チビエマ士族の実力は天を裂く程に
「チビエマ無双始まるよ」
「周りを見てもチビエマばかりだね」
「チビエマしかいない」
三人は空間から見ながら苦笑する。
「上手くお前達や兄様で元実家を捕まえられないか?」
「チビエマになると能力も落ちているし難しいダテンです」
海美に聞かれてダテンビトのルエドは困った顔になる。
「……姫様、そこに息を潜めている奴を使って何とかなるやもしれないエンジェ」
不意にフレイは、トマフが居る方向を見詰めエンジェビトなのに少し悪そうな顔をして進言した。
『……いっ!?』
まさか気配消して居たのにバレてるとは思わず、トマフは目を丸くする。
「……あぁ、確かに妙案だな。馬鹿な元婚約者でも、今回は魔教国と手を組んでるし、人質とかにすれば役立つだろう」
フレイの意図に気付いた海美も不敵に笑みを浮かべた。
『………っ!?』
海美の言葉を聞いて更にトマフは青ざめる。
「ふふ……捕まえましょうエンジェ」
エンジェビトのディーヴァが笑みを浮かべた。
「人間ではない魔力と気配ですヴァビ」
くんくんと匂いを嗅ぐと、ダテンビトのジェラルドが答えた。
「人間でないのならアンデットの類いかも知れませんエンジェ」
「軽く斬っても再生するなら斬り放題ですダキシ!!」
エンジェビトのマノと、ダテンビトのノヴァが剣を構える。
……チビエマの状態なのに圧が半端なっ!?
焦ったトマフは慌て立ち上がるが、少し中腰でまだ少し様子を見る。
「派手に魔法放ちますケビ?
チビエマで能力は落ちていても人間もどき一匹程度、全身黒焦げにするのは簡単ケビ」
ダテンビトのクロードは無表情で答える。
「まぁ待ちなエンジェ。姫が受けた苦しみはアイツに百倍返しでタコ殴りにするのが先エンジェよ」
海美の膝から降りると、ハルヒは全身に聖魔力を纏いファイティングポーズをした。
「串刺しにしてから土に頭から突っ込ませるダテン!!」
「千回以上は斬り刻むエンジェ」
カインは笑って言うと闇魔力を纏い、ロイスは穏やかに笑って聖魔力を纏った。
チビエマ士族、まさに臨戦態勢である。
……見た目と姿が合ってねえし!?
ショックを受けたトマフは白目を剥くと、慌て完全に立ち上がって姿を見せる。
「馬鹿男発見!!」
海美が指差して叫ぶと、一斉にチビエマ士族が飛び掛かった。
「ホーリーグレイブ!!」
「ダークブレイク!!」
それぞれの魔力を纏ったロイスとカインの小さな拳がトマフの左右の頬に炸裂する。
「ぐはっ!!」
小さくても破壊力があるので、トマフは白目を剥いて後方に吹っ飛ぶが……
「聖闘術……聖破!!」
後ろに待ち構えていたハルヒが、トマフの頭を拳で殴り付けた。
「がっ!?小人の癖になんつー破壊力だよ!?」
ハルヒに頭を殴られ、トマフは涙目になりながら地面に落下する。
「ダキシ!!」
「エンジェ!!」
そこにノヴァとマノがトマフの上に乗っかる。
「ヴァビ!!」
「エーンジェ!!」
すかさずジェラルドとディーヴァも乗っかった。
「ありゃ?やりすぎエンジェか?」
エンジェビトのミルフィーユは目を丸くし……
「こいつには恨みあるから問題ないダテン」
「……覚悟しやがれエンジェ」
ルエドとフレイが倒れ押さえ付けられたトマフに言い放つ。
「……マジかよ……」
仰向けに倒れたまま、トマフは思わず苦笑いするしかなく……
「さあ、話して貰おうか?」
ズイッと海美がトマフに詰め寄る。
トマフの瞳には、海美の姿が大聖女サイラスと重なって見えた。
同じ頃、帝国の重臣や主だった者を集め天幕に移送していた時。
聖騎士や魔騎士の制止を振り切り、一匹の銀色のドラゴンが妻である当代の女帝の協力の元、隙を突いてその場から脱出した。
……待っていてくれ!!シオン!!シェレスティアナ!!
ドラゴンは咆哮を上げて急ぎ向かうのだった。
側近の子供達と共に逃げた愛する子供達の元へと。
「主小さくて可愛いなぁ」
「主が一番だぜ」
「鮮度が一番ですよ!?」
和むはトリオ。




