はじめに
人は時に、簡潔で論理的な言葉よりも、心にスッと落ちてくるような言い回しを好むものです。一つ例をだすのであれば、「他人の気持ちを慮らない人」というよりも、「冷たい人」と言う方が、パッとイメージできませんか?
言い回しや言語表現の技術、いわゆる修辞学というのは、こうした言い換えを意識的に行う技術です。人の心を動かすためだけではなく、分かりやすく意図を伝えることや、事柄を適切に理解する術を増やすことにも繋がるでしょう。人は言語を使わなければ高度な思考はできませんから。
本稿では、そうした言い回しのtips、主要な修辞技法のうち、26の技法を四章に分けてまとめました。ちょっと言語表現に迷った時にご参照ください。一応形ばかりの章立てはしておりますが、伝統的な分類法に則ったものではないという点をご承知おきください。
❇︎ちなみに、言い回しの『道具箱』と言うのは、個人的な愛読書の一つ、『哲学の道具箱』をオマージュしたものです。
目次
はじめに
第一章:例えてみる
【直喩】
【隠喩】
【共感覚法】
【活喩と擬人法】
【換喩】
【提喩】
【宇喩】
第二章:言い様を変えてみる
【くびき語法】
【誇張法】
【抑言法】
【曲言法】
【対義結合】
【同語反復法】
【修辞疑問法(レトリカル・クエスチョン )】
【暗示的看過法】
【婉曲語法】
第三章:言い方を変えてみる
【声喩】
【倒置法】
【対句法】
【反復法】
【挿入法】
第四章:語りを工夫する
【列叙法】
【逆説法】
【漸層法】
【諷喩】
【反語法】
おわりに