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Girls have Fightingspirit

どうもー!莉澄カルでっす!!

突然ですが、重大なお知らせです!!!

次回にて「ガルガン -Girls have Guns-  女の子ハンター2人(と一羽)、モンスターを狩りまる」は最終回となります!

今まで応援してくださった皆様本当にありがとうございます。

無事に莉澄カルのデビュー作としての「ガルガン」は何とか大団円を迎えられそうです!

次回の最終回に乞うご期待!

できれば、カルの次回作も応援していただけると嬉しいです。

以上、莉澄カルでした!

では、またどこかでお会いできる日を願って。

それでは。

 そろそろロック鳥がいるという崖のあたりか。

 きっつー。

 かんじきを履いているから、長靴よりは歩きやすい。とは言われていても、アスファルトよりはフツーに歩きにくいし、いろいろ入っているリュックは重いしで、ホントにきつい。

 これに加えて、4㎏以上あるライフル、予備弾倉(マガジン。まあ、弾丸入れている箱だね。)、ナイフ、コンパスその他諸々を持って、るのに平然と移動しているヒマリは何者なんだよ。

 ギャルは東京の舗装された道路が生息域じゃないのか。まあ、そうじゃない人もいるかもだけど…。

 だとしても!

 だとしてもだよ、雪山をかんじきで平然と進むギャルはそういないよ。とゆーか、いてたまるか。

 しかも、今回は野営はしないから、キャンプ用品とかは持ってきてない。

 ヒマリ曰く、だから、いつもより全然らくしょー。らしい。

 いや、これでなのか。

 と、文句を垂れているうちに目的地の崖が見えてきた。

 いや、深いな。

 30mはあるんじゃないと店長。

 私から見ると、右が頂上に続く断崖で、左が崖。正面が丁度、広場みたくなっている。

 雪の白が、高くなり始めた太陽の明かりをはじき返して綺麗。

 なんだけど、まるでウツボカズラの罠みたく口を開けた崖が横にあるせいで気が抜けない。雪景色に見とれていたら、きっと吸い込まれてしまうはずだ。ブラックホールみたく空気すら吸い込んでしまう、その穴の中に。たぶん、悲鳴すらも飲み込まれてしまうのだろう。

 その時、甲高い音が辺りにこだました。

 いや、もう甲高い音とかいうレベルじゃない。

 楽器だ。

 それも、笛とかじゃなくて、クラシックコンサートで聞くようなやたらデカくて荘厳な音が鳴るヤツ。

 腹の底まで揺さぶるような。

 音の波が押し寄せて、私をあの崖下に向って弾き飛ばしてしまう。そんな恐怖で全身がこわばる。

 あー、私にハンターが命懸けだってことを教えてくれたリヴァイアサンなんて、あれでもしょぼかったんだな。

 声だけで勝てないと思えるもん。

 しかも、その声はドンドン大きくなってきてるし。

 地面の雪が震える。

 風が強くなる。

 ヒマリがライフル組み始め、店長が私を庇うように前に来てくれる。

 だんだん雪の震えが激しくなる。

 風で私の帽子が吹き飛んでいき、あっという間に視界の外にいった。たぶん、あの帽子は奈落の底に消えてしまったんだろう。

 風が朝、せっかく整えた髪をぐしゃぐしゃに吹き飛ばしす。

 吹き飛んだ白いものが視界を遮る。

 雪が飛んできている。

 足元から前が見えないほどの雪が迫る。

 逆ブリザードといっていいかもしれない。

 私は店長のリュックの抱き着きつつ、耐えるしかなかった。その猛烈な突風に。

 突然、雪の隙間から漏れていた光が闇に変わった。

 雪が覆う視界にうっすらと見えていた光。

 それが一瞬で失われた。

 本当に真っ暗になる。

 上を何かが通る感じがする。

 何か大きいものが太陽を覆っているんだ。

 雪が落ち着いていたタイミングで、ゆっくりと顔を上げた。

 それから、目を開けてみた。

 デカすぎて、何となくしかわからない。

 わからないけど、あれが…

「ロック鳥。今回の獲物だよ」

 それは太陽を隠してしまうような化け物だった

 はたして、こんな化け物に人間ごときが挑めるものなのだろうが


「まあ、正確にはアレは今回の獲物のママだけどね。」

 あの鳥が崖の下へと、消えた後でヒマリが言った。

 先に言え、おバカ。フツーにビビったでしょうが。

 あれ、でも

「銃構えてなかった?」

 ヒマリがチョット考えてから、突然、なにかに思い当たったようにあっと叫んだ。質問の意図に気づいたらしい。いちいちリアクションの大きいヤツだ。

「アレは万が一用だよ。装填まではしてなかったっしょ」

 いや、そこまで見てる余裕なかったって。

 そんな話をしていると、また、さっきの声が聞こえ始めた。

 だけど、今度は近づいては来ない。そのせいか、雪は震えるだけで空を舞おうとはしなかった。

 双眼鏡を持っている店長がいうには、さっきの親ロック鳥が崖の上空をグその場でグルグルと旋回し始めたらしい。

 口には餌を加えているみたいだ。

「だったら、そろそろだね」

 ヒマリが真面目な、というよりハンターの顔になって、その可愛らしい瞳をギラつかせた。

 その舌が上げた口角をゆっくりとなぞる。

 ライフルを再び構えた。今度はちゃんとガッシャという音を響かせる。私にも聞こえるくらいに。気合を込めて。

 弾丸が装填された。

 安全のため獲物を狙うモードに入るまで弾は装填しないのがフツーらしい。

 だから、ヒマリの瞳には、スコープ越しにまだ現れていない獲物が映っているということになる。

 今度は反対の頂上側から風が吹き出した。

 相変わらずの強さだが、先ほどより弱いし不規則な気がする。

 下から迫る吹雪も視界を奪うほどじゃない。

 太陽が隠れる。

 隠れるが、さっきみたいの闇が訪れるというほどじゃない。

 光のシャワーが何かにあたって遮られ、その本流がいくつにも分かれていくという感じ。

 つまり、その怪物のいるところ、私たちの真上だけ陰になっているって感じ。

 光はそれに遮られて流れを変え、私たちのそばの雪をスポットライトみたいに照らしている。

 光のシャワーをさえ、遮る影の正体。

 これがロック鳥の若鳥。

 今回の獲物だ。

 チョット脱線するけど、ヒマリがあとで教えてくれたところによると、親が旋回するのは餌で若鳥を誘導して自力でその位置まで飛ばせる為で、よーは、飛行訓練らしい。

 若鳥が崖のほうに飛んでいくのに合わせて、ヒマリも体の向きを変えていく

 それでも重心はブラしていない。

 その時、若鳥が大きく羽ばたいた。

 巨大な羽根が散り、ヒマリに向かって降ってくる。

 羽根1枚と言っても本体がデカすぎるから、かなりデカい。

 一枚で2,5m近くある。

 それがマリにかぶさるように落ちてきた。

 ヒマリが慌てて、銃を置き両手で自分に覆いかぶさってきた羽根をどかそうとした。

 羽根をどかすために左足を踏ん張った。

 その時!

 ズリッ

 ヒマリの重心が大きく崩れた。

 その足が、風のせいで脆くなっていた雪の地面にとどめを刺してしまったみたいだ。

 雪の地面が原型をなくし、雪崩のようになる。

 それはそのまま、永遠の奈落にズルズルと引き込まれて。

 崖の底にある闇に消えていった。

 上にいるヒマリごと。

 店長が私の肩を支えて、ゆっくり離れてくれる。

 ヒマリを不安そうに見ながらも、私の耳元で「落ち着いて」とささやいてくれた。

 ヒマリの方は崖の淵からチョット離れていたから、ギリギリ落ちなかった。ヒマリの足元ギリギリで雪崩のベルトコンベアーは停止していた。

 ヒマリはさすがに慣れているようだった。振動を与えないように、身長に崖の淵にひっかっていたライフルを回収していく。それを落とさないように慎重にバックに括り付けてから、4足でゆっくりこちらに近づいて来る。

 この時が初めてだった。ヒマリの顔が緊張でゆがむのを見たのは。

「あっぶなー。マジで死ぬところだった」

 店長の腕を片手で掴んで立ち上がったヒマリは、そう言って私に向けてグーサインをだした。

 良かったー。

 私は安心しすぎて、その場に崩れ落ちてしまった。

 マジでこっちの心臓が先に止まるところだった。

 ホントに死んだかと思ったからね。

「まあ、でも今回はもうやめといたほうがよさそうだね」

 ヒマリが雪の地面が滑り落ち切って、茶色部分がむき出しになったところをノールックで指さしていった。

 店長があきれたように答える

「当り前よ。次はどこの雪が崩れ始めるかわからないわ」

「とゆーか、早めに山からも下りたほうが吉っしょ」

 店長がそれに頷くと、ゆっくりねと私に言ってから、慎重に歩き出した。

 しばらくして、崖がギリギリ見える位置まで着いた。私は座り込みそうになってヒマリの肩を貸してもらった。

 店長がどこかに電話(消防署とか山の受付に知らせていたらしい)していたが、内容はほとんど聞こえていなかった。

 麓の近くまでなんとか辿り着くと、気のよさそうなオジサンが走ってきてくれた。この人は行きに装備や目的、個人情報なんかを受付に届けたときに対応してくれた係の人だ。

「よく無事だったね。あそこはプロでも油断すると死ぬことがあるから。だから、電話が来たとき、こっちは血の気が引いたんだよ。」

 そこから先はあまり覚えていない。お茶が冷えたからだを温めたのだけは覚えていたが、死の予感があったまった矢先から体を冷やしていったからだ。

 でも

 でも、どこかでリベンジしたいと思っている自分がいた。

 吹雪の中、銃を構えるヒマリはホントのハンターだった。そのハンターが作る静かな世界を見てみたかった。その思いが死の恐怖に勝っている感じが確かに胸に残っていた。

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