しづつ、背の低い植物の種類が増え始める居大樹の森。
変異植物・マヒホウカ
黄色い花の花弁には麻痺毒が付いており、触れた部分がヒリヒリする。
変異植物・クロロチョウ
10m程のイチョウの様な木。周囲に睡眠性の胞子を散布している。しかし、少し感覚を鈍らせるほどの催眠性しかない。
光草・ライトラン
蘭のような見た目であり、花弁が淡い色を出している。昼間はいいが、夜間では弱めの錯乱効果を持つ。その蜜は、とても甘いが少し雑味も持つ。
魔物・フルーツマウス
見た目が果実のようであり、果物の群生地にて擬態をしながら過ごす。群れで行動し、一つの群生地で数十から多ければ数百居ることもある。
・・・etc.
「あいつは、効率に生きるから本当に心臓に悪いわ。」
25〜28日目
そこから、湊霞達は川の下流を探索を続け、6時間程下ったところで巨大湖を見つけた。水深が深いところでは数百メートルはありそうな湖は対岸さえ見えない。
原光草・グリップロッディ
ツタ状の水草で、黄色く光る実を付ける。魔力の豊富な水を好み、水を浄化する作用がある。
魔物・キリウオ
ヒレがカッターのようになっている魚で、水の中を素早く動く。その身は抵抗を無くすため柔らかいが強い衝撃で硬化する。
・・・etc.
「うっひゃー!こんな湖、地球でも見たことないよ!」
29日目
「今日は1日使って、トラップや薬を作るつもりだから、3人には、ラヴァファングのトラップ地帯でレベリングを頼む。ある程度まではレベルを上げるのはもちろんだけど、動きを反復して連携を磨いて欲しい。」
「わかりました、華ノ宮くん。」「りょ。」「・・・」
「私は、久しぶりにアルミスちゃんたちと話しているわ。」
その後、湊霞は拠点前に大量の素材と道具のアイデアノートを広げ制作に没頭し始める。そして、魔力が切れるギリギリで剣術の鍛錬を続ける。
水中トラップ(F)
フルーツマウスの身を使用した返し付きのトラップ。ココエナを編んだ縄とラヴァファングの皮で作っているため、キリウオのヒレでも壊れない。
投擲瓶(麻痺、催眠、炸裂)(D)
それぞれの作用を持つ植物を抽出し詰めた瓶。殺傷能力よりも無力化に重きが置かれている。
樹皮製ワイヤー(E)
ココエナの樹皮を細く裂き、アルメルと織り合わせるワイヤー。元の世界の鉄製ワイヤーよりもしなやかで丈夫。
魔石水瓶:魔石の取替不可(水魔石:微小を使用)(F)
水のコア(キリウオ産水魔石)が仕込まれた水瓶。魔力を通すと水を生み出す。コアの劣化が早い。
万能ツール(F)
元の世界にあったキャンプなどに持参する多機能ツール。武器には向かない。
召喚獣用その風リング(E)
召喚獣用の足環。風のコアを付けていて移動補助が付いている。コアの劣化が早い。
「ねぇ。」
「なんだ、アリス。他の神たちとの話はいいのか。」
「いや、久しぶりに2人っきりで話すんだから手を止めて話そうよ。」
「効率が悪い。」
「相変わらずね。」
アリスは湊霞の対面に腰掛けた。乱雑に置かれた素材を椅子代わりにする。
「そうそう、全能神様からさっき神々に連絡があって、明日、新たな力をそれぞれに与えるみたい。」
「新たな力?」
「そっ、『オリジンスキル』って言って、その人の内側と職業の適正によってそれぞれに合ったものが与えられるみたい。それと同時に救済措置の期間も終えるみたいね。」
(新たな力、オリジンスキルか。一種の救済措置的なものなのか。しかし、なぜこんなに時間がかかったのか。もしかして、他は予想以上に大変なのか。・・・まぁ、どうでもいいか、考えるだけ無駄だし、他人はどうでもいいしな。)
湊霞の考えは当たらずとも遠からずであった。世界の創造後、数日経過した段階でスキルを与えるのは確定していた。しかし、一部の者が異常なだけで、殆どの者はまだまだこの世界に順応できていないのだ。
この時期に与えられることになったのも、この世界に呼ばれた者達の全員がモノリスに触れたのが今日だったからである。
「2桁レベルのあんたが異常よ・・・。」
「いや、他にも居るだろ。」
「いない!」
まさかの新キャラ登場もこの扱い・・・。
いつもはYouTubeで活動してます。
この作品の裏話や挿絵、紹介動画なんかもしていくつもりなので、見に来てください。
https://www.youtube.com/channel/UC3wzuZXPJ0Izmji-vlTWgdg
*少し改定
主人公の名前が投稿前のままだったり、舞の口調が設定前だったりしていた。
申し訳ありませんでした。