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神々が観る世界 神々に魅せる世界  作者: 朧華
5つの交わる世界
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第1話 神々の交わる世界

自己中で効率廚な主人公の少し異常な物語。

 世界は神々の遊戯でいくつも作られる。ここはそんな世界の中の一つ。5つあった滅びの決まった世界が交わり、どこかゲームのようなそれでいて何処までもリアルな世界。ここで、存在意義を証明せよ。




『君たちは選ばれた。新たな世界の始まりを作る者に。さぁ、破滅するだけだった世界の住民たちよ。今、その存在意義を証明せよ。』

 真っ白な意識の中そんな言葉が響いた。




数分前

(めちゃくちゃ怠い。せっかくゴールデンウイーク中に最高のレベリング方法を思いついたっていうのに、学校とか怠いわ。)


 黒髪で、細身の男子高校生。今にもまぶたが落ちかけ、欠伸をしながら気だるそうに学校に続く坂道を歩いている。

 すると、ヘッドホンを着けた茶髪の爽やかイケメンが後ろから走って肩に手をかけてくる。

 ゴールデンウイークの徹夜がたかり、少しよろめいてしまう。


「よっ、湊霞(みなか)!WEOのレベリング方法は確立したか?」

「あぁ、出来たよ。蓮也(れんや)。」


 蓮也は肩から手を離すと、湊霞の横で歩きながら着けていたヘッドホンを取った。

 無駄にイケメンである。


「一応この方法なら一日でレベルを5つは上げられる。ただ、もう少し工夫できる気がする。」

「まじか、まだ発売されて2週間もたたないのに、流石。殆どのゲームで最前線を行く。効率厨だな。」

「そういうお前は、クエストどこまで行ったんだ。ストーリークエストは俺と一緒に終わらせたが、あの後進めたんだろ。」

「あぁ、9割方終わったぜ。後は一定以上のレベルが必要なクエストだけだな。やっぱり、神作家、神絵師の卵を売り文句にしているだけに、54302人という多くのNPCで圧倒的ボリューム、圧倒的スケールのサブクエが多かったぜ。」


(9割方?あのゲームは多種多様なクエストが豊富に入っていることがウリなのだが。相変わらずのクリア速度だな。それにNPCの正確な人数も言えるってことは、全部のストーリーをしっかり記憶しているって事だろ。)


 二人がゲーム談義を楽しんでいると、校門前に人の集まりが見えてくる。


「おっ、またか。容姿が優れているってのは、周りから注目されて大変だね。この間も学級新聞に特集されて、廊下に人集りできてたもんな。」

「お前が言うか。学校行事のたびに女の子から声をかけられるお前が。去年のバレンタイン、チョコレートを運ぶの大変だっただろ。」


 人集りの中心には3人の女子がいた。麗な白い肌に内巻きのセミロングの黒髪に高校生とは思えぬ巨乳に整ったスタイルの女子は、二人の女子に近づいて行っていた。


(3人ともベクトルは違えど、超の付く美人だからな。)


「二人とも。おはよう。」


九条(くじょう) (りん)。九条グループの娘で成績優秀、人柄もとても良く、男女関係なく人気だ。)


モブA「て、天使様だ・・・。」


「うん。凛、おはよう。今日から学校頑張ろう。」


鮫島(さめじま) 未来(みらい)。陸上の全国大会常連選手であり、その性格から多くの人から親しまれている。)


モブB「あの太もも、エ、エロイ・・・。」

モブA「お前キモイな。」


「・・・おはよう。」


星乃(ほしの) (まい)。フランス人の祖父とカナダ人の祖母を持つクウォーターであり、人形のような見た目をしているが、かなりの毒舌って噂だ。)


モブC「美毒姫は、今日も可愛い・・・。」

モブD「あとでお菓子あげよう。」


 未来はスカートを短くし、坂で中の短パンがチラッと見えている。少し日焼けした肌にミディアムのハーフアップした茶髪がよく似合っている。

 腰がかなり細くモデルも顔負けのスタイルをしている。

 舞は、とても小柄で、クウォーター特有の金髪は少しウェーブが掛かっている。白い肌に少し青みがかった瞳は、まるで人形のようである。

 因みに、ものぐさで無口なこともあり、クラスの女子にぬいぐるみのように扱われてたりする。


「あの3人ほどじゃないよ。ファンクラブとかないし。」

「そうかもな、ほら急いで教室行くぞ。こんなところで、止まるのは時間の無駄だ。」


 湊霞は、つまらなそうに人だかりをよけ校門に向かう。周りが3人に群がろうとする中、一度も人に当たらず自然と下駄箱へと向かう。


「本当、湊霞は人によって対応を変えないねぇ。あそこでざわついている奴らとは全く違うわ。というか、人に興味がないよな。」

「ただ、脳のリソースや時間、体力を割くのが無駄で効率的でないと考えているだけだよ。友達は必要最低限で、自分に利益のある者のみで十分だ。」

「本当に根っからの効率厨。その気になれば成績も上位なのに時間の無駄って言って、目指す大学に必要レベルまでしか力を出さないし。」

「担任からの押し付けがましい進路相談は無駄だからな。行きたくもないのに上のランクを目指せなんて、担任のエゴだ。」

「はは、確かに。あの担任じゃ」




 湊霞がその言葉の続きを聞くことはなかった。

 気づいた時には真っ白な空間で、さっきの言葉を聞いたかと思ったら巨大樹の森の中に湊霞はたたずんでいた。






(ここは、何処だ?さっきの言葉は?)


 湊霞が今の状況を考えていると、目の前に小さな光が集まり、銀髪をベリーショートをした35cm位の女の子が現れた。


「Hallo。それとも、Bonjour。あっ、おはようかな?目は覚めたかな?我が子よ。私はアリス。貴方たちは、選ばれ」

「そういうのいいから、今回の転移について説明してくれ。」

「・・・えっ!?」


 満面の笑顔で話しだそうとしたアリスを、湊霞はゲーム画面をスキップするような感覚で遮る。

 湊霞のあまりの反応にアリスは笑顔のまま固まってしまった・・・。

 湊霞は、戸惑うこともなく、素早く立ち上がり自分の状態を確認しながら回答を待っている。


「どうして、転移って。」

「そんなの、ラノベを嗜んでいる者なら、すぐにこの状況で気づくだろ。そして、さっきあんたは俺のことを『我が子』って言った。なら、あんたは神かそれに準じる存在って事だろ。」

「何、その的確な推理。まだ、数秒も経っていないのに。」

「そういうのいいから、今回の転移について説明してくれ。時間は有効に、だ。」


 湊霞は、アリスに説明を促しつつ自分のリュックをあさり所持品確認を始めた。

 横にはメモ帳を広げている。

 アリスはフワフワと近づいて、そんな湊霞に声をかける。その顔は、驚愕と疑問と不満と、多くの感情が入りみられている。


「えっ、それをしながら聞くの!?人に説明を求めておいて!?」

「あぁ、その方が時間的にも効率がいいからな。話は耳で聞ける、なら手と目で所持品の確認をすれば、その後の行動出来る時間が増える。だから、確認が終わる前に説明をしてくれ。」

「そ、そう。なら、始めるわね。んっん。私はアリス。貴方たちは選ばれた。ここは、破滅の未来にあった5つの世界の一部が交わり誕生した新たな世界。」

「そうか。」


 利き手で話しの内容をメモしながら、もう片方の手で所持品の確認を続ける。

 一応、アリスの話に相槌を打っているが、とても説明を聞いている者の姿勢ではない。アリスがノートをチラリと見ると、丁寧にメモが取られ、話を聞いているのはわかる。しかし、アリスは全く納得のいっていないようである。


「あんた。自分の世界が破滅の未来にあったって聞いて何も感じないの・・・。」

「人間があれ程搾取しているんだ。何百年か経てば破滅するなんて簡単に想像できる。おっ、水筒だけでなく、空のペットボトルもあったありがてえ。」


 バカではない。湊霞は、効率廚で本当に無駄を嫌がるだけである。むしろ、湊霞は高校一年の前半で自身が将来就く職業に合格できるだけの知識を覚えており、学校では全くテスト勉強をしない生徒であった。それでも、全ての教科でテストの点数は80点台でいつも10番台後半の成績である。

 そんな、湊霞にアリスは少し引いている。・・・いや、かなり引いていたりする。


「そう。貴方は変わっているのね。それじゃあ、気を取り直して。この世界で貴方たちには自由に生きてほしい。それがこの世界の新たな文明となる。」

「そうか、それなら次はこの世界の仕様を教えてくれ。あんたらの目的とかは移動しながら聞きたい。」

「こっちの台本をことごとく邪魔するわね。せっかく、夜なべして考えたのに・・・。」

「サバイバルなら初動が大事だからな。それに、ここは森で人の声が聞こえないとなると、近くに人がいないというわけだ。人手が限られているなら、行動に無駄は許されない。」


 確認した所持品をリュックに戻し、湊霞は周りの石を拾っては石同士を軽くぶつけ選別し始めたり、蔦を集めだした。アリスはリュックの上に腰掛けると諦めに近い感情を見せる。


「はいはい。はぁ〜。私はハズレを引いたかな?でも、この子は私との適性が強かったのよね・・・。それでは、世界の仕様を話すね。」


 アリスはついに口調を通常状態とした。石と枝で打製石器のナイフなどのサバイバル道具を作り出す湊霞を見れば、取り繕わなくもなる。

 因みに、出来た石器は不格好ではあるものの、失敗のようなものは見られない。


「この世界は職業とスキルがあるわ。ゲームみたいに身体能力の数値は無いけど、職業のレベルとスキルレベルは存在してるわ。」


 すると、湊霞の手首に腕輪をもした赤い模様が浮き出る。タトゥーのようだが、模様は少し光を発しており、シャツの上からも模様が見える。


「ん?」

「それはウィンドウを出すときに使うわ。指で撫でながら『ステータス』って言ってみて。」

「ステータス。」

「すると、・・・ってもう見てるし。」


 半透明のボードが出てきた


ステータス

華ノ宮 湊霞

職業

スキル


「まだ、職業欄が空欄でしょ。こんな感じのモノリスを探してみて、すると職業を選べるようになるから。」


 すると、立体映像のようなものが出て4mの石碑が映し出された。シンプルながら威厳を感じる紋様が描かれている。


「そうか、ならそれを含めて探索をするから移動しながら話し続けてくれ。」

「はいはい。」


 湊霞は歩き出し、アリスは湊霞のリュックの上に座った。





初のWeb小説投稿

いつもはYouTubeで活動してます。

この作品の裏話や挿絵、紹介動画なんかもしていくつもりなので、見に来てください。

https://www.youtube.com/channel/UC3wzuZXPJ0Izmji-vlTWgdg


※少し改良を加えました。

内容に大きな変化はありません。

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