第1話 カグラの始まり
第3章スタート
ここからはかなり加筆していきます。
496日目
「それじゃ、私のおすすめのお店に連れてくね、湊兄、舞さん。」
「武器、防具、それと拠点建築だな。」
「・・・ごめん、湊兄。その数の要件を一気に済ませるにあたって、一件寄っておきたいかも。」
「?」
湊の要件を聞くと、楓は大通りの手前にある2階建ての建物に入る。
「・・・ここは?」
「ここは、一応ギルドってことになるのかな?この都市で情報の共有や仕事の割り振りなんかの相談ができるとこなの。」
「職業形態が複雑化し易そうなこの世界でうまくやるものだ。」
壁には多くの依頼書のようなものが張られ、反対の壁は黒板のようなものに多くの書き込みがある。
「この都市は、すでに通貨の概念があるの、とはいえ、鉱石とかの価値がまだあやふやだから、既存素材はそれぞれ鑑定持ちの人たちや職人さんたちが価値を毎月決めてるの。新規の素材は前もって金額を渡して、毎月の価値決定で決まった額を後日渡すの。」
「俺らの持つ素材だと多くは新規素材だろうな。」
「・・・綾時とあった、場所。」
「確かにあそこの素材なら既存だな。」
「装備で使いたい素材以外はここでお金に換えてもらうよ。」
楓がここに来たのは、先ほどの要件を全て熟したら、楓のお金だけでは賄えないと踏んでの事だった。
楓がカウンターに向かうと受付嬢が出て来た。
「ミナさん、この2人の登録と素材の売却がしたいの。」
「楓さん、分かりました。では、こちらの登録書にサインしたら素材を第5倉庫に持ってきてください。」
「はぁ~い。」
湊たちがサインをした後、倉庫に向かうと素材を一部出す。その多くが新規の物だった為、職員の方は驚愕を見せる。
「これはすごいですね。多くが新規の素材ですので発見費の500オルクで計算していきます。これらの発見場所を共有していただけますか?共有していただければ、査定時の加算に通じます。もし、独占の為、秘匿したい場合は秘匿費用として一部治めてもらいます。」
「この紙に全部書いてある。」
「準備がいいですね・・・。ありがとうございます。」
そうして、湊はお金を貰ったが、その金額はこの都市において小金持ち以上だった。
「もう湊兄に全財産で負けた・・・。」
「・・・気にしない。」
「あ、ありがとう、舞さん。」
「いいから、早くいくぞ。」
そうして、湊たちは楓の案内でツタに覆われたお店に入る。カウンターにはまさにドワーフとイメージできる髭の生えた低身長の青年がいた。
「ゾルさん、オーダーメイドをお願いしたいんだけど。」
「なんだ、楓の嬢ちゃんか。オーダーメイドって、3か月前にしたばかりだろ。」
「まぁ、そうなんだけど、前に話してたお兄ちゃんが都市に着て、防具の新調するっていうから、私も一緒にしようと思って。」
「まぁ、俺としては儲かるからいいが。坊やが嬢ちゃんの兄か、ゾルだ。」
「早速だが、準備して欲しい装備と使う素材だが・・・。」
「待て待て、挨拶ぐらいしろや。」
「無駄だろ、必要ない。」
「おお、聞いてた以上のバケモンだな。」
「・・・舞。」
「応、舞の嬢ちゃん。嬢ちゃんは常識があるみたいだな。」
湊が相変わらずの反応を見せるのでドワーフ青年は、呆気にとられそうになる。そして、そんな湊と同じになりたくなかった舞は、しっかりとあいさつをする。
「ごめん、ゾルさん。湊兄は、異常な効率廚だから、湊っていうの。悪い人じゃないから、できれば嫌わないで。」
「別に嫌わねぇよ。こんな人間観たことなくて驚いただけさ。」
その後も湊とドワーフ青年は話を続ける。職人肌のドワーフ青年は湊のデザインや細やかな装備の効果や工夫に話がどんどん盛り上がり、気づけば夕焼けに空が燃えるのが窓から見える。
「装備は分かった。だが、武器に関しては楓の嬢ちゃんに任せた方がいいだろうな。防具だけ、ウチで請け負おう、そうだな・・・、4日から5日後に完成すると思う。」
「分かった。なら、この都市を出た船着き場に拠点を作ろうと思っているから、そっちに送ってくれ。」
「あぁ、任せろ。そうだ、拠点を作るなら、ここに行くといい。俺のかみさんが親方をしている建築屋だ、基本はオーダーメイドを心掛けているからな、要望通りに作ってくれるぜ。」
「助かった、直に行く。」
湊は紹介された店に向かう。
「・・・楓、いつから?」
「舞さん、流石にそれだけだと、私もなにを聞いたかよくわからない。」
「・・・む。・・・この都市、いつからいる?」
「あぁ、私は4か月前くらいからだよ。ここから、南に行くと樹海が広がっているんだけど、そこで職業のランクをSまで上げてから、本格的に探索を始めたら、この都市を見つけて、それからずっとここにいる。」
「・・・ずっと1人?」
「ううん。その樹海にはモノリスが2つあったんだけど、そこを中心にグループが出来ていたから、私はその2つと協力しながらだったよ。だから特定の誰かとパーティー組むことはなかったけど、臨時で組んでエリアボスの討伐とかはしてた。」
因みに、その際のグループの一つが陽中心のグループだったらしい。10人規模のグループと20人規模のグループで、今ではその全員がこの都市に移動済みとのこと。
「無駄話もいいが、もう着いたぞ。」
「無駄話は酷いよ、湊兄。」
「・・・世間話も大事。」
「そうかそうか、俺には無駄だな。」
デザイン性の高い店構えは、地球でも十分、通用するデザインであり、センスが溢れる建物に入っていくと、数人のドワーフが店じまいの準備に入っていた。
「紹介を受けてきた、取り次いでくれ。」
「坊主、見えねえか?もう今日の営業は終わりだ、ここから酒飲みに行くんだ、また明日来な。」
「どうでもいい、さっさと紹介状を確認して、取り次いでくれ。」
「あぁ!??」
湊の相変わらずのやり取りに、アリスも舞も楓も頭を抱える。
「ねぇ、楓ちゃん、湊って地球でもあぁだったの。」
「アリスさん。えぇ、湊兄って基本自己中ですから。効率廚だから他人に迷惑かけることが極端に少ないだけで、予定が狂わないように徹底している時は、話が通用しないんですよ。」
湊とドワーフが睨み合っていると、突然、その緊張の糸を断ち切る様に、その場にいた全ドワーフ職人たちが笑い出した。
「ワハハ。いっや~、坊主、中々に面白れぇじゃねぇか。これだけの職人、前にして無反応に見てくるとは、いいね。特別だ、姉さん呼んできてやる。」
「どうでもいいから、早くしてくれ。」
「あぁ、待ってろ。」
ドワーフの職人が部屋の奥に行く。少しするとドゴン!と大きな音と共に頭にたんこぶを作った職人と小柄な姿にシャツも着ずにサロンペットを着ていて、まさに職人の姉御のようなドワーフが出て来た。
「全く、店じまい指示して、なんで客引っ掛けんだよ。俺は今から家帰って、旦那を待とうと思ってたのによ。」
「すみません、姉さん。」
「・・・豪快。」
「まぁ、ゾルさんとヴィヴィラさんはおしどり夫婦だけど、同時に都市でも有名な豪快な職人夫婦だから。」
「拠点制作の依頼、これが紹介状だ。」
「無愛想な客だね。・・・なんだい、旦那の紹介かい。で、どこに作るんだい?出来れば、この三角州内でお願いしたいけどね。」
「場所は、北側の船着き場付近、第三拠点として使うデザインなんかは任せるが、部屋割りなどは決めさせてもらう。」
「へぇ、分かったよ、なら奥に来な。お前ら、今度こそ店じまいちゃんとしな!」
『はい!』
そして奥の部屋で打ち合わせをした。アイテムボックスを使った湊製の保存ボックスや給湯ボックスなども共有しつつ、第三拠点での要望をまとめる。
「よっし、粗方分かった、明日から基礎工事に若いもんを送って、実際の建築は俺らがやる。そうだな・・・、7日から10日は見ててくれ。」
「分かったよろしく頼む。」
湊たちが店を出るとすでに日は沈み、都市内は街灯や家の光に包まれていた。
「それじゃ、湊兄、舞さん。一先ず、陽くんの拠点に行こう。私も今は、そこに居候させてもらっているから、多分、今頃みんなで、歓迎の準備してくれているよ。」
「・・・分かった。」
「怠い、無駄だろ歓迎。」
「もう!湊兄そういうこと言わない!」
そうして、湊たちは陽の拠点へと向かうのだった。拠点の扉を開けるとリビングには、多くの料理や飲み物、そして、見慣れない女性と男性を含めた陽たちが湊たちの帰りを待っていた。
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