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神々が観る世界 神々に魅せる世界  作者: 朧華
5つの交わる世界
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第3話 安全の選択

そろそろ、新世界ライフ1日目も終わりそうです。

湊霞の練成師としての成長を温かく見守ってください。

やばい奴と二人っきりだけど頑張れアリス・・・。

「まずは、スキルの検証からだな。」


 湊霞は、モノリスから少し森に入ったところで植物に触れる。


「『鑑定』。」


 すると、ウィンドウが出て説明が出る。


巨大樹・ココエラ

 数百〜千年を生きる大樹。その樹皮は中心に行くほど固く靭やかであり、鉄と同等の硬度に成るものもある。また、太陽光を含みその幹は程よく発光する。


広葉草・ヒロエラ

 大きな葉を持ち、高い弾力性と耐久性を持つ。朝に一度、白い花が咲く。この花は塗り薬に使われる。仄かな香りは精神安定や疲労回復促進、睡眠快適化の効果を少し持つ。


変異植物・ボムベリー

 強い衝撃を与えると破裂する実をつける。1つ1つでは、あまり強力ではない。黒くなる前の赤い実は食べられ、ほどよい刺激がする。果汁には弱い殺菌作用を持つ。しかし、黒くなり地面に落ちる実は、地面で破裂して種を飛ばす。


「中々、詳しく分かるな、ただ触れないといけないのはネックだ。毒を纏うやつとか動くやつとかの鑑定がしにくい。」

「まぁ、レベル1じゃしょうがないわよ。」


 湊霞は調べた植物を採取しつつ、次は近くの石を鑑定し始める。


ホタル石

 夜になると光りだす石。昼間のうちに光を溜め込む。砕くことで光は弱くなる。経年劣化が少し早い。


シロ石

 真っ白な石。砕いても水につけると急速に固まる。接着剤の原料とされることが多い。含む水の量で粘度が変わる。


カネツ石

 魔力を通すと熱を発する石。しかし、加工が難しく、魔力を用いた加工が必要となる。また、過度な魔力供給を行うと延焼し、爆発を繰り返す。


 湊霞が『鑑定』の検証をしていると、小さな角の生えた80cm程のウサギが茂みからちらりと見える。角や少し青みがかった毛皮から地球にいたウサギとは、大きく異なることがわかる。


(敵対してくるかは分からないが今後のことも考えて狩ろう。俺がどれだけ動けるかは知っておいたほうがいいからな。それに、ここで迂回路を探すのは効率的とは言えない。)


 湊霞は、腰につけたナイフを持つと丈の高い植物に隠れて、するりとウサギの背後に回り込む。7mほどの距離まで近づくとウサギがピンと耳を立てた。

(気づいたか。まずは逃走の妨害。)


 もう一本用意していたナイフを湊霞と反対方向に投げて逃走を邪魔しつつ、地面を思いっきり蹴り距離を詰める。

 逃走を諦めたウサギが青かった瞳を紅くして、風を切るように突進してきた、湊霞はそれに気づくと地面に映る影に紛れるかのように姿勢を低くしてウサギの前歯による攻撃を躱し、擦れ違い様に首に下からナイフで、一撃を入れた。深々と刺さったナイフからは、青い血が飛び出す。


(浅い。)


 ウサギも反撃と言わんばかりに、後ろ足による蹴りを死に物狂いで放った。湊霞は、この攻撃を前方に転がる事で紙一重に躱す。そうして、始めに投げた逃走防止用のナイフを掴むと、ウサギがこちらを向くよりも先に距離を詰めにかかる。


(体格のデカイモンスターを相手にするなら、とにかく間合いを詰める。シンプルで、安直たが、もっとも効率的な戦法だよな。)


 こうして、肉薄した湊霞は、逆手に取ったナイフを振り向きざまのウサギの眉間へと突き刺した。すると、先程まで紅々としていたウサギの瞳は、青、そしてハイライトを失い、その場にぐだっと倒れ込んだ。


「ゲームみたいにドロップになるパターンでは無いみたいだな。『鑑定』。」


 殺したウサギを担ぎ、説明を見ながら湊霞は採取したものを置いた所に歩きす。

 以外にも、これだけの巨体だが、米俵程度の重さしかなく、和也は前足と後ろ足をそれぞれ縛り、担いで移動することが出来た。


魔物・コルヌラビットLv2

 草食獣。その身は熱を入れるほど柔らかくなる。逃げ足は早いが索敵能力が弱い。1体1体の戦闘能力は高くないが、巣の近くなど集団戦では、圧倒的物量で格上の魔物ともやり合うことが出来る。


「あれ、おかえり〜。何か見つかった?」

「今日の飯。」

「ふぅん、一先ず、モノリスが見つかって良かったじゃない。私たち、神々の予想じゃ、早くても3日は見つけるのに時間がかかるって考えていたんだけどね。」

「俺は、初動が早かったからな、しかし、ここからが大変だ。ある程度の基盤が出来るまでは、休んでいられないからな。」

「いや、あんたは休んでもなんら問題ないと思うけど・・・。」

「まだまだだ。ただでさえ、通常のサバイバルに加えて、ゲーム的なシステムの理解もしなきゃいけないからな。」

「そう。それから、魔物には魔石があるわ。素材としてはメジャーな物だし、かなり汎用性が高いから取っておくといいわ。」

「わかった。ところで、アリスは飲食が必要なのか?」

「ええ、私は必要よ。とは言っても、そこまで量は要らないわ。元々必要のない身体だからね。ただ、私みたいに実体化出来るほど、御霊を与えている神に限るけどね。」

「なら、神によっては実体化してない奴も居るわけか。」

「えぇ、でも地球出身の神は結構な数の神が実体化していると思うわ。逆に害神とかは、かなり多くの御霊を分けているから、機械的なやり取りしか出来ない神も居るわ。」

「そうか。」

「って、もう作業を始めているし。」


 湊霞は、早々と近くの木で簡易な解体用の準備を完了すると、ウサギを吊るし解体をしながらスキルの説明を読んだ。慣れない解体作業で、不格好で荒い出来ではあるが、一度の失敗も無く、淡々と手を加える。


下級錬成魔法Lv1

 素材を用いてコアを作り、それを元に他の素材や装備に追加効果を与える。この際、簡単な成型ができる。今は、魔力のみが素材と出来る。


下級魔法(全)Lv1

 火、水、風、土、光、闇の属性を持つ現象を起こせる。しかし、特化した下級魔法よりも現象は簡易なものとなる。今は、3cm程の塊で指先から発動できる。しかし、現実への干渉はしない。


(今のところ、下級錬成魔法は使える素材が魔力だからあまり作れるものは無さそうだな。魔法に関しても魔力を注ぎ続けなきゃすぐに霧散する感じだろうな。しかし、この外装の成型と追加効果、これの使い方次第で、この職業は他の生産職以上の価値がある。)


「よし、解体終了っと、それじゃあ『鑑定』。不格好だし、かなり捨てた身もあって納得は出来ないな。」


コルヌラビットの肉

 料理素材。解体:最低


コルヌラビットの内蔵

 肥料や罠として活用可能。解体:最低


コルヌラビットの角

 鋭く硬い角。素材として用いられる。状態:低


コルヌラビットの毛皮

 柔らかな毛皮。素材として用いられる。状態:最低


コルヌラビットの骨

 とても加工しやすい骨。素材や肥料、罠として用いられる。状態:最低


風魔石:微小

 風の属性を持つ魔石。素材として用いられる。


(よし、まずはこの角でナイフを作れば今のより扱いやすそうだ。そして、肉はさっきの湖で冷やしておこう。内蔵は今は活用できないから土に埋めて置くとして、魔石、毛皮、骨は保管だな。解体ももっと練習すれば、素材の無駄は減りそうだな。)


「アリス、俺は湖に肉を冷やしに行くけど、お前も行くか?」

「おっ、今度は誘ってくれるんだ。行く行く。さっきは1人で寂しかったもん。」


 湊霞は、湖に移動しながら下級魔法を練習していた。

 指先に次々と魔法を発動して検証をする。さすがに、複数の同時使用はできないようである。大体、五節程の呪文を唱えると指先に魔法が発動する。始めの一回は軽く喜びに暮れていたが、2回目以降は、スキルレベルの向上方法やスキルの使い道を模索するようになった。

 その姿は、まさにオタク、早口に淡々と思考し、独り言を繰り返している。


「なるほどね。自分の魔力で火を出したりは出来る。しかし、草なんかに燃え移ることは出来ない。ただ、熱は感じるから物を熱することは出来ると。次は、・・・」

「本当、あんたはただ移動するって考えは無いみたいね。忙しないわ、この雄大な自然を満喫する事も無いみたいね。」


 アリスは、ただ呆れつつも、自然に視線を向けず、ただ考察に没頭する顔を温かな笑みを浮かべ下から覗く。まさに、母の顔をしたアリスに湊霞は気づくことはない。


 その後、湖から帰ってくると仮拠点を準備する場所の選択を考えながら、ヒロエラの葉と剝いだココエラの樹皮を紐にしてハンモックのような物やホタル石を使ったランタンを作成する。湊霞は、左手で下級魔法を扱いつつ、右手で作業を行う。

 相も変らぬ、効率重視のマルチタスクだ。


 因みに、湖からの帰りに更に植物を採取している。


香辛草 ペッパーリーフ

 胡椒のような味わいを持つ葉。花や実はかなり強力な刺激辛味成分を持ち、食用となるのは、葉の部分と根の部分のみである。一部の魔物は、この実を好物としている。


香辛草 ハッカク

 強いメントール臭を放ち、虫型魔物の接近を防ぐ。葉と茎から採取する栄養水には殺菌作用が有るのと同時に、食品に対する軽い防毒作用(食中毒対策程度)がある。


蔓芋 カラカラサツマ

 生ではかなり苦味がある芋。蔦の根元に青紫の芋が見えるのが特徴。火を通すととても甘くなる。


紅草 レッドクローバー

 紅いクローバー。食用であり、豊富なビタミンを持つ。また、乾燥させることで仄かに甘い茶葉になる。


簡易ハンモック

 簡単に設置が可能なハンモック。職業を介して生成してないため、耐久性は低く、環境に対する耐性は皆無である。


簡易ランタン

 簡単に設置が可能なランタン。職業を介して生成してないため、耐久性は低く、環境に対する耐性は皆無である。


(仮拠点の候補は3つ。1つはここでテントのように作ること。場所の制約や利便性に問題はないけど、外敵にかなり無防備である。どうやら、職業を介して無い物は、かなり破壊されやすいみたいだからな。2つ目が、ココエナの上、さっき確認したけど、大樹の中には複数の木が絡み合ってできているのもあるから上に行くこと自体はそこまで難しくない。しかし、1つ目とは、対象的に場所の制約や利便性に問題があり、外敵の心配がない。それに、やはり耐久性の問題から、かなり頻繁に補強が必要そうだ。)


 湊霞は、目視で候補地の状況を確認、完成図をイメージする。


(3つ目は湖から少し行ったところに、絡み合って大きくなったからか幹の部分に大きな空洞のある大樹があったから、あの木をまるまる使う方法。これは前の2つを合わせたようなものである。しかし、少し懸念が、)


「アリス。この世界の虫は全て大きくなっているのか?さっきから蚊や蟻を見かけないんだが。」

「そうだね。殆どが魔物化しているから、一番小さい奴でも50cmは下らないと思うわよ。ただ、病原菌みたいな微生物は居るわ。」


(それはもう化け物だな。なら、懸念もないし3つ目の案で行こう。)


 ちょうど、道具の準備をひとしきり終えると湊霞は、荷物をまとめる。

 通学に使っているリュックはすでにパンパンだ。

 上を見上げれば、大樹の葉の間から薄暗くなる空が見える。


「アリス。もう日も傾いたからひとまず仮拠点の候補地で寝床を作るから行くぞ。」

「はいはぁい。本当に、早いわね。私たち神の予想では、まだモノリスも発見していない予想なのに。それを初日で拠点候補に寝床まで。これじゃ、救済措置の期間が無駄になるわね。」

「それは、人を舐めすぎたな。最低でも俺はあと一人、俺と同じように今日中に、仮拠点候補まで行くやつを知っている。」

「何、そいつ。というか、そいつもこっちに来ているとは限らないわよ。それぞれの世界からランダムに選ばれるから。まぁ、この大陸には地球からは日本から中心に来ているけど。」

「いや、100%来ていると思うよ。あいつは。」


(まぁ、正確にはもう一人知っているがあいつは来てほしくない。)


 目的地に着いてすぐに木に登り、用意したハンモックとランタンを設置後、今日取った肉と食用植物をココエラ製の鍋に入れて魔法を使いながら過熱して、食べながら錬成魔法を使う。

  因みに、アリスは鍋に対してとても美味しいと好印象を持っていた。

 錬成魔法は素材に対して自分の魔力の糸を通して、作り出したい効果をイメージすることでコアを作れる。

 今回は、魔力を素材として、魔力を通すことで硬度が上がるコアをイメージした。すると、1cm程の球体が出来た。色は少し、紺色のようだが光の当たり方で色を変えている。


「おっ、出来たな。なんだかガラス玉みたいだ。」

「あんた、ご飯の時くらいやめたら。行儀悪いわよ。」

「複数人でいるわけでもないし、そんなの気にしてたら時間を無駄にする。」

「一応、私が居るんだけど。」

「・・・『鑑定』。」

「あっ、無視ですか。そうですか。私、神よ。一応、神界でも偉い方なのに。」


 アリスは、悄気てしまいハンモックの隅の方で眠ってしまったが、湊霞は気にせず鍋を食べながら説明を見た。


魔力変換硬化コア(G)

 魔力を通すことで道具の硬度を高める。魔力効率はクソ悪い。


「よし、次はさっきのコルヌラビットの角とココエラの枝とコアで。・・・出来た!」


 コアと付与したい素材や道具に魔法の糸を通すことで錬成は完成となる。今回は青白いコルヌラビットの角と大元の形を作っておいたココエラの柄を用意している。


(この際、大雑把になら素材を成型できるわけだが、少し先を削ろうとするだけでもえげつない集中と時間が必要だ。)


 湊霞の手には刃渡り20cm程の青白い刀身の短剣があった。


コルヌラビットの短剣(G)

 コアにより硬度を変えられる短剣。しかし、魔力効率が悪く、コアの耐久性も少ない。


「よし、あとは毛皮と蔦、コアで鞘を作って完成っと。」


 湊霞は、もう一度コアを作ると短剣を直す鞘を作り、ベルトに装備した。


コルヌラビットの短剣鞘(G)

 コアにより刀身を保護する短剣鞘。しかし、魔力効率が悪く、コアの耐久性も少ない。


「これで明日からの素材集めや加工がしやすくなるな。なれ?・・・」


 湊霞はハンモックに倒れ込むように寝た。魔力が尽きてしまい、急速な魔力欠乏による強制催眠となったのだ。

 こうして、新たな世界での一日が終わる。

 魔力欠乏で倒れ込むように眠り、怯える夜を過ごさなかった者は他に12人いたようである。




いつもはYouTubeで活動してます。


この作品の裏話や挿絵、紹介動画なんかもしていくつもりなので、見に来てください。


https://www.youtube.com/channel/UC3wzuZXPJ0Izmji-vlTWgdg

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