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固定ダメージで挽き殺します!  作者: わけわかめ
配信二十五日目

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73/107

#44【劇場版】配信もラクじゃない【ミステリ】

「これで心置きなくシアターまでいけ〜るな〜♪」


>見た目問題ナシ!

>前の方が好きだったかも…

>そこはしゃーない


 カシミヤに代金を(いらないと固辞されたが強引に)押し付けて今度こそカレイドシアターに到着。先程と同じように人が多くて笑ってしまいそう。


「そういう人はアーカイブとか、FAで私の過去の勇姿を見るといいよ!#シェリ描き で検索検索っ!」


>はえー助かる

>VRゲーム配信は色々場面切り取るだけで構図作れるからありがたい


「私もありがたや〜…いつも描いてくれてるみんなありがとね☆」


>キラっ☆好き

>もはや鉄板エモート


 そしてシェリーは人の波を掻き分けてシアターの中へと足を踏み入れた。しかしひっきりなしに人の出入りがあったため非常に混雑しているとなんとなく思い込んでいたが……意外と中はそうでもないし『違和感』がある。そしてこの違和感には覚えがある。


「…………"イベントエリア"」


>…え?

>どうした急に


 身体(アバター)が別の位相(サーバー)へと移された際に感じるラグ。常人には理解できない微かな違和感。周囲(NPC)はなんの狂いもなくチケットを買い、捥ぎり、握り締めているが。


「そっか、この感覚って生じゃないとわからないもんね」


 シェリーは一人警戒度を高める。わざわざパブリックな世界から専用の世界に移ったのだ。"いつ"、"なに"が来てもおかしくはない。オファニエルも確認してみたが準備万端。なるほど、と納得を得ながら見上げてみれば。


「わーお。私に引けを取らない美女じゃん」


 『踊る美しき英雄クーリエ』の姿絵(タペストリ)が、飾られていた。露出の多い軽鎧を纏いながら凛々しく片手剣を握る顔は確かに美しい。


>えぇ……

>私はシェリーの方が好き

>うぉぉぉ青髪美女ktkr!!


──

ストーリークエスト

3-2

[舞台で踊るサンドリヨン]

カレイドシアター。世界中の美が集うカレイドの街でも最高峰の"魅せ者"が集う劇場。しかしその中で今最も人気なのはたった一人。その名はクーリエ。この世界生まれの英雄である彼女のパフォーマンスは素晴らしいと聞くが……。

──


 それを認識した途端にストーリークエストが発生。ああ、これは確実に。確実に来る。ホラゲーで唐突に物音がした時と同じ安心感(テンプレ)


「よしっ!行くか!」


>めちゃかわ

>サンドリヨン…?

>昆布の名前だろ


 ネームドNPCの登場への期待を胸に、シェリーはチケットを取り出し──。


「お客様」


「うぉっとぉ!?」


 ──た瞬間に横に現れたスタッフ。思いもよらない遭遇に素っ頓狂な声が漏れる。もしも真剣を持っていたら驚きながら振り抜いていただろう。


「"プレミアチケット“をお持ちですね?」


「えっあはい」


「それでは此方へ」


 有無を言わせない圧を感じながらも付いていく。確かに『プレミア』と名がついていたけれどそこまでのVIP扱いをするのか。急にストーリークエストが『ストーリー』してきた気がする。


「そのプレミアチケットは英雄様のみが所持を許される特別なもの。異界より英雄様が多数招かれました今に於いては少々意味合いが異なっておりますが」


「意味合い?」


>私普通のチケットだった

>大食いで優勝した俺も普通のやつ

>名声の高さか?

>いやそれだと他の配信者がプレミアじゃなかった説明がつかない


「いえ、当シアターの再建時前より続く仕来りに残る"旧き別大陸"のお話ですので気になさらぬよう」


「……そっかー」


 前作SWプレイヤーであるシェリーにも聞き覚えのない地名、見覚えのない地形ばかり続く理由はコレだ。同じ世界だがそもそも別の大陸だったというだけ。


>考察班???まだ???

>これプレミアチケット専用セリフでは

>前作との繋がり薄いと思ってたらそゆこと


「んで、なんで私だけ別ルート通らされてるの?」


「プレミアチケットをお持ちのお客様は一度館長の元へとお連れする仕来たりですから」


「へ、へ〜…」


 スタッフオンリーの扉を抜けて階段を登る。表ほど煌びやかではない絨毯床の廊下は少し落ち着く。


>しきたりならしかたないね

>イベントエリアで強制移動は怖い

>普通のチケットだったからプレミアルート楽しみ


「………これEXルート行きだと思うんだけど分岐条件マジでわかんない」


 心当たりは……本当に稼いだ名声の量だったか、カレイドステージでクリアした事か、或いは──。


「到着いたしました。どうぞ中へとお入りください」


 開く扉。シェリーは招かれるようにして中へ。


「カレイドシアターへとようこそいらっしゃいませ、英雄シェリー様」


 当然のように名前がバレている事は気にしない。ゲームではよくある事。しかしそれ以上に気にかかるのは支配人の顔色。いや窓の方を向いて見えないけれど意味深に逆光で隠れていてあからさまに何かありそう。


「おう、英雄様ですよー……で、何か依頼(クエスト)があるの?」


>口調軽いな!?

>勇者なんてそんなもの


「"本来であれば(・・・・・・)"ありませんよ。ただのお目通りです。今代の英雄がどのような者かを見定めたいのは当然ではありませんか」


 そう言って支配人は窓に背を向けシェリーの方に振り返る。


>支配人の髭好き

>シルバーな感じいい…

>シブゥイ!


「で、今はあるんだ」


「お恥ずかしながら。シェリー様もご覧になったでしょう、当劇場の看板英雄、クーリエを」


「ああ、あの別嬪さん?」


>シェリ×クー

>あるあ……あるな…

>ねーよwww


彼女(クーリエ)が──姿を消したのです、公演前の、このタイミングで」


「なんと」


──

ストーリークエスト

3-2

[舞台で踊るサンドリヨン]

カレイドシアター。世界中の美が集うカレイドの街でも最高峰の"魅せ者"が集う劇場。しかしその中で今最も人気なのはたった一人。その名はクーリエ。この世界生まれの英雄である彼女のパフォーマンスは素晴らしいと聞くが──。

-1:なんとクーリエは演目を前にして控室から忽然と姿を消してしまった。これは誘拐か、あるいは失踪か。彼女を探してほしいという支配人の願いを叶えてあげよう。

──


 クエスト更新。クーリエの失踪。先の公演ではなんら変な事はなくいつも通りだったという。勿論理由、方法、時間、一切不明。目撃証言もない完全犯罪に困り果てている所にシェリーがやってきた。


「いつも早くにきて機材を確かめるのにこのような時間までこないだなんて心配で心配で……きっとこれもヴァーサ様の思し召し。シェリー様、解決していただけないでしょうか」


「──しゃーねーなやってやんよ。私もクーリエの舞台は見たいしさ」


>内容は一緒だが…

>やはり流れがちょっと違うな

>放送流れて今日の公演は中止ですって言われた


「ありがとうございます、シェリー様……次の公演までは時間がありません、是非とも、それまでには」


「ん、勿論勿論。がんばるから任せといてね」











「とはいったものの。どこから調べよっか?」


 支配人室を出て数秒後のセリフがこれである。ゲームプレイヤーとは後のことを考えず安請け合いするもの。病気の母が死にそうなんです!と言われたら即受遅納。クエストリストを見てそういや届けにいかないとと思い出して行って感謝を頂くのは日常。


>教えたらネタバレになるから黙秘

>意外な場所だった

>そこまで難しくはない


「なら、まー…とりあえず控室かなぁ」


 ミニマップを頼りに移動。時間制限はないが気分的には急ぎたい。配信時間が延びるのは耐えられない。それと明日は小テスト。到着するなりノックなしで扉を開け放ち部屋を物色。


>警察だ!

>探偵なんだよなぁ…

>ホームズいたらすぐ解けそう


「ふーん……」


 部屋の中は特段散らかっていない。清廉な彼女のイメージ通りに整頓されている。そう、"使われた後“のように。


「……ねぇみんなー、衣装って普通何枚ある?」


>一枚じゃね?

>この世界だと簡単に直せそうだし1

>着用と保存用と鑑賞用


「同人誌じゃないんだからw」


 と言ってシェリーが注目したのは残された衣装。ここに長くいたのだからそりゃあ衣装の数が多くなっているのは当然だとしても。


「ポスターにあったあの衣装がない」


 タイトルは[剣と友に]だったか。とにかく、革に金属を張り合わせた傷有りの胸当てだけでなく、あれば目立つだろう兜もここでは見つからない。ならばいなくなった時間(タイミング)は。


「準備が終わった後」


 普段着だろう普通の服も見つけた。十中八九間違いない。ならば次に確かめるのは足取り。


>……女の服を漁るって文字列だけ書くと…

>正直すげぇ気が引ける

>絵面やべぇww


「捜査だからセーフ。何も卑しい事はないからいーの。だからファーちゃん切り抜かないでね」


 届かぬ思いはさておいて、シェリーは整えられた部屋を出て廊下へ。


「コレは仮説だけど、クーリエは自分で部屋を出たと思うの」


 シェリーの脳内に浮かぶ推論の道を辿っていく。右、直進、そして階段を降りて地下(・・)へ。


>でもいなくなったじゃん

>行き先何処だよ

>その心は?


「衣装はない。暴力の痕もない。ならどうしたか、自分で衣装を着て部屋を出た。支配人が言っていたでしょ、"早く来るのに"って」


>言ってた?

>あー…


 シェリーが辿り着いたのは劇場の下。演出のための機材が並ぶ場所。


「だから……クーリエは別の舞台に迷い込んだ(・・・・・)。これでどう?」


 天井にぽっかりと空いた穴。その底にシェリーは立って、レバーを引く。何故だろう、公演にはまだ遠いのに。


『私はまだここで死ぬわけにはいかぬのだ…!』


 悲劇を憂う女の声と、誰かを迎える歓声が聞こえるのは、何故だろう?


Tips


通常チケットの時の3-2の流れ


普通に劇場内に入る

クーリエがいなくなったため中止となります

観客は退出、スタッフに話を聞く

支配人の元へ

推理開始

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