表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平安女子のイケない食卓 ー 摂津源氏物語集 (3) ―  作者: クワノフ・クワノビッチ
4/12

(4) ご縁とは何ですか?

ギリギリ、今日も投稿できてよかったです。

ヨロシクお願いします。


「まぁ、それでも、女人にとっては、……()()のあった方と、なるべく長く仲良くやっていけることに越したことはありませんね」

 と、小萩は言葉を続けた。

 しかし、若い桔梗は、これからのことを考えると、そんな綺麗ごとで済まされない事情があったのだ。

「でも、()()と言っても、いろいろあるでしょう、……例えば、身分はイマイチでも()()()が優れて良い人とか、逆に、ずっと身分が上の方でも、何だかパッとしない人とか、……縁というのは、一体どういうものなのですか、私たちのような立場の者は、自分で勝手に結んではいけないのでしょうか? 」

 思わず、自分の抱えている不安を吐き出してしまったのである。

「私が聞いた話では、ご縁というものは、生まれる前から既に()()()()()()物だということです。とはいえ、それでは心許(こころもと)ないですよね。……うーん、実は私にもよく判らないのですが、それでも……、 」

 小萩も答えに困っている様子だ。

()()()()()()()()、妻になったなら、他の女の所に行って、通わなくなるまでは、…… 」

「……女人から別れるわけにはいかないのですよね! 」

 誰に聞いても同じような答えが返ってくる。

 そう思って、桔梗はがっかりした。


 実は、まだ成人したばかりの桔梗にも、すでに縁談の話が持ち込まれているのだ。

 それも父・頼光と比べて、随分と()()()()の人物との話である。

 それは、何を隠そう、藤原道長の()()()である藤原道綱(みちつな)との婚姻だった。

 道綱というと、道長と違って()()()()()だったようで、実際にいろいろな失敗談が伝わっている。

 だが、道長にとっては義理でも兄である。何か大きな失敗をしたら、己の沽券(こけん)にも係わるので、何とか支えようと思ったのかもしれない。

 そこで白羽(しらは)の矢が立ったのは頼光だった。

 つまり頼光のような"兵の家"の者を(しゅうと)にすることで、他の者らに(あなど)られないようにしたかったのではなかろうか。

 そして、頼光にとってもこの話が成立すれば、今一番、力を握っている権力者と結びつくことで、対抗勢力(他の兵の家)から襲われにくくなるというメリットがあったのかもしれない。

 確かに理論上では、ウインウインの関係かもしれない。だが、この話が進めば、桔梗は()()()()()の男の()妻になってしまう。

 因みに、道綱は、父・頼光より七歳程()()だけである。


「あぁ、もう、……腹立たしいこと! 」

 そう言うと、桔梗は膳の上で綺麗に山型に盛られている飯に向かって、グリグリと箸を刺し始めた。

「ああああ! ……もう 」

「あの、桔梗様、・・・・・・ちょっと、()()()()()のでは? 」

 慌てて小萩は声を掛けたが、

「あぁ、……女人などに生まれたのが間違いじゃ、口惜しい。……男任(おとこまか)せの人生など! 」

 桔梗の怒りは収まらない。

 確かに、平安時代の飯は、わざと沢山盛ったものを箸で崩させることで、目いっぱい歓待している気持ちを表す演出になっていたらしいが、それでも、この突き刺し方はヤリ過ぎである。

 まるで()()のようだ。……小萩はそう思った。


『いや、待てよ! 子供というと、桔梗はちっとも昔と変わってないのでは? 』

 一瞬、小萩の脳裏に懐かしい記憶が蘇ったのである。



これから、小萩の回想が始まります。

また、宜しければ、是非、読んで下さいネ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ