白い空間の中で
海美の周りにはいつも一緒にいる小人達が居た。
彼等は海美の側を離れようとはしなかった。
例え彼女の目に映らなくても
……ん?ここは何処だ?
次に海美が目を覚ますと、白い空間の中に居た。
「げっ!?何だこの服は!?」
自分が着ている服が見たこともない白いドレスで思わず海美はびっくりする。
「お気に召さなかったかな?」
「向こうの世界では流行のドレスなんだが」
「っ!?誰だ!?」
背後から声が聞こえ海美は警戒してファイティングポーズを取る。
「そんなに怖がらなくても大丈夫だよ?」
「別にお前を捕って喰う気なんてねえよ」
いつの間に現れたのか、金髪の男と黒髪の男が居た。
「何者だ!?さては、胡散臭い闇バイト募集してるヤクザの下っ端だな!?」
指差して海美が叫ぶ。
「ヤクザの下っ端じゃないよ?」
「面と向かって何者だなんて言われるのは悲しいな」
金髪の男は苦笑し、黒髪の男は肩を竦める。
「俺達は前世のお前と関わりを持つ」
黒髪の男は呆れた顔をして答えた。
「悪質な今時のぺてん師でも、そんなでたらめ言わねぇぜ?」
両手を上げ、海美は馬鹿にした感じで言うと目を胡散臭そうな者を見る目で細めた。
「残念ですが事実です。貴女の前世は、強過ぎる力を持った事を後悔していました。死の間際に望んだのが『魔法が存在しない世界に転生する』事です」
金髪の男は真顔で海美に答えた。
「……え……?……それってまさか……」
気付いた海美は冷や汗を滲ませる。
「そうだ。望みを叶え俺達はこの現実世界に転生させた。……だが、前世と同じく、お前は悪意を持つ者によって再び命を奪われてしまったがな」
悲しそうに黒髪の男は海美に答えると真っ直ぐ見詰める。
「……ちょっと待ってくれ、前世も今もって……私は同じ死に方をしたのか?」
訳が分からなくなり、海美は困惑しながら問い掛けた。
「貴女の高潔な魂は常に強い光を放ってます。
強過ぎる光には、光に対して強い憎しみを持つ邪悪な闇の魂を呼び寄せてしまうのです。
それが人間の弱さであり最大の過ちと知らずに、光を消そうとあらゆる手段で攻撃してくるのが特徴です。」
金髪の男は海美に真剣な表情で伝えた。
「……光が私で……闇が犯人って事な?あーもう!!難しくて考えても良くわからねぇ!!」
悔しそうに海美は頭を掻きむしる。
「光と闇は二つで一つ。お前はその運命から逃れる事は出来ない。
だけど、それでも本来お前が居るべき世界ではお前を必要としているのも事実だ」
「私が居るべき世界……?」
黒髪の男に言われ海美は目を丸くした。
「これから貴女を元の世界に転生させます。その際に膨大な量の記憶が入りますが我慢して下さいね」
「は?ちょっと待てよ……おいっ!
?」
金髪の男にいきなり言われて海美は慌てるが、海美の足元に魔法陣が出現する。
「っ!?」
魔法陣が光に包まれて海美も思わず目を瞑ってしまうのだった。
海美の意識は遠くへ。
そして明かされるのは海美の前世