サイコパスの仲間入り確定は嫌だ!!
「チート……そっかチートねぇ」
「サイコパスは戴けないな」
ロイスとカインは遠い目をする。
冷静になって考えた海美は真顔になる。
……何か事情があるなら……元実家の魔教国の言い分も聞くべきでは?
恨みはあれど、狂う前は元実家の臣下だし……聖騎士も魔騎士も顔見知りだ。
……理由も聞かずに力でジェノサイトなんかしたら、ただの悪者では?
海美の頭の中では、読みまくっていた小説サイトの苦手だった主人公のチートを使った悪行が甦る。
いくらでもやり用によっては平和的に人を助け、悪者もきちんと司法で裁くストーリーが幾つもあった。
当時流行していた『ざまあ』や『追放系』は特に多い。
いくら仲間や家族に冷たくされていたとはいえ、それをチートを使ったオーバーキルで皆殺しにする主人公はサイコパスなんじゃないかと、海美は青ざめた。
チートを使わない場合でも、自分を助けてくれた他国の権力を使ってジェノサイトするのも海美にとっては同じにしか見えない。
何が悪くて駄目だったのか、きちんと理解させずにジェノサイトはやりすぎだと思うと海美は目を細める。
……笑いながらチートで人の命を奪う主人公や、自分のプライドを傷付けられた悪役ヒロインも権力でジェノサイトしていたじゃないか。
剣杖だってチートだ。歴代の英雄は強くて当たり前。
だめだ……このままじゃサイコパス主人公の仲間入りだ……。
海美は青ざめて固まる。
「悪役と変わらない者は嫌だわ」
「うんうん、激しく同意」
「ジェノサイトは……」
「ちょっとねえ?」
英雄達にも広がる波だった。