第14話 本拠点の準備期間スタート
湊と仲間たちは和気あいあい
夢の中の話だね・・・アリス
35日目
「それで、これからは、本拠点設営ポイントを探すことに本腰を入れる。」
「どのような条件で探すおつもりですか?」
「防衛性。最初の頃は飲水問題で湖付近を考えていたが、この間作った水瓶のお陰で、そこは気にしない。」
「うん、うんうん。うーん、湊・・・。それは止めない。大事な話でしょ、今。ずっと、話している間、コアや矢を作り続けるの。」
「・・・、会話中、めっちゃ失礼。」「未来、よく言ってくれた。少年、やめよう。俺でもわかる、TPOを考えるべきだと。」
「気にするな、話は理解できている。」
「「「「「「(いや、めっちゃ気になるし、理解してる、してないの問題じゃない)」」」と思う。」のだ。」だろ。」
「無駄よ。湊にその手の常識は・・・。」
全員、呆れつつもアリスの言葉からしょうが無いと諦めてもいた。しかし、ツッコまずにはいられなかったのだ。
「それで、具体的にはどんな条件で探しますか、一ノ瀬さん?」
「昨日の夜の内にノートに簡単にまとめてある。」
「貴方、遅くまで起きてたのはそのためだったのね。」
「いつもの、スキルレベル上げと思ったのだ。」
「いっつも最後まで明かりついているもんな、湊のハンモック。」
「ニシシ。ワーカーホリックのブラック企業みたい。」
ノートには次のことが一番上に書かれ、その下には、具体的な数値、見取り図の素案までかなり凝ったものが書き加えられていた。
1 防衛性(見晴らし、罠の設置、逃走経路)
2 広さ(個室、共有部屋、倉庫、畑)
3 アクセス(トラップ、仮拠点)
「この防衛性は、最優先事項でしょう。私たちは、今のところ、ここのハンモックで安全でしたが、いつまでもとは限りませんから。」
「我が子が、この状況に異常だと感じなくなってきたのだ。」
「まぁ、慣れてくるよね。ところで、この広さは結構ネックかも。これだけの設備を用意するとなると、大変だと思う。」
「俺としては、男女が別のハンモックとはいえ、並んで寝ている、今よりもいい設備だと思うぜ。少年の見えない配慮って奴か。」
「ニシシ。多分違う。」
九条と鮫島が、自分たちの考えをまとめる中、星野はノートに内容を写しつつ、自分の考えをメモしていっている。
「・・・。」
「ニシシ。舞ちゃんは、真面目さんだとアタシは思う。ニシシ。なになに、建物の高さの訂正、身長に合わせたキッチン。ニシシ。確かに身長差があるからそこは考えないとだと思う。」
「マイペースな子が湊以外にここにもいたわね。」
指摘の殆どが、星野の身長への配慮として作った採寸を湊たちに合わせようというものであった。その代わり、脚立のアイデアが書き込まれている。
「それじゃ、4人を2グループに分けて、崖上で探すグループ、湖周辺で探すグループで動いていく。」
「それで、貴方のことだからもうそこも決めているでしょ、どう分けるの?」
「崖上グループを俺、星野さん、湖周辺で探すグループを九条さん、鮫島さんで行く。」
「・・・!???」
ここで、星野はかなり驚愕していた(分かり難いが)。それはそうだろう、3人の中で湊と打ち解け切れてないのはどう考えても星野である。常に声をかけ、コミュニケーションを取ろうとする九条、鮫島と違い、話しかけない星野、無駄な会話をしない湊では、会話がないのだ。
しかし、湊は何も気にしてないように言い切った(本当に気にしてない)。
「攻撃力に劣る星野さんでは魔法を使用する九条さんを防衛できない。索敵が出来る星野さんと鮫島さんを別けるとなれば、必然的にこうなるし、効率的に探索が出来る。第一回は期間は5日間。その後、一度、拠点で必要な装備、道具の新調をする。」
このときの3人と4神の内心は一緒であった。効率のためならグループ内の雰囲気も気にしない。全く湊らしい・・・、と。
36日目
湊 星野サイド
「・・・。」
無言のまま、始まった二人の探索。風の音に、サラサラと葉のすれる音だけが二人を包む。そんな空気に息苦しさをアリスは感じる。
崖を登ると真っ直ぐに森を抜ける途中、星乃の召喚獣の目の前には広い空間が広がる。太陽に照らされ意図的にくりぬかれたような空間には大きな影が見える。
「・・・エリアボス。」
「了解。姿だけ確認して、先を急ごう。」
星野が頷くと二人の目にもエリアボスの姿が見えてきた。茶色の毛に新幹線程の蛇が大きくとぐろを巻いている、湊は素早くその姿をノートに写すと、星乃に合図を送り大きく迂回して先を急ぐ。
(「熟練の部隊か何かなの・・・。ノートの端に攻略方法もさらっと案だししてるし、ちらりとしか見えてなかったけど、1人パターンだけじゃなく、全パターンあったわね。」)
二人の動きにアリスが呆れていると、森が終わり、大きな川を挟んで二人より少し高い植物が生える所に出た。背丈の高い葉ではあるが、背景としては草原のようにも見える。
(・・・恐竜映画に出てきそうね。確かあれは2の・・・ラプトルのシーンだったような。)
高草 ドライネ
背が高く実を付けない稲の様な植物。丈夫な葉と茎を持ち、空気中の水分を取り込むため、周りがカラッと乾燥する。干し草にすることで素材となる。
罠草 ムスビアガベ
草が輪を描くように生えている植物。生き物が引っ掛ける形であり、付近に生息する魔物との共存関係となる。素材としては余り使えない。
日が傾きだしたため、湊たちは少し先に見えた草原の中にある崩れかけのビルに入り、ハンモックを用意、2人が早々に寝ようとすると、これまでの鬱憤をアリスが力強く開放する。
「いや!待ちなさい。貴方たち、もう少し話しなさいよ。今日一日、全く会話して無いじゃない。空気が、『空気』が、重いのよ。貴方たちが気にしなくても、私が気まずいわ!」
「ニシシ。アリス様あの空気にストレスを感じている。」
「無駄。」「・・・うるさい、黙れ神」
「黙れ神!??」
「ニシシ。アリス様、可愛そう。」
湊も星野も、煩わしいコミュニケーションというのが好きでは無いため、今の状態に不満はないのである。しかし、今回のアリスは引き下がらなかった。おしゃべりで、みんなを見守るアリスにとって、会話によるコミュニケーションは大事なことなのだろう。
「いいえ、会話しなさい。これから先、貴方たちは色々と一緒に行動することが増える。その時、円滑な連携、交流を考えれば、話せるようになっていることは大事な事よ!」
(母親か。いや、俺の親は言わなかったから、母親以上か。)
「別に、今後も一緒とは限らない。互いにビジネスライクみたいな関係なんだ。」
「・・・・・・・・・・わかった、最低男子。」
どこまでも煩わしく感じ寝ようとする湊に対し、星野はいつも以上の沈黙の後にハンモックから身体を起こし湊のハンモックへと近づく。ここまでの道中だけじゃない、九条、鮫島の二人は、湊と最低限でもコミュニケーションを取ろうとしてた。自分はそんな二人に前の世界同様に甘えているのではと感じていたのだ。
「・・・効率バカ、話す。・・・神の話、一理ある。」
「!・・・わかった。なら明日の動きについて少し話すか。」
「・・・うん。」
それから、星明りの暗い草原でビルの一室の明かりは消えなかった。
そこには二人の向かい合う影の周りをくるくる回る嬉しそうなアリスの影も見えた。
いつもはYouTubeで活動してます。
平日夜には作品の制作配信してますので観に来てください
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