砂遊びは1人でするものじゃない
「僕は、砂遊びでもしてようかな。でも道具がないな」
食事の後少しの休憩を挟み、次は1人で砂遊びでもしようかと思った。
「まあ、いいかとりあえず頑張って城でも作ってみるか手で。でも手か、ちょっと手はやだなー」
何か代案はないか周りを見渡すと、海の家にちょうどいい張り紙があった。
子供用スコップ、バケツ貸出中
「お、いいのやってんじゃん。すみませんこれ借りれますか?」
「はいはーい。どうぞ」
「ありがとうございます」
海の家で道具を借り元々いた位置に戻り、作業を始める。 にしてもなんでもあるな海の家。
「て言っても作り方知らないな。調べてみるか」
スマホで(砂のお城 コツ)と検索をかけてみる。
「良さげなサイトみっけ。なになに…
1.バケツに砂を入れ、海水を入れて混ぜる
2.バケツの中で砂を踏んで押し固め.城を作りたい位置に積み上げて山を作る
3.スコップでおおまかな形を削り出す
4.プラスチックのカップで塔を作ったり、ヘラなどの道具で装飾を付けていく
とりあえずやってみるか」
僕は、不器用ってほど不器用では無いので一定の工作などは普通にできる。
「とりあえずステップ1からだな。」
バケツに砂を入れ波打ち際に海水を取りに行く。その後砂を踏み固める。
「そういえばどんな城作るか、考えてなかったな。とりあえずタージ・マハルを目指して作ってみるか」
砂を踏み固めながら、タージ・マハルの全体像を検索してなんとなく形を把握しおく。
「でも、これ結構砂使うし往復大変そうだなもうちょい波に近づくか」
道具を全て持って周りに人がいない波に近づく。元々日陰休憩と作業をしていたため、日向はやはり結構な暑さで砂もアツアツだ。
黙々と砂遊びを初めて約1時間、全員で帰る時間が確か16時だからあと2時間はあるな。
「あ!いたいた一葵君!探したんだよ、周りみてもいないから心配したんだから」
「ありがとうございます、でも僕みたいなやつはそんな迷子になったりしないですよ。あり得るとしたら、周りになじめず一人で帰るくらいだと思いますけど」
「そんなに自傷しなくてもいいのに。何してるの…って凄いねなにこれ?」
「あータージ・マハルですよ結構いい感じですよね」
1時間で以外にも1階位は出来ていて、あと2時間ぐらいあれば全て完成する勢いだった。それにしても、なんで神楽坂さんは僕が居ないことに気づいて探してくれたんだろうか。
「タージ・マハル…あーインドのお墓のでもなんで?」
「いや、暇だったので」
「暇でやることのスケールがすごいね」
「神楽坂さんもやりますか?」
「え!いいのやるやる」
神楽坂さんが手伝ってくれれば完成までの速度も上がるし、確か神楽坂さんは美術が結構できる人だった気がするし。
「じゃあやりますか。でも道具もうワンセットあった方がいいと思うので、僕取ってきますよ」
「ありがとう。その間に私は、タージ・マハルの形を見とくから」
神楽坂さんは、タージ・マハルを作るのに結構乗り気らしい。でも神楽坂さんは、友達と遊ばなず僕と砂遊びして楽しいのだろうか。
「今戻りました、早速再開しましょうか」
「そうだね、よーし頑張るぞー!」
お互いに交代交代で、砂を作る係、砂を削って形を作る係と分担してどんどんタージ・マハルを作っていく。
神楽坂さん一緒に作り始めて1時間30分ほどたった。ほとんど完成に近い状態に持っていくことができ今は、一緒に砂をに削る最終工程に入っていた。
「一葵君、あの昼のはごめんね」
「なんのことですか?」
「あの日焼け止め塗ってた時の、部活の話の時。一葵君あんまり話したくなさそうな感じだったから、いやなこと話させちゃったかなと思って」
神楽坂さんが、僕のことを探していたのはこのためなのだろうか。
「それなら、こちらこそごめんなさい。ちょっと突き放すみたいな感じになっちゃって、別に嫌とゆう訳でもないんですよ僕もバスケ自体はやってて楽しかったですし、今よりも青春してた自信はありますしね」
「でもなんで、挫折って言い方なの?」
「まあ、簡単に言えば楽しかったんですけど…高校から家までの距離が結構あって、部活があると家に帰る時間が遅くなってそれが嫌って話なんですけどね」
僕は、単純に家から高校の距離で部活を諦めただけだった。
「何その理由、ほんとにもったいない」
「しょうがないじゃないですか、性格的に面倒なのは嫌なんですよ」
さっきの雰囲気からいっぺん、神楽坂さんが僕の部活をやらない理由を聞いて笑う。神楽坂さんの笑っている顔と、夕日の相乗効果でいつもよりも可愛く見えた。
「神楽坂さん笑いすぎですよ、とかやってたら完成じゃないですか?」
「ほんとだ、写真撮ろ写真」
「え、自撮りですか」
神楽坂さんがスマホを上に掲げ自撮りの体勢に入る。
「ほら夕日をバックにピース」
「ぴ、ピース」
写真なら、いつかこんなのを作った自慢もできるし、写真が残る限り今日の証が残る。僕も一応正面の写真を撮っておこう。
「じゃあ神楽坂さん先戻っててください、僕この道具返してくるので」
「えー一緒に行こうよ」
「ちょっと神楽坂さんとあそこを一緒に歩くのは、僕が殺されかねないのでちょっと…」
「もう、そんなに嫌なの」
神楽坂さんは、更衣室僕は海の家に向かい一旦別れる。その後僕も更衣室に行き着替えて、集合場所に集まる。
「たぶん風見君で最後かな、何人か帰っちゃったみたいだし。それじゃ、安全に帰ろう」
行きと同じく電車、行きの時とは違いほぼ全員疲れて眠っている。海も太陽が沈みかけで、行きの時のような綺麗さはなかった。
「一葵君、今日楽しかった?」
「ほぼ1人でしたけど楽しかったですですよ。神楽坂さんは?」
僕は電車をおりたあと、いつも通りの帰路を神楽坂さんと歩いていた。疲れているためいつもよりも少し遅い気がする。
「もちろん、ビーチバレーとか出来たし。でも私は、砂遊びが1番楽しかったかな」
「奇遇ですね、僕もなんですよ。まあ、それ以外全部1人で面白さを感じにくかっただけかもしれないですど…神楽坂さん大丈夫ですか?」
話の途中で、神楽坂さんを見ると何故か下を向いていた。首でも痛いのだろうか。
「う、うん大丈夫。それよりさ、宿題終わった?」
「宿題ですか、宿題は…やば!半分も終わってないかも」
夏休み残り10日、宿題にほとんど手をつけていないことを思い出し一気に血の気が引く。
「そうなんだ、じゃあ私が手伝ってあげる。なんたって私は、8割がた終わってますから」
「ほんとですか、じゃあお願いします。でもどこでやりましょうか」
出ている宿題は、ほとんどがワークで個人の考えで作成するレポートのようなものがなかったのは救いだ。
「じゃあ学校は?自習室空いてるし、多分人もほとんど居ないんじゃないかな」
「それじゃあお願いします。僕の宿題が終わるまで」
急遽僕の夏休みの宿題を終わらせるために、神楽坂さんが手伝ってくれるとゆうことなので甘えることにした。
海でいつか砂の城とか作ってみたいですね、それかハイレベルな砂の城とかを見たいです。
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